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【虎に翼 感想】第63話 大庭家、遺産相続問題は調停の場へ



遺産分割調停、第1回期日

大庭家の遺産相続問題は、家庭裁判所の調停の場へ移ることになった。
第1回期日。大庭梅子代理人、轟太一弁護士と、助手の山田よねも立ち会っている。

先週金曜日の予告でこの場面が映ったときに、実はかなり驚いていた。よねが調停室の中にいたからだ。今だと、当事者とその代理人以外は入れないことになっている。だから、よねは司法試験に受かったのか!と、胸が高鳴っていたのだ。
しかし、現代とは運用が異なっているだけであることが判明した……残念。
それに、相続人でない大庭常も “扶養される者” として出席していて、調停委員から意向を尋ねられて意見を述べている。70年以上も前の話だから、裁判所の運用もいろいろと変わっている。

徹太は、「自分が全財産を相続する」との主張を曲げない。調停は膠着状態となる。
調停委員の語る「知ると理解は別物」。裁判のプロである弁護士も、自分のことになると意外と弱いものだ。

寅子は、調停の間は何かできる立場ではない。多岐川の言うとおり、弁護士の力を信じるしかない。自分が紹介したんだから。

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轟は、依頼者である梅子の話を黙って聞いていた。
「私はともかく、遺産が息子3人に平等に相続されるようにしたい」
梅子の親心という話で片付けてはいけない。不利益になる話だけど、依頼者の意向だ。よねも “それでいいのか” という顔をしたが、黙って聞いていた。
梅子は、息子3人をそれぞれに心配する。手を取り合って生きていってほしいという願いは、おそらく望み薄なことだ。今、自分が夫の遺産を相続したら、自分が死んだときにまた争いが起きるかもと、心配する気持ちもあるのかもしれない。親の心配は尽きない。


花江のワンオペを癒す道男

道男はときどき猪爪家を訪れているようだ。今日は不格好なおいなりさんを持って来てくれた。修行頑張れ。
花江がごきげんになっている。直人の予想が合っているのかは、今の時点では何ともいえないが、ワンオペで笑顔が減っている中、外にいる人間と接することで、花江の気持ちのバランスが保てているように見える。
直明!花江が漬物を切りに行った隙に、ワンオペの件を情報共有しないとダメじゃないか!
犬の遠吠えは、いつも寅子の気持ちを代弁してくれている。


徹次の屈折

徹次はやはり、梅子に置いて行かれたことを恨んでいた。
あのとき、自分が「行かない」と言ったことは、もはやどうでもいい。実際に置いて出ていかれたことが強く記憶に残っている。子どもに行く行かないの選択権を委ねてしまうのも、酷なことだ。
自己肯定感が低いまま育ち、おそらく兄弟3人の中で自分だけが戦地へ行き、想像を絶する光景を目の当たりにし、怪我と引き換えに戻って来た徹次のこれまでの人生を考えるといたたまれない。


遺産分割調停、第2回期日

2回目の調停期日は、調停委員の依頼で寅子も同席することになった。

徹太は、自分が相続するとの主張を変えない。未だに旧民法の「家督を相続」などと発言してしまう。自分のことになると、法曹資格はまったく意味をなさない。弁護士は意外とそんなもの。
常は、自分が誰に面倒をみてもらうかばかり考える。徹太の「自分が家族の面倒をみる」は、“=嫁の静子の役割” であることを分かっている。それは嫌だから、光三郎に乗り換える作戦に出た。
徹次は、残念だが、自らが何か主張するというよりは、相手の発言の粗を探して責め立てる人間になってしまっている。
光三郎は、梅子の立場を案じる一心で発言している。だが、梅子が心配しているとおり、お人よしが出てしまった。常の口約束を信用してはならない。せめて調停調書に記載してもらおう。

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あくびをした後に「あたしも何か手伝う。何すればいい?」などと言われて、誰が用事を頼むのか。あれは卑怯だ。
梅子が息子たちのために法律を学んでいたこと……光三郎の成長に、それが無駄ではなかったと、喜びに満ちあふれている場合ではない。梅子と光三郎の顔を思い浮かべるばかりで、花江の顔をまっすぐ見ていないじゃないか……何かあるな。


「虎に翼」 6/26 より

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