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なぜ、いまヴィジョンが大切か?

みなさんは、「あなたが所属する組織のヴィジョンは何ですか?」と問われたら、どのように答えますか?

また、「あなたのヴィジョンは何ですか?」と問われたらどうでしょう?

将来のイメージについて何らかの形で持っていたとしても、改めてこのように問われるとすぐに答えることができなかったり、答えることができたとしても、部分的な表現になってしまったり、自分が意図していることをうまく表現できなかったりするのではないでしょうか。

ヴィジョンとは、端的に言えば「将来像」という意味です。ビジネスにおいてよく使われる言葉ではあるものの、なくても今日の生活には困りませんし、目の前の仕事に取り組む上でも支障はありません。ですから、改めて「ヴィジョンは何か?」と問われても戸惑ってしまうことが多いのは不思議なことではありません。

それでも、この時代の流れにおいて、ヴィジョンがとても大切な概念であると感じています。この記事から始まる章では、意識の意識化の観点から、ヴィジョンについて深掘りしていきたいと考えています。

個人と組織の関係が変わっていく

今、ヴィジョンが重要だと考える1つ目の要因として、個人と組織の関係が変わっていることを挙げたいと思います。これまでの記事でも何度かこのお話をしていますが、個人が組織に従属する関係から、個人と組織が対等な立場でお互いに協働する関係に変化しています。

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個人と組織が対等な立場でお互いに協働していく関係性になったときに、何を基軸としてお互いの共通する関心領域を見つけていけばいいのでしょうか?

相互の関心領域のすり合わせ内容(A):
▼仕事内容とそれに見合ったお給料
▼会社が必要な機能と、個人のスペシャリティ
▼会社が充足するべきポジションと、そのポジションの経験をもつ個人

(A)のような考え方もあるでしょう。いい・悪いという話ではありませんが、このような考え方の前提としては、既に実現している価値と価値の交換経済であり、想定している時間軸が比較的短いという特徴があります。

相互の関心領域のすり合わせ内容(B):
▼会社の事業・組織ヴィジョンと、個人のキャリアヴィジョン
▼会社のミッションと、個人の主体的真理(内なるエネルギー)
▼会社の組織文化と、個人の価値観

(B)のような観点で、組織と個人の関心領域のすり合わせができたら、どうでしょうか?理屈を抜きにして、ワクワクしませんか?そして、このすり合わせができているチームに所属できたら、一体感がありそうですね。

このような考え方の前提として、既に実現している価値と価値の交換経済ではなく、相互のエネルギーの循環経済というものがあります。循環経済というのは、価値をその場で等価交換するのではなく、相手に与え続けることによって、巡り巡って自分にも戻ってくるというイメージのものです。

また、その時間軸は必然的に長くなります。短期間では、循環経済は成り立たないからです。短期的には成り立たなくても、中長期的に見ると、与えるものと与えられるものが釣り合っていくのが循環経済です。

(B)のような考え方を大切にするときに、必要不可欠な概念がヴィジョンです。お互いの主体的真理を傾聴して、共感するプロセスの中で、具体的な将来像についてすり合わせをしていく、あるいは、協創していく。そして、このプロセスを経て浮かび上がってきたヴィジョンを基軸として、対等な立場で中長期的に協働していく。

これが、これからの時代の個人と組織の関係性ではないでしょうか。個人と組織の関係性だけではなく、何か新しいものを生み出していこうというエネルギーをもった個人と個人の関係性についても同じことが言えると私は思います。

早く行きたければ1人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け。

2009年に当社に新卒入社された、社内でも指折りの熟達者であるTさんから教えてもらったのですが、アフリカのことわざに「早く行きたければ1人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け。」というものがあるそうです。

アフリカ

とても、素敵なことわざですね。

当社の新卒採用の最終面接を私が行っていますが、よく頂く質問の一つは「社会人教育を手がけている会社は、比較的小規模な会社が多いですが、御社はなぜ事業を拡大することができたのですか?」という内容です。

その答えは、このアフリカのことわざにあります。アルーの創業メンバーは私を含めて3人ですが、3人で集まって最初にやったことは、戦略立案でも、商品開発でもなく、ミッション・ヴィジョンのすり合わせでした。そして、3人の共通の思いとして、「いい教育を一人でも多くの人に」というものがあり、3人でこじんまりビジネスをするのではなく、組織拡大をして、ビジネスとして大きくしていくことを当初から想定していました。

「遠くに行きたいから、みんなで行く」ことを明確に選択していました。

「遠くに行きたいから、みんなで行く」という選択をすると、必然的に「では、具体的にどこに行く?」という話になります。それがヴィジョンです。

会社を設立したら、経営理念が必要だからミッションやヴィジョンを考える、という感じではありません。自社のホームページの会社概要に、ヴィジョンを書く必要があるから、文言を考えるという感じでもありません。採用広告をだすときに、ヴィジョンを書く欄があるから作文をするというものでもありません。

ヴィジョンは、もっと根源的なレベルの話です。自分の主体的真理からくるエネルギーがあって、それを「一人で早くいくか、みんなで遠くにいくか」という選択において「みんなで遠くに行く」ということを決断したときに、自然と自分たちに問いたくなるものです。

自分たちはどこに行きたいのか?
自分たちはどの山に登りたいのか?
自分たちはどのような景色を見たいのか?

