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サマータイムの終わり。

サマータイムが、砂のように零れ落ちていくのを、見つめる

今年の夏も終わる。
夏が好きで、いつだってその終わりを自分で決める勢いで追っているけれど、今年は例年に比べても特にしっかりと、終わりを断定出来たように思う。

ノスタルジーたっぷりの夏の雲を抱える空を、セピア色がゆっくりと侵食して、秋へと変わっていく光景に浸ってきたから。

お金がない時に決断をする

強行突破で行ってきました、イギリス・パリの一週間旅。誰にも何も言わず出てきたから、たまたま電話をかけてきた友人とかは相当びっくりしていた。

あれなんですよ… 秘密にしていたわけではなくて、丁度業界の繁忙期と、私の刹那の瞬間を生きる生き方が綺麗にマッチングした結果、ホテルとか抑えたの、フライト乗る1日前とかのレベルだったんですよ…。
「来週ヨーロッパ行くかもだけど、分かんない〜」ってあまり聞かない字面を流石に口には出せなかった。思ってはいたけど。←

あと因みに、私は今、本当に、お金がない。引かれるほどお金がない時に限ってヨーロッパを旅する私。
ベルギーの友人宅に辿り着いた時冷静に3000円が全財産だった頃の私と今回一桁位しか差がない。あの時から、2年経ってるのに…。
今回の旅だって母に借金している。
冷静に考えてアホ。

それでも、なんとか行ってきた理由としては、いくつか理由がある。
1. 来年のカレンダーとしばらく睨めっこしていたけど、来年の連休は今年ほどは良くないから、今ほど長く行けなそう
2. 今年で卒業を迎えたヨーロッパの友人たちは、元々イギリスの人じゃない人が多いので、どこへ行くのか分からない
3. 今年も行けたら、私の大学生活全部の年、ヨーロッパが入り込んだ事になるから。

そして、一番大事なのとして
4. 大学院で戻る決意を揺るぎないものにするため。

色々な事情であまりお金を溜められてなかったから、果たして行けるのだろうか…という不安もちょっとあって、ちゃんと行くという意思を自分の中で固めておく必要性を薄っすら感じていました。

ひたすらお金がない時に行ったのは、「それでも戻ってきたい」という願望を駆り立てられるか。
結果、決意は固まりました。
必ず、また戻ってきます。

私が初めて、自分で選んで、自分で繋がりを作りに行った文化圏が、イギリスで、ヨーロッパで良かった、って思えたから。

私のイギリス

コロナとか色々あったけど、大学生活を振り返ると、結局二つの柱として、ダンスして、あと残りは全部ヨーロッパに時間を使っていたと思う。

1年目: 下見、ヨーロッパの歴史を浴びる。完全観光客なのにこの時既に4カ国回っていたなぁ。


2年目: 大学の友達全員と留学。とりあえず週末はひたすら旅行に行っていた。勉強は割と適当にこなしていた。
3年目: コロナの中、イギリスへ戻る。留学再開。昨年とは打って変わって、イギリス以外には、スコットランドとデンマークにしか行けない。それでもなんとかして3カ国行ってるから、自分でやっておきながら意味不明な事していると思う。そして、院に戻ってこないか相談される。

4年目: 卒業後だけど、入学月考えるとギリセーフという事で。最後にもう一度、私のよく知る道、街を歩く。こういうの好きだなぁ、これ買っていたなぁ、という懐かしさが蓄積されている。そしてついに、今まで除外していた人生初めてのフランスへ足を踏み入れる。イギリス好きとして悲しくなるほどご飯がどこでも美味しい。

大学入学前にとっては未知なる世界だった地球儀上の空想でしかなかった場所が、今はこんなにも親近感を抱く場所になっている。
それが、嬉しい。

そして、その繋がりをきっと繋げていく。
次に行くときは、4年後か、5年後位になると思うけど、今進んでいる道を一区切りつけた上で、ちゃんともう一度行く。

願いは、口に出して、そして叶えていくもの。
私は必ず戻る。

そういえば。
今回の旅行、実は母に私の見てきた景色を共有する旅でもあったんだけど、自分の歩いてきた道を、しばらくの最後として踏み直している時、たまに君の顔が私の心の中で過ぎった。

君は、街歩きと歴史と文化が好きだから、一緒に歩いたらどんな反応をしてくれるんだろう。君と一緒に思い出巡りをしたいな、と伝えたら、笑ってくれるのかな。

夏の終わりのヨーロッパの情景、切り取り

・オックスフォードの過ごしやすさ、すごい。ロンドンにも、空港にもバスで行ける距離感も素晴らしい。そして、やっぱり学生がいっぱいいる街の雰囲気が好き。

・ピンクジンはやっぱり飲みやすいジンNo.1(個人の意見)

・ロンドンもパリも夜通しずっと輝いている一角がある。夜型なので、夜の時間を各々楽しんでいる空気感にほろ酔い気分。

・ユーロスター高すぎて草。これだからフランスお隣の国なの行った事ないんだわ。

・ルーブル美術館だろうが、モンサンミッシェルだろうが、とりあえず疲れちゃったら床に座って休憩する現地キッズの感覚に完全同意。文化を浴びながら休もうぜ。

・美術館といえば、綺麗な綺麗な空間で、自分のタイミングで鑑賞出来る余裕のある時間が贅沢な感じがして最高に好き。写真も撮れるし、模写している人もいるし、文化に触れるのが好きな人達が集まってくる空間を設計できている、心の余裕がある地盤が強固にある文化構築が好き。

・文化と歴史がそこかしこに隠されていて、日々の生きていく過程を楽しめる余白のある社会に紛れ込んでいると、安心する。のと、同時に色々な事を考えさせられるから、創作も進む。でも、それってちょっと不安でもあるっていう事。矛盾。でも、それが人間性。

・モネの絵を窓辺のように見られる。もう字面だけですごい。

・ワインもスイーツも同じタイミングで頼めちゃって、全部10€以内で済む経済価値観は天才の発想。

・フランスなんでも美味しい。イギリス好きとしてはちょっぴり悲しい。笑

・エッフェル塔は近付いていくと、木の葉に隠れちゃうので、隙間を狙い撃ちするか、セーヌ川挟んで見るのが一番綺麗だったりする。持論。

・そういえば、秋は太陽が降りるのは結構まだ遅いんだけど、朝日を見られる時間が遅くなっていっているんだ、と思い出すような電車の車窓を眺める時間。実は、朝が短くなる方が早くて、夜が長くなるのは、思い出したかのように、追ってきて、でも駆け足だから、気付いたら真っ暗になっている感じ。

・電車の旅で詩集を読むのはなんだか、ヨーロッパの方が似合う気がしちゃう。

・ニコニコ笑っておけば、基本勝てる。

・満を辞して行ったフランスだったけど、気になる所、開拓したい所まだまだ沢山見つけちゃったから、次イギリスに渡る時はフランスにも中期滞在出来ないか検討したいなと思った!

・ヨーロッパから帰るときだけ、涙が溢れるのはなんでだろう。また戻ってきたいのに、戻ってこれる確証が、ないからなのかな。

艶やかな夏から、こっくりの秋へ

という訳で、夏、今年もありがとう。
もう行ってしまうのね。もう行っていいよ。艶やかな色彩はそろそろ封印しないと、目がチカチカ、色で溢れてしまう。

こっくりした秋へ、そろそろ移ろっていきたい所存。
季節を楽しむ文化があるのは、日本の良い所の一つ。


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