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#9 青春時代の僕の暗闇にさしてきた光


オシダナ(推し棚)は、小布施町民の方々、テラソ利用者の方々の推しの本たちをご紹介していくコーナーです。不定期更新。

本日お話を聞きしたのは、穀平味噌の小山さん。まちじゅう図書館の館長でもある読書家な小山さんにとっての印象深い1冊とは?

小山:私にとっては、学生時代に読んだ亀井勝一郎著の『思想の花びら』ですね。


志賀:読んだことないです…。読書家の小山さんのオススメ…相当気になります。

小山:だいぶ古い本だからね。読書家とはいっても、忙しかったり目が疲れてきたりでもう大分読むのが大変になってきちゃっているけどね(笑)
一番読んだのは、10代20代の青春時代かな。あの時は本当に片端から読んでいたけれど、その中でもこの『思想の花びら』はとても印象深かったですよ。

志賀:数多の本のなかでどう印象深かったのか、もう少し聞いてもいいですか?

小山:時代も影響しているんだけれどね、私の学生時代はこれまで盛んだった学生運動が下火になってきた頃なんですよ。それこそ安保闘争とか全共闘とかね、そういう命を燃やしている若者たちが落ち着いてきて、私はそんな先人たちの背中も見ながら自分の生き方や進路に悩むことが多かったわけです。そんな時、ふとこの本を手に取ってね。短文というか散文というか、別に物語ではないんですよ。ただ、亀井さんの心の声や気付きみたいなものが徒然なるままに書かれているような、日記のような本なんだけど、非常に心に響くフレーズが多くてね。私にとっては暗闇の中にさしてきた一筋の光のように感じたの。それが印象深かった理由だね。

志賀:暗闇にさしてきた光…。

小山:今はこういう悶々とした鬱々とした状態かもしれないけれど、このままでは人生は決して終わらないというかね。いつも何かと巡りあっていて常は変わり続けるというか。今パッと思い出せないけれど、その当時ノートに気に入った言葉を書き留めていったりして…まあそういう時代でしたよ(笑)

志賀:なんだかそう聞くと、思想の花びらって本当に粋なタイトルですね。亀井さんの思想が花びらみたいにハラハラ零れ落ちてくる感じというか。めくられていくというか。

小山:そうだね。私は奇怪な小説、それこそ夢野久作の『ドグラマグラ』とかも好きではあるんだけど、1冊っていわれるとやっぱりこれだね。

志賀:早速Amazonでポチりました!私も読んでみます。小山さんの素敵な一冊を教えて頂き、ありがとうございました。


<追記>
ちなみに穀平味噌さんのお味噌は長い歴史と本物の美味しさがあるお味噌屋さんで、食べ比べをしながら今日はこれにしようかな…と選ぶ楽しさがたまりません。

小布施町立図書館の取り組みの一つである「まちじゅう図書館」にも1期の段階からずっとご協力いただき、それはもう過去本屋で働いていた過去もある小山さんのニッチなご趣味丸だしな本を並べていただいています。

是非、足を運んでみてください。

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