山登り2

ヴィジョンとは、自分たちの内なるエネルギーをどのように結晶化したいかを表すものなのです。

志を自ら掲げて、志に自分たちを見守ってもらう

「みんなで遠くに行く」ことを選択したときに、自然とヴィジョンを考えたくなるという話をしましたが、出発のときにヴィジョンを考えるというだけではなく、みんなで遠くに行くという旅に途上においても、ヴィジョンは重要な役割を果たします。

それは、中長期にわたって、一貫性を持ち続けることができるということです。

人は、調子がいいときもあれば、そうではないときもあります。ビジネスの状況、人間関係など、その時々の状況に大きく左右されます。最初に大きな志をもっていたとしても、途中で挫折しそうになるときもあるでしょう。

そのようなときに、初期の志が、ヴィジョンという形になっていることで、志に見守ってもらう、志に叱咤激励してもらうということができます。ヴィジョンがあれば、「初心に返る」ことができるのです。

私自身の例でいえば、「いい教育を一人でも多くの人に」という思いをもって、ヴィジョンを掲げています。現状でいえば、大企業を中心に多くのお客様や受講生にいい教育をご提供できていると自負していますが、この状況で満足してしまいそうになる自分を、ヴィジョンは叱咤激励してくれます。

「本当に、それで十分なのかな?」と。

また、チームという観点から言えば、みんなが大切にすること、目指すことが、誰か一人の属人的な意向や判断に依存するのではなく、ヴィジョンという形でみんなで共通のものになっているということも大事なことと思います。

もちろん、旅の途上において、みんなで話し合って、旅の行き先を変更するということはあって良いと思います。みんなで共通のものを、みんなで話し合って変更していくことはとても良いプロセスだと思いますが、誰か一人の意向や判断のみに依存してしまうと、長期にわたって一貫した取り組みをすることができなくなってしまいます。

私の例で言えば、私はアルーの代表取締役社長という役割を担っていますが、私ひとりのその場の判断だけでアルーのヴィジョンを変えることはできませんし、やるべきことではないと思っています。ヴィジョンは、誰か個人のものではなく、チーム全体のものです。

このように、ヴィジョンを掲げることで、中長期的に一貫性をもって、志に自分たちを見守ってもらうことができます。

見守る

今回の記事では、なぜ、いまヴィジョンが大切かについて、個人と組織の関係性が変わっていく時代の流れにおいて、「みんなで遠くにいく」ことを選択して、中長期的に一貫性をもって取り組んでいくための中核となるものがヴィジョンであるという話をさせて頂きました。

次回の記事から、意識の意識化の観点から、ヴィジョンについて深掘りしていきたいと思います。

本日の問いとなります。(よろしければ、コメントにご意見ください)

・「早く行きたければ1人で行け。遠くに行きたければ、みんなで行け。」ということわざについて、あなたが「遠くに行きたければ、みんなで行け」という選択したことがあったとすれば、それはどのような選択でしたか?

・あなたがもっていた初期の志に、あなた自身が叱咤激励されたことがあるとすれば、それはどのような場面でしたか?

Why is vision important now?

If you were asked, "What is the vision of your organization?" How would you answer?

And what if you were asked, "What is your vision?"

Even if you have some kind of image of the future, when you are asked these questions afresh, you may not be able to answer immediately, or even if you can answer, you may be partial or not be able to express your intentions well.

Vision, in short, means " an image of the future. Although it is a word often used in business, we don't need it to live our lives today, and it doesn't hinder us from tackling tasks at hand. So, when asked afresh, "What is your vision?" It is no wonder that we are often at a loss.

Nevertheless, I feel that vision is a very important concept in these times. In the chapters beginning with this article, I would like to explore vision in depth from the perspective of the ISHIKI(Consciousness) Management.

The relationship between individuals and organizations is changing

The first reason why I think vision is important nowadays is that the relationship between individuals and organizations is changing.As I have mentioned several times in previous articles, the relationship between the individual and the organization is changing from one in which the individual is subordinate to the organization to one in which the individual and the organization are collaborating with each other from an equal standpoint.

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When individuals and organizations are on equal footing and collaborate with each other, what should be the basis for finding areas of mutual common interest?

Areas of mutual interest areas (A)
・Job description and commensurate salary.
・Functions required by the company and the individual's specialty.
・Positions to be filled by the company and individuals with experience in those positions.

