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Murrey Math Lines

Trading Viewでは大抵のものが見つかる。Murrey Math Linesを描画するインジケーターを見つけたので紹介する。

T. Henning Murreyが1995年に発表したトレードシステムである。相場の値動きはすべて幾何学(geometry)で解き明かすことができるという立ち場に立つ。その根底には、W. D. Gannがある。なかでもGannのオクターブ理論が基になっている。

Gannのオクターブ理論は古代ギリシアのピタゴラスに由来する。ピタゴラスは、そしてGannは、さらに現代においてMurreyは、自然界の事象は―相場の値動きは自然界の事象の一部にすぎない―オクターブで構成されていると考える。つまり、8の倍数および8分の1である。音楽において1オクターブ(8音階)が基本であることは、だれでも知っている。

Murrey Math Linesはピボットと似て非なるものだ。むしろ、ギャンファンを水平線で表したものと捉えるのが近い。

ある期間における値動きのスイングをもとに0/8から8/8までのラインを刻む。これが1オクターブの値動きである。これを越える値動きは明らかに常軌を逸しており、つまり自然界の法則に反する。よって行き過ぎた価格は反転して戻らざるを得ない。この行き過ぎた領域を+1/8、+2/8、+3/8、0より下では、-1/8、-2/8、-3/8で表す。

音楽の8音階を例にとって、値動きが1オクターブ内に収まっている状態を「リズムを正しく刻んでいる」と表現する。この範囲を越える場合は、いうなれば「リズムが乱れた」「音を外した」ということになるわけだ。

ある期間はデフォルトでは「64」だ。これを変更する場合は8の倍数にする、つまり、8、16、32、64、128などなど。

ちなみに、Murreyは日足や週足で分析する。対象銘柄は米国株および株価指数である。今日では日足よりも短い時間軸や株・指数にとどまらずFXや仮想通貨での実例もよく見られる。また、Murrey Math Linesによって、価格が止まって反転する確率が高いレベルを知ることができることから、オプショントレーダーでこれを活用する例が海外では多く見られるのは理の当然であろう。

+3/8 反転せざるを得ないレベル
+2/8 買いが極度に行き過ぎた状態
   いつ反転しても不思議はない
+1/8 買いが行き過ぎた状態
8/8 レジスタンス上限
7/8 価格が止まる/反転する可能性があるレベル
6/8 価格が止まる/反転する可能性があるレベル
5/8 通常の値動きの上限
4/8 通常の値動きのレベル
3/8 通常の値動きの下限
2/8 価格が止まる/反転する可能性があるレベル
1/8 価格が止まる/反転する可能性があるレベル
0/8 通常の値動きの下限
-1/8 売りが行き過ぎた状態
-2/8 売りが極度に行き過ぎた状態
   いつ反転しても不思議はない
-3/8 反転せざるを得ないレベル

4/8のレベルが、ピボットでいうところのCentral Pivotに相当する。前日及びそれ以前の4/8レベルと当日のそれを比較することで値動きの方向性を読む。この点は通常のピボット手法と同じく考えればよい。

値動きの43.3%は、3/8、4/8、5/8の範囲内で推移する。この範囲を「Normal Trading Area」と呼ぶ。これより上および下のレベルでは、価格が止まったり反転する確率が高くなる。

価格は、0/8から3/8の範囲でレンジを形成することが多い。この範囲を「Consolidation Trading Area」と呼ぶ。

上昇中のトレンドが3/8をブレイクできない場合は、上昇の勢いが失速した可能性を疑う。下降中のトレンドが5/8をブレイクできない場合は、下降の勢いが弱まったかもしれないと考える。

7/8で形成されたダブルトップ、1/8で形成されたダブルボトムは、反転のシグナルとしてエッジがある。15分足などでこれだけを待ってトレードするトレーダーがいるほどだ。

ちなみに、Murrey Mathを「MM」と通常略す。そしてダブルトップは「M」、ダブルボトムは「W」と略す。「7/8 MMでM形成」などと言う。ついでながら、「1/8」は日本語で「8分の1」英語で「one-eighth」、「2/8」は「8分の2」「two-eighths」などと読む。英語では複数形になることに注意。

ここに紹介したインジケーターは、Murrey Mathを極限まで簡素化したものにすぎない。T. Henning Murreyが用いたMurrey Math Trading Systemは、ギャンに関するトレード手法がどれもすべてそうであるように、複雑にして難解だ。

世界中で多くのトレーダーが意識しているラインがサポレジとして機能するという考えに立つ者は、ピボット手法に優位性があると主張するであろう。あちらこちらで私が何度も言ってきたことは、ラインが機能するかどうかは多数決によらないということだ。極論すれば、世界中で誰一人見ていないラインであっても機能するものは立派に機能する。なぜならそれはマーケットの内部要因・内部構造に起因するからだ。この考え方に基づくならば、GannやMurrey Math Linesがライントレードにおける”聖杯”ということになるだろう。


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