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職員さんからの質問:子ども達に聞く耳を持ってもらうには?

こんにちは!
「福祉×お金の教育」のテーマで活動をしている、Ocalea+です🌼
児童養護施設や里親家庭など「社会的養護」の分野での、お金のトラブルを防ぐための活動をしています。 お金の準備をできるだけ簡単に整え、安心して出発できる社会を作ることを目指しています。


施設職員さんからよく頂く質問に答えていきます。
今日は第一弾として「子どもたちに、お金のことについて聞く耳を持ってもらうには?」に答えていきます。

意外と聞く耳を持っている子どもたち

まず最初におさえておきたい事実が「大人が思っているより、子どもたちはお金のことに関心を持っている」こと。

金融教育を実施していると、始まる前はめんどくさいな~と言っていた思春期の子、何となく刹那的に生きているように見える子、そのような子たちも講座中にお金の不安を話してくれたり、アンケートでは〇〇のためにお金を貯めたいと書いてくれたり。

職員さんたちからも「子どものいつもとは違う面が見れた」という声を多くもらいます。

もちろん全員が…という訳にはいきませんが、少なくとも「大人が思っているよりは」関心をもっていそうです。


だけどやっぱり、身近な関係の大人の言葉は聞きたくないとなりがち

それでも、やっぱり、親がわりの職員さん、一緒に暮らしている里親さんから色々お金について口酸っぱく言われても、どうしても聞きたくない!、別に大丈夫だし興味ないし~という態度を取ってしまう子も多いと思います。

特に「貯金しよう」「無駄遣いしないように」という行動に制限をかけられる内容が多くなると、耳を閉じてしまいがちです。
なので、私自身、金融教育講座を実施する際にはいろいろ工夫をしています。それらの経験を踏まえて5つのご提案をします。


こんな工夫が出来ます! 5つの提案

以下の5つの工夫、ぜひできる所から取り入れていただければ嬉しいです😊

① 外部を利用する
私も児童養護施設や里親家庭の子ども向けにお金の教育講座を実施させてもらっていますが、職員さんなどから「外部からの声だと少しは聞く耳を持つ」という目的でご依頼されることもあります。

自分に対して身近すぎる大人から「あなたの将来が心配だから貯金して」と言われるよりも、中立の立場の人から「世間一般の大人たちはこうしている。こうするとお得です。」と話される方が、受け入れやすいのかと思います。

外部による金融教育講座を利用しつつ、日々の暮らしの中でお金の教育を取り入れられたら一番いいと考えています!


② 具体的な「お得情報」から話し始める
例えば、「スマホ代などの固定費を安くする」という王道の節約方法があります。たった1回調べて簡単な手続きをするだけで後は自動的に年間いくら安くなる、3年たつといくら違いが出ると数字を見せる。

大金がもらえる奨学金や授業料免除について話す。

他には、NFT、ゲームして稼げるPlay to Earn、FIRE(早期リタイア)が話題になっています。ゲームやお金を稼ぐことには興味持つ子もいるので、「あれってどうなの?」とお金のトラブルについて話題にだすこともできます。

お得情報以外にも、転売チケット詐欺、推しへの投げ銭なども若い人たちが関心を持ちやすいテーマに近づけて話すことができる話題です。

③ 職員・養育者自身の家計やお金のことから話し始める

お金のことについて口出されるのは嫌だけど、大人のお金事情は気になる子が多いと思います。私も年収いくら?など聞かれることも。。職員さん自身が「今月出費がやばくて…」「貯金したくて、いくら目標で、こういう方法で貯めてるんだ~。でもなかなか難しくて…」「FIREって知ってる?興味あるんだ~」という話を雑談の中に織り込んでいくのはおすすめです。

思い切って、自身の家計簿や領収書を見せるという手もあります…!

また、Paypay、ツケ払い、ゲームの課金、サブスクのトラブル、新しい投資方法など、中高生の方が詳しいことも大いにあります。それらを「教えて!」というテイで話を聞かせてもらって、そこから一緒にトラブルを調べたりできます。(高校3年生の子たちに、中高生に指導したいから教えて!と頼ってみるのも良いかもしれません。)

④ 施設出身者のユースたちに話してもらう
子ども達も、施設出身の先輩の声(できれば同じ施設)から生のストーリーを聞ければ、よりリアルに興味を持てると聞いています。交流の場があればお金のリアルな部分について話してもらったり、話題にしてもらうのをお願いできるかもしれません。

ユースからは、「もっとお金のことを教えておいてほしかった!」「何とかなると思ってたけどならなかった」という声をたくさん聞きます。後輩たちに自分の経験や学びを話したいという人もいます。
もし、ユースに協力してもらうのが難しくても、事例として話してあげるのでも効果的です。(たとえば「以前、この施設を退所した先輩でね…」といった感じで)

私たちOcalea+でも、今後は協力してくれてるユースの声を、子どもたちに届けられるような発信をしていきたいと思います。


⑤ 「決めるのは本人たち自身」というスタンスを持つ

少し精神論になってしまいますが… 「お金は本人のモノであり、決めるのは本人たち自身」というスタンスを持つことも大事なことと思います。

なかなか難しいことですが、「あなたが決めることが出来る」という大人の姿勢が子どもたちの心を開くことは想像できるかと思います。年齢が上がるにつれて出来るだけ本人が決められる範囲を意識的に増やしていきます。

実は、子どもへの金融教育では「失敗は子どものうちに大いにさせる」考え方が推奨されています。自分のお金を自分で考えて、自分で失敗して、試行錯誤していく。失敗は、失敗でなく学びとして捉えます。
大人の役割は失敗させないことでなく、「決める」をサポートすること。それを長期戦でやっていくイメージです。

この「決めるのサポート」はなかなか大変。
例えば「貯金するか・しないか」問題。

「貯金するか・しないかを自分で選んでください」だけだと、判断するスキルが伴っていないと難しい。判断材料を具体的に説明して、自分はどうしたいかを話し合えると良いです。
➡ 貯金にはどのような目的があると言われているか
➡ 毎月いくら貯金すると何年でいくらになって、どういう効果があるのか
➡ 世の中の大人たちはいくらぐらいを貯金しているのか、それはなぜか
➡ 貯金額の設定方法(目標逆算)
(これらを全部説明しないとしても、大人側が分かっているかどうかで伝え方も変わってきます)


聞く耳を持っていなくても、伝えることに意義がある!

これまで、何とか聞く耳を持ってもらう工夫をピックアップしてみました。ただ、実は「聞く耳を持っていない子どもに伝える」ことも意義があると私は考えています。

子どもって、実は反発しつつ、言われたことが内在化されていて、自分より小さい子には同じことを言っているということありませんか??(ケンカしては叱られていた子が、自分より小さい子にケンカするなと諭すようになるなど…)

また、反発していても、長期的にその知識が役立つということもあります。

ユースたちからも、「当時だったら反発してたと思うけど、無理やりでもお金の話はしておいてほしかった」との声を聞きます。大変な役回りだとは思いますが、ぜひ伝え続けていただければと思います。


それではお読みいただき、ありがとうございました!