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主人公は住所不定無職

昔からRPGの主人公は何かにつけて「勇者」と呼ばれており、それが職業として扱われていますが、實際のところ具軆的に日常何をして過ごしているのかと云うところを考えると實に不明確な職業と言えるのではないでしょうか。

そもそも「勇者」とは勇敢な者と云った謂わば形容的な單語であり、その名称を以て職業として扱うのもどうかと思います。

例えば戰士や武闘家は戰斗行為の専門家なので王宮等で雇用されて將兵として、或いは有力者の下で用心棒としての業務があるでしょうし、魔法使いや僧侶、賢者なんかも宮廷や教会、或いは學會に所属する等してそれなりに仕事は有るでしょう。

商人は言う迄も無く、遊び人ですら盛り場で「人を遊ばせる」と云うエンターテイナーとして立派な仕事が有ります。

ところが勇者はどうでしょう?
一応、勇者の仕事と云えば「魔王等の世界的脅威を討伐する」とかそう云う事ですが、平時に於いては特に何もする事が無いのが實情だと思います。
しかも王様や神様なんかから「世界を救う」と云う使命を言い渡されなければ「毎日ブラブラしてはそこそこの生活をしている」と云う極めていい加減な様相を呈しているのだと思います。

…だから私のRPG作品では、まず主人公に「勇者」を名乗らせません。
尤も日本の時代劇なので勇者もクソもありません。
このゲームの主人公は「素浪人」なのです。

それこそ無業者の如き位置附けであり、住所不定無職と言っても過言ではありません。今のところ實家の様な存在もありませんので…。


さてそんな主人公ですが、前回とりあえず最初の村を出發して金銭を稼ぐべく銚子に向かったところから今回のハナシを始めます。

↑前回の記事

RPGに於いて金銭を獲得する主な手段は「町の外をうろついて出會った者を殺害して奪う」と云う極めて惡質な方法を用いるのでありますが、それは「街の外は魔物がいっぱい」なファンタジー世界の不文律であり、よく考えたら現實的なものからの乖離が著しいのであります。

勿論、私の作品にも町や村を出れば敵に出くわしますし、それと斗わなければならない場面は當然あります。しかし…

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こう云う奴とか…

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こんな奴とかが現れますが、果たしてこの類が金を持っているでしょうか…?
また、仮にお金を持っていたとしても何の意圖が有ってお金なんか持っていたのか、コレが解らないのであります。
これも昔からよくあるRPGのオヤクソクなのですが、およそ貨幣經濟とは無縁と思われるモノが大量のお金を持っているので何とも腑に落ちません。

私のゲームでは、こう云う獣や植物、昆虫等の「概して文明的ではない種族」を倒してもお金が得られないのです(經驗値は普通にありますが…)

従って「金策」は常に考えておかねばならず「この地方ではどうやって金を稼げば良いか」がカギとなってくるのであります。
お金を得ると云う事は他のRPGと同じく必要となってくる事柄なのでありますがそれを單に「敵を倒す」だけの作業に終始しないのが私のゲームです。
どうせなら色々な方法でお金を稼げた方が面白いのだと思います。


斯くして主人公は銚子へ出稼ぎへ出たのであります。

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房総半島の東端に到着。
前回の情報ではこの町の口入屋で良い仕事があるとの事でしたので、そこを訪れましょう。

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口入屋とは現在の人材派遣業の様なもので色々な仕事を斡旋するお店なのです。

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まずはお店の人に話しかけて仕事の内容を確認してみます。
どんな仕事か確かめもせずに働こうとすると絶對に宜しくないのです。

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どうやら肉軆勞働の様です。

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「誰にでも出来る簡単な仕事」と云うのは要約すると「人工は誰でも良い」と云う事であり、勞働者は碌な扱いを受けません。
經驗者は斯く語れり…。