There is a way of thinking like (A). This is not to say that it is good or bad, but the premise of such a way of thinking is that it is an economy of exchange of value for value that has already been realized, and the time frame assumed is relatively short.

Areas of mutual interest (B)
・The business and organizational vision of the company and the career vision of the individual
・The company's mission and the individual's subjective truth (inner energy)
・The company's organizational culture and the individual's sense of values

What if we could align the areas of interest of the organization and the individual in terms of (B)? Wouldn't it be exciting, not to mention logic? And if we can belong to a team that is able to achieve this alignment, we will feel a sense of unity.

The premise of this way of thinking is not the exchange economy of value for value that has already been realized, but a circular economy of mutual energy. A circular economy is one in which value is not exchanged on the spot for equivalent value, but by continuing to give it to others, it will come back to us in turn.

Also, the time frame is necessarily long. This is because a circular economy cannot be established in the short term. Even if it does not work in the short term, the circular economy is one in which what is given and what is received are balanced in the long term.

Vision is an essential concept when we value ideas such as ( B ). In the process of listening to and empathizing with each other's subjective truths, we can come to an agreement on a concrete vision for the future, or we can create it together. Then, based on the vision that emerges from this process, we can work together on an equal footing for the long term.

I believe that this is the relationship between individuals and organizations in the future. I think the same can be said about the relationship between individuals and organizations, as well as between individuals who have the energy to create something new.

If You Want To Go Fast, Go Alone. If You Want To Go Far, Go Together

Mr. T, one of our new graduates who joined our company in 2009 and is one of our most experienced employees, told me that there is an African proverb that says, "If you want to go fast, go alone.  If you want to go far, go together."

It's a very impressive and lovely proverb, isn't it?

I conduct the final interview for new graduates, and one of the questions I often receive is, "Most companies involved in adult education are relatively small, but how did your company manage to expand its business?"

The answer lies in this African proverb. There were three founding members of Alue, including myself, and the first thing we did when we got together was not to plan strategies or develop products, but to discuss our mission and vision.

The three of us shared a common wish to "provide good education to as many people as possible," and from the beginning we envisioned expanding our organization and growing our business, rather than running a small business with just the three of us.

The choice was clear: "We want to go far, so we're all going together."

When we choose to go somewhere far away, we inevitably ask ourselves, "Where exactly are we going?" This is the vision.

It is not like we need to come up with a mission or a vision because we need a management philosophy when we establish a company. It's not like we need to write our vision in the company profile on our website, so we think about the wording. It's not like writing an essay for a recruitment ad because there is a space to write about the vision.

Vision is about a more fundamental level. There is an energy that comes from our own subjective truth, and when we decide to "go far together" in the choice of whether to go faster alone or go far together, it is something we naturally want to ask ourselves.

Where do we want to go?
Which mountains do we want to climb?
What kind of scenery do we want to see?

A vision is an expression of how we want to crystallize our inner energy.


Set our own KOKOROZASHI and let them watch over us

(KOKOROZASHI: A dream that is not only for you but also for the people around you)

We talked about how when we choose to go far together, we naturally want to think about our vision. Not only do we think about visions at the time of departure, but visions also play an important role in the journey of going far together.

It's about being able to stay consistent over time.

Sometimes people are in good shape, and sometimes they are not. It depends a lot on the business situation, relationships, and other circumstances at the time. Even if we start out with great aspirations, there will be times when we feel like we are falling short.

In such a situation, having the initial KOKOROZASHI in the form of a vision makes it possible to have the KOKOROZASHI watch over us and to have the KOKOROZASHI encourage us. If we have a vision, we can "go back to the original intention."

To use my own example, I have a vision to provide good education to as many people as possible. Currently, I am proud of the fact that I am able to provide good education to many customers and trainees, mainly large corporations, but the vision encourages me to go far whenever I feel satisfied with the current situation.

"Are you sure that's enough?"

From the perspective of a team, I think it is also important to have a common vision of what everyone values and aims for, rather than relying on one person's own intentions and decisions.

Of course, it is good to discuss and change the destination of the journey together during the journey. I think it is a very good process to discuss and change things that are common to everyone, but if we rely solely on the intentions and decisions of one person, we will not be able to make consistent efforts over the long term.

n my case, I am the President and CEO of Alue, but I cannot and should not change the vision of Alue just because of my own decision on the spot. The vision is not for any one person, but for the entire team.

In this way, by setting a vision, we can make our KOKOROZASHI look after themselves with consistency over the long term.

In this article, I talked about why vision is important now, and how in the current trend of changing relationships between individuals and organizations, vision is at the core of choosing to "go far together" and to work with consistency over the long term.

Here are the quests of the day. (If you'd like, please share your thoughts in the comments.)

・If you had ever made the choice to "go far, go together," what choice would that have been?

・In what situations, if any, were you encouraged by your original KOKOROZASHI?

Bunshiro Ochiai

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