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主人公達のお泊まり

密かに作り續けているRPGツクールの作品の主要キャラクター達の姿繪も漸く若手がほゞ出揃い、あとはシニア層を残すのみとなりました。
長きに亘ってチラシの裏のラフ稿に留まっていたキャラクターも日の目を見る日は近いのであります。
完成の暁には集合繪として全部寄せ集めてみたいものだと思っております。

さて、そんなゲームの中にも一丁前に「宿屋」が存在します。
しかし私は思うのです。
世間一般でよく見かけるRPGの「宿屋」と云うのは中世欧州で見られた制度であり、これをそのまゝ私の作品の日本の時代劇に當てはめるのでは非常に宜しくないのだと…。

そもそも劍と魔法で遥かな大地を旅して…なんて「ファンタジィ」の様な冒險ではないのです。
複数のベッドが置かれている少し大きめの一軒家で寡少な代金を支払ってたゞ寝るだけ…と云うのでは旅情が感じられません。
おまけに何故か主人公の故郷から遠く離れる程宿泊費が値上げしていくのもフシギなハナシです。
(ゲームバランスを調整する為なんて無粋な事を言ってはいけない!)

兎に角日本全國、旅支度を整えての諸國漫遊の旅と云った世界観なので、やはり宿泊と云うのは旅の要になってくるのであります。

そこで旅を續ける主人公達のお泊りを少し覗いてみましょう。

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とりあえず俗に言う「宿屋」は存在するのですが、特異な点は「宿代が高い」と云う事です。
少し考えれば當然なのですが、旅行で一番嵩むのが宿泊費です。
一つの町で疲れたからと言って何泊も逗留する様ではあっという間に路銀が尽きてしまいます。
…ちなみに上画像の400文は現代の貨幣価値に直すと約10,000圓程です。
(それに對して主人公達の全財産は6,500圓程です…)

これでは1泊する事なぞ出來ません。
もっと安い宿を探さねばならないのです。

そうです。
「宿場町」と呼ばれる位なのですから大きな町には色々な種類の宿泊施設が立ち並んでいて、その中から適切な店を選ぶと云うのがこのRPGの特徴なのです。
(逆に小さな町や村では安宿1軒だけだったりする場合もありますが…)

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例えば先程の1泊10,000圓程の宿はこんな感じの一般的な旅籠です。
このクラスになると食事附き・風呂附きと云った店も少なくありません。
泊れば全ての能力を全快出來、状態異常も恢復します。
まさに手っ取り早く恢復する手段の要と云ったところでしょうか。

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それよりもグレードが落ちると食事を出さない素泊まりのビジネスホテルの様な宿があります。
宿泊費もその分だけ低廉になるのですが、別途他の店で食事を摂らなければ「空腹」の状態になるのでその分だけ手間が増えます。
大軆は宿のすぐ近くに飯屋が在るのですが、面倒なら事前に辯當を賈って持込で泊ると云う手もあります。
現實の旅行でも宿代を切り詰める為にそうする事がしばしば起こり得ます。
經驗者は斯く語れり…。

※「空腹」についてはこちらをご參照ください…。

食事の有無は宿の貼り紙や従業員から聞くか炊事場や食堂の有無で判断します。

それよりももっと安く濟ませるにはもっと安い宿を探せば良いのです。

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何やら町外れに在る粗末な建物ですがこれは木賃宿、即ち簡易宿泊所の様なものです。
當然泊まるだけで食事なんて出ません。

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それもこう云う粗末な大部屋で他の人と共に寝泊まりする事になります。
料金は旅籠の1/5~1/10程度で濟みますが恢復量に限度があり、消耗の程度によっては1泊で全快しない事もあります。

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おまけに治安の惡い地域の店ではこうしたトラブルが多々起こり得ます。
經驗者は斯く語れり…。

それでも尚安く濟ませるには…

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野宿と云う手があります。
町の空き家やフィールド上に点在する無人のお堂等に入ると、或いはダンジョン内の特定の場所で「野営の道具」と云うアイテムを使用する事で泊る事が出來ます。
基本的に恢復量は非常に少なく、主人公の現在の残りHPでその量が計算されるので場合によっては1泊したのに体力が減っていると云う事態も起こり得ます。
野宿とはそう云うものなのです。
經驗者は斯く語れり…。

…と、下には下が存在するのですが、上には上もあります。
涙がこぼれない様に、上を向いて歩きましょう。

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例えばこうした高級旅館も登場します。
特に江戸や大坂と云った大都市や温泉地等に多いのですが、謂わば脇本陣です。
効果は一般的な旅籠と同じなのですが、ここでは宿泊以外に色々なサービスを受ける事が出來ます。

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番台の人に何なりと申し傳えます。
宿泊費は一般的な旅籠の倍以上ですが、所によっては宿内に遊技場が在ったりするので一寸した旅行氣分を樂しめます。

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そして何よりここで宿泊すると、こうして次の間附きの豪華な客室で仲間同士で會話を樂しむ事が出來ます
(画像では出前で酒を頼んでいます。勿論別料金ですが…)
折角の旅なのですから主人公達にこう云う樂しみを與えても良いのではなかろうかと存じます。
多くのRPGで割愛されるところでありますが、本來仲間と宿に泊まると云うのはこう云うものではないでしょうか。
經驗者は斯く語れり…。

宿に泊まるか野宿すると旅日記と称する「セーブ」を行う事が出來るのでゲームを中断する際はどこかしらで泊る必要が出てきます。
王様に話しかけて記録を取ってもらうなんて仕組みはこの國には無いのです。
また、フィールド上ではどこでもセーブが出來るなんて甘い制度もございません。(だからクソゲー扱いされているのです)


しかし、よく考えてみれば折角空想の世界で旅を樂しんでいるのですから、そのフインキを味わえる様に作ってみるのも良いのではないかと存じます。
どこもかしこもただ寝泊まりするだけではとても味氣無いのです。
旅とはそう云うものです。
經驗者は斯く語れり…。



―おまけ―

こんな場所で泊れたりもしますが、それはまた別の機會に……。

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時代劇ですから遊郭の一つや二つ普通に出てきますし、折角ですから利用も出來ます。
木久蔵さん(現・木久扇さん)の台詞で客寄せに引っ掛かる之圖。

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そしてかの名言もこの通り。
主人公の宿泊とは、こうでなくてはなりますまい。

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