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奨学金や支援の隠れたリスクとは?

こんにちは!
「福祉×お金の教育」のテーマで活動をしている、Ocalea+です🌼
児童養護施設や里親家庭など「社会的養護」の分野での、お金のトラブルを防ぐための活動をしています。

支援制度は、本来は「困窮状態にある方へのセーフティネット」や「不利な状況にある方へのサポート」という意味合いがあると思います。
しかし、さまざまな若者の話を聞いていると、奨学金や支援による弊害がかなり大きいなと思っています。

どんな弊害があるのか?「ハウスマネー効果」

「ハウスマネー効果」と言って、苦労せず得られた棚ぼた的なお金は、人は散財してしまうという心理効果が行動経済学で示されています。
つまり、奨学金やサポートは、当事者のかたの金銭感覚を崩してしまう可能性があります。

特に、お金を一回で渡したり、2か月に1回渡すなど頻度が少ないと、よほど計画的に使える人でないと、ムダに羽振りがよくなるだけの使い方をされてしまいます。
自立直後に入ってきたお金を一気に使ってしまうのも、よく聞く話です。

人としては仕方ないことかもしれませんが、お金がもらえるなら…といわゆる「ズル」をしたり、話を盛ったりというのも、よくあることかもしれません。

なぜそのような状況になっている?

昨今、子どもや若者への貧困問題に対して世間による関心が高くなり、支援が増えてきました。
支援の内容としては、モノや食べ物、お金などを含めた直接的な支援も近年増えています。
特に、社会的養護出身者の中でしっかりしているように見える子だと、かなりの金額の奨学金を得られたりして、社会人よりもお金が入ってきてしまうことも。

もちろん、これら支援によって、実際に困窮状態に陥らなくて済んだり、生き抜くための必要なモノが得られたり、未来に歩めたりということがあると思います。
しかし、自分で数万単位で管理したことがなければ、一般的な支出予算について知る機会もない。
そのような若者が数万円のお金を手に入れたら、金銭感覚がおかしくなってしまうのも致し方ないことかもしれません。

支援者側の背景もあります。
支援する側もサポートをするためには資金調達しなくてはいけません。
その時に、当事者に直接届けられる直接支援の方が、助成金などの資金提供者の理解を得られやすいという背景もあります。
(もちろん、実際に極度の困窮にある若者を見ているというのもありますが)

また、支援を届けられる相手が、すでに支援者に繋がっている人である。という矛盾もあり、どうしてもたくさんの支援を受ける人が出てきてしまいます。

ではどのように支援をしたらいいのか?

支援活動はもちろん実施していくのはいいのですが、
一方で、支援が当事者のかたの金銭感覚を崩してしまう弊害を、可能性のあるリスクとして認識する必要はありそうです。

●金銭教育とセットにする
支出バランスや一般的な1か月予算、購買時のポイント、計画や見通しを持つ…などは事前に学べるとよさそうです。
もちろん「金銭管理うけてムダ遣いしないように!」という見せ方だとキツイですよね。
例えば…
「皆さんの生活がよりラクに楽しくなるように、最近話題のお金の勉強の機会を用意しました。ご参加いただくとモノ・お金のサポートを受けられます!」
とするなど、伝え方は工夫するといいですね😊

●少額・少量を定期的に届ける
できるだけ、1回きりの支援ではなくできるだけ、少額・少量を定期的にサポートしていくことが望ましいです。
そうすれば、ハウスマネー効果も減少し、金銭感覚を乱す要因になりづらくなります。
とくに、民間の奨学金は、生活費などのお金を出すなら金銭教育と定期支払は必須にしてほしいとさえ私は思います…。そして出来れば、進学後も繋がってお金の使い方について学べる機会を提供できるといいですね!

●本当に必要な人なのかを見極める
支援する対象者のなかには、本当に食べるモノやお金に困っている方もいれば、食べ物は削ってでも浪費している方もいます。
後者に、お金を渡しても、生活向上にはつながらなかったりします。
支援団体さんは、様々なタイプの若者を把握していると思いますので、その知見を活かしていただければと思います。

このように書くと生活費OKの奨学金などに反対しているように聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
現代の学生が、アルバイトが大変で授業や生活が苦しいという話も聞きますので、他の奨学金との併用条件なども検討しながら、必要なのかどうかを見極めるプロセスが重要と考えます。

●今支援者に繋がっていない人に繋がることを優先する
たいへん難しいことではありますが、どの支援にも繋がっていない人に繋がることを優先する方向性もあるかと思います。
人に頼れるようになった人と、頼れていない人の支援格差をなくすことが、この支援弊害問題の解決につながるかと思います。

今回は、奨学金や支援の隠れたリスクについてお話をしました。
支援の際の金融教育や設計について、ご相談も受け付けていますので、お気軽にご連絡ください。
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