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悪事は暴かれるのか⁈

Aのしていることを知れば知るほど、サイコパスに違いない、との確信が深まる。そして彼の行動が、組織的な危機を招いた大きな原因になっていることは間違いなさそうだ。

危機の脱出には、この問題を明らかにする必要がある。とはいうものの、彼を訴えるのは簡単ではない。人を操ることを得意とするサイコパスは既に、自分サイドの人間を作り出している。しかも、それは上層部のキーパーソンとなる人たちだ。

あの人、そしてこの人も。明らかに彼の支配下にいる。この状況で、下手な動きをしたら、私が悪者にされかねない。

公平な判断ができ、彼の能力的な問題点を感じていて、且つ、私を信じてくれる人。さらに影響力を持つ人。そんな人に、今の危機を招いたいくつかの件に、Aが関係している可能性が高いことを伝えなければならない。しっかしとした状況証拠などを示して。

その機会は得られた。そこで事実に基づき、彼が過去にどれほど多くの嘘をついてきたのか伝えた。さすがにこれだけあからさまな嘘をついていたとなれば、Aが問題ある人格だと判断するだろうと思った。

ところが、事はそう簡単ではない。意図的な嘘というより、能力のなさ、理解力のなさによる勘違いによるものだろう、という判断だった。

そして、やはりというか、「彼は誠実だ」と思っているとのことだった。

難しい。これほど難しいとは思わなかった。サイコパスに関する知識があれば、もう少し耳を傾けて危機感を持ってくれたかもしれない。そんな嘘を意図的につくなどとは到底思えない、これはサイコパスについて知らない場合、誰もがする反応だ。

親しい同僚の中に、サイコパスに関する基礎知識を持っている人がいた。その場合は話が早い。彼はすぐに理解してくれた。危機がサイコパス気質のAによってもたらされているであろうことを。しかし、だらかと言って何かできる訳ではない。憂慮を共有するのが関の山だ。

正直なところ、万策尽きたという感じだ。これ以上は、彼の悪事が誰の目にも明らかになるようなことが起きない限り、どうしようもない。静かに見守る、今できることは、それしかない。

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