『Happy Smile Tour 2022』 セットリスト考案

要点

  1.  期生曲・ユニット曲を全体曲として使用(マンネリの解消)

  2.  ツアータイトルを意識しつつも、縛られすぎない選曲 

  3.  アリーナサイズのセットリストにする(①ブロック・セクションの細分化、②抑揚をつけた並び)

  4.  「22人体制最後の全国ツアー」としてのアンコール


セットリスト案

※空白行は、ブロック(セクション)の区切りを分かりやすく示すため
※ユニットコーナーはM13,14のみ

【本編】
00. Overture
01. 君しか勝たん
02. 誰よりも高く跳べ!

03. どうする?どうする?どうする?
04. 好きということは…
05. 窓を開けなくても

- INTERLUDE 1-
06. JOYFUL LOVE
07. 僕なんか
08. 膨大な夢に押し潰されて

09. ホントの時間
10. NO WAR in the future
- MC 1 -

11. ママのドレス
12. 沈黙が愛なら

13. もうこんなに好きになれない
14. 沈黙した恋人よ

- INTERLUDE 2-
15. 声の足跡
16. 知らないうちに愛されていた

17. My god
18. Right?

19. キツネ
20. ソンナコトナイヨ

21. 川は流れる
22. ドレミソラシド

【アンコール】
E01. ハッピーオーラ

- MC 1-
E02. 飛行機雲ができる理由
E03. 青春の馬
E04. Overture



1.期生曲・ユニット曲を全体曲として使用(マンネリの解消)

選曲・セットリストの難易度としては、嵐で言う『BLAST』シリーズのような難しさだと考えます。『Happy Smile Tour 2022』(以降、HST)は、オリジナルアルバムを引っ提げたツアーや、ファン投票で選曲が決まるなどの「選曲の軸があり、且つセットリストが読めないコンサート」とは言い切れません。昨年の『ってか』のような展開(収録されたユニット曲が過去に披露されていたものだったためセットリストに落とし込むのが容易だった=本編の軸に出来た)は難しいですし、可能性があるなら表題曲ぐらいですが本編の軸には出来ないでしょう。そして今回は、新鮮味が失われつつある7thが中心になると予想されますが、EPの内容的にツアータイトルにはそぐわないし、全体曲3曲が軸になるだろうし、既にケヤフェスでセットリストとしての選択肢が1つ減らされているため、どの位置でその3曲が使われるかがある程度予想出来ます。なので、別の角度からのアプローチが必要だと考えます。

その中で取り組んだ「セットリストと構成のマンネリ解消」ですが、選曲の軸という角度からではなく、コンテンツの軸という角度からマンネリを解消したいと考えました。新しい要素を入れるとなると思いつくのは、①ユニットシャッフル、②他のアーティストのカバー、③リミックス、ぐらいでしょうか。私は①に近い「期生曲とユニット曲を全体曲として扱う」を提案します。


2.ツアータイトルを意識しつつも、縛られすぎない選曲

HSTが「より一層楽しく明るいツアーにしたい」という意味が込められていると仮定すると、全体曲として扱う期生曲・ユニット曲の選び方も、BPMが高くハピネスなものを選びますし、それらを満遍なく配置しました。またこのコンテンツがこのツアーの軸になっていると表現するには、楽しく明るい曲という特徴と併せて、序盤から展開した方がよいでしょう。その方が後の7thの全体曲に効いてきます。

02までをメインステージでキメたら、03でこのコンセプトの存在を明かし、04と05でファンサタイムとして会場を周ります。全体曲として使用するからにはソロパートは他のメンバーに変えるべきでしょう(04は2期生・05は3期生という感じではなくシャッフルするのがベストだと思います)。05ではジャニーズのコンサートでよく見るメンバー挨拶を1サビ終わりに入れたいですね。その流れで間奏へ、ラスサビでメインステージに戻る、アウトロを伸ばして早替えの時間を設けるという感じでしょうか。

インタールードとジョイラを挟み、このコンサートの「楽曲としての軸」になる07です。06ではこの曲の雰囲気づくりをしておきたいところなのでジョイラです(もちろんマンネリの解消が目的でもあります)。09で空気を緩和させ、10で再び引き締めて且つ会場を1つにしたいのでNO WARを選びました。

以前、楽しく明るい曲を"陽"、パフォーマンスに重きを置いたカッコいい曲を"陰"と表現したことがあるのですが、この2つはコンサートにおいては対になり得ます。つまり、ツアータイトルから受け取れる"陽"のイメージが観客に伝われば、その対として(緩急として)"陰"の楽曲群も生きてくるというわけです。今回は"陽"を前面に打ち出したいので、オープニング直後とラストスパート前という大事な箇所に「期生曲とユニット曲を全体曲として扱う」というコンサートの軸となるコンセプトを配置しました。そして、それらを打ち出せば打ち出すほど12〜14や15〜16のような比較的静かな楽曲を欲してきますし、実際に効いてきます。12〜14の流れ(12:期生曲だが今回は全体曲、13:7thのユニット曲、14:1期曲でこの流れを汲める楽曲)は気に入っています。


3.アリーナサイズのセットリストにする(①ブロック・セクションの細分化、②抑揚をつけた並び)

ドームやスタジアムとアリーナではセットリストの作りが異なります。例えばアイドルのコンサートの場合は、トロッコやムービングステージ、リフターなどを使ってファンの近くに行くことを演出としているので、その時間を設ける必要があります。当然ドームやスタジアムの方が広いので、単純に周るのに時間がかかりますし、出来るだけ全員にファンサをするのであれば時間をかけて周るべきです。アリーナサイズでは、そういったことにそこまで気を使う必要がなく、寧ろステージにとどまった演出に気を使うべきです。となると、1つのブロックやセクションにそこまでの曲数は使えません。なぜなら観客が飽きるからです。それだったら比較的多めの頻度でセクションを区切り、時間の長さを感じさせてそこから来る満足度を高めるべきだと考えます。

