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2021年~ 舌がんをめぐる記録5

追い込まれる10月


あの10月、となると記憶は鮮明。
出来事ひとつひとつ、その時の気持ちや空気は鮮明なものの時系列があやふやなのは、時間の経過とこの頃の余裕のなさ、具合の悪さのせい。
しっかりと眠れていなかった。

2021年10月某日
ドン が かみ につながり つらい。

(翌日)
薬かいたす(買い足す)
ねついては かんで のくりかえし
夜、ねられない。3時まで
朝、かたまった口がつらい

(翌々々日)
安易にねようと思って失敗

私の「Diary for simple life(主婦日記)2021」

10月はじめの某日の日記、
「ドン」とは寝入る瞬間にある、あの「ドン」。
眠りに落ちる時のドンで目が覚めるだけでなく、同時に左側の歯で舌を噛んでしまった。
食事中、舌をガッと噛んでしまった時と同じ。
「ドン」と同時に口内を噛んでしまった、初めての日。
翌日はそのころ「舌」に貼っていた口内炎パッチを買い足し、「夜寝られな」くなっている。
眠りに落ちる瞬間、そのたびに「ドン」と「噛み」で目を覚まし、噛んでしまった衝撃と痛さで眠れず、再び眠りに落ちるその瞬間にまた、の繰り返しで3時まで。その後平日の起床時間、このころは6時まで眠る。
翌々々日、4日後の「安易にねようと思って・・」は夜眠れず、昼間ふらふらして横になった時に、「ドン」と「噛み」をやってしまったから。

このあたり数日はご飯とかその他のメモなどの日記はなし。
次の日記に進む前に、一度日記などの記録にない私の記憶を整理する。


食事に関すること

平日はまだ塾に通っていない子どもが部活を終えて帰ってくる19時ころ、ふたりで夕食をとる。
休日は夫が食事当番で土日の夕食は3人で食べる。

9月に子どもとライブに行ったあたりは、すでに食事や飲む時に「食べづらさ」「飲み込みづらさ」を感じている。ライブと開演前に飲んだタピオカと記憶が結びついている。
ある休日の夕食、夫の作った餃子を食べる。私は酢とガリガリ挽いた黒コショウをつけて食べる。この夏のある日、酢が口内にしみて、熱い餃子が口の中で痛くて、いつもの勢いで食べられない。

口内炎が痛いんだよね、ちょっと刺激物とるのやめてみようかな、みそ汁とか、しょうゆとかもちょっと沁みるんだよね、だから治らないのかなあ、ビタミンが足りてないんじゃない?、チョコラBBのんでおとなしくしておこ、ゆっくり食べて、そんな食事、会話の記憶がある。


舌で気になること


鏡を見ながら、指で舌をなぞるなんかポコンってしてる、たまに歯にひっかかる

舌の左側、先端と根本のちょうど中間、歯が当たる端に、蚊に刺されて腫れたような、ポコンとかたい部分があった。
私は蚊にさされると赤く腫れてかたくなるタイプなので、そのたとえがぴったりくる。
食事で舌を噛んでしまった後の数日間のような、蚊に刺された時のようなポコンがあることに気付いている。
歯磨き中にブラシが当たる、磨きにくい、食事中にその存在が気になる、話している時に気になる、など何かのタイミングで存在を知っている。
口内炎はこれまでの経験上、疲れてる時、こってりした食事が続いた後、旅行に行った後などに現れて、「ああ、疲れてるのね」などと思った数日の間に治ってる、を繰り返してきた。
この口内炎、なんだか治りが悪いなあと思いつつ、ワクチン打ったし、熱も出たし、暑さに弱いし、体力消耗するよね、疲れるよね、と治りがよくない要因も勝手に思い当ったりしている。


検索すると怖くなる

早く治したくて、スマホに聞いてみると怖くなる

治りの悪い口内炎、舌の左端のポコンが早く治らないかなあ、何をしたらいいかなあ、と思いスマホを検索する。

風邪もなんだかんだ完全回復に1週間はかかるよね、2週間のことも、あるね、私だいぶ疲れてるみたいだから、治りにくいのもしょうがないね、と思いつつ、だいぶ長く戦ってる気がするし、よくなってきている感がない。

不調にまつわる検索には「それって、もしかしてこんな病かも」の可能性があふれてる。
医師、医師の監修のもと信頼できる情報が多いがゆえに怖くなる。
怖い病気だったらいやだな、と思っているから。

堀ちえみさんのニュースも思い出したし、検索して出てくるのでいくつかの関連記事も読む。
このころ検索で掘っていった結果、堀さんをはじめ、他の方の舌がんの闘病ブログも読み始める。

でも、閲覧した舌の画像や記事を見ては「私のとは違うかも」とか、気分が落ち込むからここから先は読まないでおこう、と中途半端に閲覧してやめる。
「舌がん」では困るので、ひたすら理由をつけて「私は違う」と。
すでに不安でいっぱいなので、これ以上不安になりたくないと思っている。
なんせ、痛みに耐えながら、家のことや親としてのやることはやらないといけない。できれば苦しそうな自分は見せたくないし、見られたくない。笑って話をしていたい。
それには自分にとって怖い情報は入れたくない、けれど今はそこに向き合わなきゃいけないんじゃないの?とどこかでわかってる。


「おかしい」ことを認めざるをえない

明らかに舌の見た目も感覚もおかしいと思ってくる

9月下旬、10月のはじめには明らかに食事をしていても痛そうにしたり、量をしっかり食べていない私に子どもから「病院で診てもらったら?」と言われたり、話をしていても舌がもつれてろれつが回らないことも増えている。
左端が実際ポツンと腫れているのと、舌が膨張している感覚がある。
食事を飲み込むのに「舌はとっても複雑な動きをしていたんだな」としみじみするくらい、明らかに舌の動きがよくないせいで飲み込みづらさを感じる。
大変なので食べる量も減る。食べる量が減るなんて、今までほぼなかったこと。
日に日にそれらの「〇〇づらさ」が大きくなっていく。


寝てなくておかしくなってくる

このあと、とうとう歯科を受診する。
受診を決意したのは、ここ数日で食事がほとんどとれなくなったから。そして「ドン」と「噛み」のせいで、朝まで眠れない日を過ごしていたから。
噛んでしまった部分をまた噛んでしまうことがあるように、噛んで腫れて、腫れて噛んでを繰り返す。
出血は感じていないが、不意に噛んでしまうのでものすごく痛い。金槌で思いっきり打たれたような衝撃と痛み。その瞬間の痛さをなんとかしようと左の頬をバシバシバシッと平手打ちの「追い痛み」で紛らわす。
夜中噛んでしまうと、時計を見る。さっきから10分もたってないじゃないか、と思うことをひたすら重ねていく、やっと3時、4時、4時半、、
不思議とこの4時半くらいをすぎるとその後噛まずに眠れる。
そして2時間弱眠ったら、子どものお弁当づくりのために起床する。
睡眠時間が取れていないので、ふらふらする。
洗濯して、添削の仕事をして、ふとソファーに座った瞬間うとうとしてまた噛む。
眠れないと涙出るんだ、と知る。
子どもが乳児の時に連続して眠れないつらさを味わうが、こんな風に泣いた覚えはない。
噛んだ舌は食事の時にも痛むから、食事の量が減る。

10月後半の日記は次回の記事。

この時期、写真がほぼない。
自宅の窓から見える工事現場、とか
ちょっと読めた本の気になるところ、とかくらい。


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