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それでも金銭を得られる機會はこゝでしか無さそうなので働く事にします。
ここではミニゲームが始まり、画面上の主人公向かって右側に散乱している荷物をかの『倉庫番』の様に動かして制限時間内に決められた場所へ持って行く内容です。

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港には他の人足(勞働者)も働いており、これに接触すると怒られてしまいます。

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日雇いバイトの扱いなんて所詮こんなものです。
經驗者は斯く語れり…。

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3回接触してしまうとクビになってしまいます。
こうなると給金は支給されません。現場を弾き出されて即退場です。

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昔の某野球ゲームに似た様な画面が出てきますが金を稼ぐのは大変なのです。
對策として2回怒られたら現場の端っこでサボって時間が過ぎるのを待つと云う方法があります。
1つでも荷物を運び終えていれば給料が出る仕組みで3回目をミスすると即アウトなので、生眞面目に働くよりも時にはこうする事が大事です。
經驗者は斯く語れり…。

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さて、氣を取り直して荷物を運んでいきます。

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港の端っこに倉庫が在ります。

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これを時間内に荷物が無くなる迄繰り返す訳ですが…

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時間切れになると給料は残った荷物の数に応じて減額されます。
上手くノルマを果たすには鳥渡した要領が要るのです。
そこはゲームなのですから「單純作業」にはならないのです。
上手く考え乍らやってこそのゲームなのだと思います。

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日當の満額は350文(現在の貨幣価値で約9,000圓程)で、ノルマ未達分1つに附き50文の減額となります。
日當がどうやっても10,000圓にならないのはピンハネが行われているからなのです。經驗者は斯く語れり…。

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ノルマを全部片附けて尚且つ1回も怒られなければ少し褒められます。

こうして仕事を終えた主人公。
しかし仕事を終える頃には主人公のHPは激減しており、軆はボロボロです。

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とりあえず仕事上がりにひとっ風呂浴びに行きましょう。
ここで軆力回復です。

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更に空腹状態なので飯屋で食事をします。

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折角給料をもらったので帰りがけに一杯引っ掛けて行きましょう。

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あとは安宿に泊まってセーブして次の日の仕事に備えます。
これを2~3日繰り返すと所持金も増えて一通りの活動が出來る様になります。

なんだか日雇い勞働者の生活を追軆驗している様ですが、バイトは「經驗」と見做されるので、ちゃんと經驗値が増えます。
勿論、一定量でレベルも上がり能力も増えます。何事も「經驗」が大事なのです。

敵を倒して云々なんてのは古いのです。この様にして稼ぐのです!

勿論、律義に敵を倒して稼ぐのも當然有りですが大巾に時間と勞力がかかります。
主人公の強化の為にただ單にフィールドをうろついて敵を倒すだけではツマラナイのだとかねがね思っておりましたので、このゲームではこうした稼ぎイベントを如何に巧く行うかが攻略のカギになってきます。
現實的なのです、このゲームは…。

さて取り敢えず金子も充分に出來たので、ここいらで賈い出しに出る事にしましょう。
この近辺では大多喜の城下町が最も大きな町なので、そこを目指します。

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銚子からだと、それなりに結構離れています。
勿論、地道に歩いて行けば到着するのですが路銀もレベルも充分にあるので敵を倒す意味はあまりありません。
余計な消耗をしない為にも時間短縮で行きましょう。

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この町にはこう云う便利なものがあります。駕籠屋さんです。

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お金を払う事で近くの町迄瞬時に移動出來ます。
所謂「ルーラ」と違って未踏の地でも金さえ払えば運んで行ってくれます。
勿論、目的地の距離によって運賃が異なります。
バイトをして今はお金持ちなのでリッチに行きましょう。
100文の出費なんて安い安い!

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駕籠を使うと移動中に駕籠かきから情報を得る事も出來ます。
こうして数秒後に大多喜の城下町の入り口に到着している訳です。

今回はこゝ迄と致します。
次回は大多喜城下で賈い出しと旅の支度を整えます。

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