今回は特にそれを意識しました。①元々楽曲数が多くない日向坂コンサート、②アリーナなので楽曲数も多く出来ない、という2点を前提に、ブロックを区切らなくともセクションの区切りを意識的に増やして抑揚をつけました(ちなみに今回は4ブロックです)。08後の09は、流れを汲むという意味では10とテレコでも良いですし、11と12も本来はもう少し後ろでも面白そうです。21は、クロージング前にもう少し展開が欲しかったのと、クロージングのイントロと開放感を活かしたかったので、最後の最後に追加しました。また、楽曲の軸になる16が配置されてる15・16セクションの後ろに、コンセプトの軸になる17・18セクションを配置し、16を後半のメインとして打ち出しすぎないのもポイントです。

先ほど、構成するブロックは4つと言いましたが、冒頭のセットリストの空白行を無くしてもう一度確認してみても、セクションの多さからなる纏まりの無さはそれほど感じられないと思います。13・14セクションのための12、15・16セクションの流れを汲んだ17、19・20セクションのための18、22を活かすための21。後半(MC以降)の方が曲数が多いので特に注意しました。


4.「22人体制最後の全国ツアー」としてのアンコール

アンコールの選曲は、「本編に残さなくても賄える」楽曲で構成しています。E02に関しても本編でのこだわりは無かったので、アンコールではアンラスとして使うより次に繋げるような構成を組みたいなと思い、『青春の馬』をアンラスに配置し、『Overture』で4期生加入以降の日向坂46を意識させるようにしました。もちろん、「ありがとうございました〜」と観客に手を振る終わり方ではなく、E03でしっかり暗転してE04に繋げます。アンコールというよりも本編としての意味合いが感じられますが、このような終わり方を見たことがないのと、理想を含めて、アンコールとしての構成にしました。ここは、元来のアンコールとしての役割からかけ離れていますし、「ジョイラや『日向坂』で締める終わり方もつまらない」という私のこだわり、そして「アンコールにあの曲を残す、みたいなやり方はどうなんだろうなぁ」という葛藤があって正直難しかったですね。

少し話は逸れますが、私はこのツアーを開催する理由がよく分からないんですよね。昨年は5thをケヤフェスにちゃんとセトリとして落とし込んでいなかったので、その後の全ツに実質的に初めてセットリストの軸として機能させることが出来ました(6thのユニット曲も機能した)。しかし今回は7thを昨年のケヤフェスよりもセトリに比較的しっかり組み込んできて、選択肢が減らされています。8thを楽曲をセトリの軸に組み込むことは今のところ不可能ですし、手札は7thまで。さらに、全国ツアーと称しながら本州しか周らずに、前半4公演と後半4公演の間には1ヶ月空いています。後半4公演に8thを組み込むとしたらそれは果たして全国ツアーとして成立するのでしょうか。

コンサートの開催頻度と新曲の発表頻度に整合性がないことは以前も述べましたが(新曲発表直後にコンサートを組んでいることは理解出来る)、セットリストの思考停止具合からなるマンネリ化を制作側がどのように捉えているかが気になるところです。私が感じたような選曲の葛藤は最近のケヤフェスからは感じられませんでしたが…。


まとめ

今回はセットリストの詳細な解説はせずに、簡潔なポイントを述べていきました。なので一連がどのようなイメージで進んでいくかは私のみぞ知るみたいな感じになってしまいましたが、今回特に述べたかった「期生曲とユニット曲を全体曲として扱う」という提案は出来たと思います。また、「アリーナにはアリーナのセットリストの組み方がある」つまり「セクションを細かく設けて抑揚をつけること」も伝えたかったことです。特に後者に関しては嵐の『ARASHI "Japonism Show" in ARENA』を参考にしました。

また、本稿は前回の『嵐から学ぶ、コンサートにおける最重要曲の配置』のアンサー的な記事でもあります。あの記事の終わり方は逃げになってしまった感がありましたし、ただ嵐のコンサートの魅力と松潤の実力を知ってもらうという自己満記事になってしまったと後に気付きました。なのでその答えと今回のツアーのセトリを提案する記事として少しは清算出来たのではないかと思っていますがいかがでしょうか。

実はもう一つ「あの記事の終わり方はいまいちだったからちゃんとした答えの記事を書かなきゃ」と執筆していたのですが見事にお蔵入りです。ですがセトリだけは載せておきます。皆さまはどちらが好みでしょうか?このセトリも先程述べたとおり私の頭の中で完成しているので伝わりきりませんが…(笑)

- OPENING VCR
01. 声の足跡
02. 川は流れる
03. ホントの時間
04. キツネ

- BRIDGE VCR 1
05. こんなに好きになっちゃっていいの?
06. 僕なんか
- INTERLUDE 1
07. 恋した魚は空を飛ぶ
08. 真夜中の懺悔大会
09. ハッピーオーラ
10. NO WAR in the future
11. 君しか勝たん
- MC 1

12. 沈黙した恋人よ
13. もうこんなに好きになれない
14. ゴーフルと君
15. ドレミソラシド
16. アディショナルタイム
17. 知らないうちに愛されていた

- BRIDGE VCR 2
18. JOYFUL LOVE
19. 飛行機雲ができる理由
20. 誰よりも高く跳べ!

E01. 車輪が軋むように君が泣く
- MC 2
E02. 青春の馬
E03. OVERTURE 

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