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児童養護施設等の出身者のお金にまつわる状況(調査結果から)

こんにちは!
「福祉×お金の教育」のテーマで活動をしている、かのです🌼

最近は、活動を始めるにあたって、社会的養護関係者の方にヒアリングをさせてもらっている段階です。本当は出身者の方へヒアリングをお願いしたいのですが、なかなかツテがなく、少しずつ進めているところです。


ヒアリングも大事ですが、まずは調査やアンケートなどからの理解も深めるために、こちらの調査を読んでました。

令和2年度子ども・子育て支援推進調査研究事業 
「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が 解除された者の実態把握に関する全国調査」

2021年3月  三菱UFJリサーチ&コンサルティング


  • 本報告書は、社会的養護のケアを離れた子ども・若者(以下「ケアリーバー」)の現状に関する 日本で初めての全国調査の報告である。

  • (退所した本人を回答者として)2,980 件の回答が得られた。

とのことで、なかなかすごい調査です。200ページ以上にも渡り読みごたえもありますが、内容も充実していて一気に読み込んでしまいました。


全体を見つつ、特に「金銭問題」「金銭管理」という観点で整理をしていきました。私なりのポイントがこちらです。

  1. 貯蓄があるのは半数。黒字家計は4分の1程度

  2. 不安・困りごとの中で「お金」が最大

  3. 就業、学業、心身の健康などあらゆる設問でも「お金の問題」が課題として挙げられている

  4. 当事者の方から、自立時に金銭管理や相談先を求める意見はある

  5. ただし、どんな支援が欲しいと問われた時に求められてるのは金銭支給であり、金銭管理サポートを求める意見は出てきていない


ここから分かるのは、やはり自立後の生活・人生で「お金」の部分が非常に重要であること。そして、もしかしたら最も重要かもしれないということ。
心身の健康、学業や仕事を通して、その後の人生にも大きな影響を及しうるということ。

そして、この中で5つ目「どんな支援が欲しいと問われた時に求められてるのは金銭支給であり、金銭管理サポートを求める意見は出てきていない」が、金銭管理サポートをしていく中で、ハードルになるポイントだなと。

背景としては、「直近でお金に困っている人が、金銭管理サポートという見慣れない、そして効果が分からないものへ期待できない」ことがあると思います。
実際に、困窮度合いが高いほど、金銭管理のサポートの効果は得づらくなります。「金銭支給=外科手術」であり、「金銭管理サポート=漢方薬」というイメージです。

一方、困窮度合いが低い(と本人が思っている)と、サポートの必要性を感じにくい。当事者さんが「何とかなるだろう」と思っていたというのは、当事者さんからも施設職員さんからもよく聞くことです。後々で大変になった時には漢方薬では治療できなくなっている状況です。


このジレンマにどう取り組むかは課題です…。
いくつかのアイデアとしては

  • 退所前の金融教育で、金銭管理の効果を知ってもらう

  • 当事者の先輩から生の体験を話してもらうことで、意識を高める

  • 例えば居場所や交流など他の目的で集まる機会を用意して、その中のメニューとして金銭管理サポートを組み込む

  • 子どもたちにお金のことを教える先輩役やプロジェクトを通して、金融教育を行う(教えることが一番の学びになるため)

  • とにかく楽しくて、効果の出るプログラムを作って、口コミで展開する


この辺りを今後検討していきたいと思います!!