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私はなぜ走るか | 2020年4月編

2020年4月19日、日曜日。17時〜19時頃に都内を13km走る。

この日のランニングまでは、これまで以上に周囲の人々に気を使わなければいけなくなったり、マスクが必要になったり、走る喜びの手前に新たな障害がいくつも発生し、モチベーションが下がっていた。

使い捨てマスクのストックがないため、布マスクの運用には毎回10分程度洗剤に浸けて…という記事を読んだ時、ランニング生活はしばらく休止しようかと絶望した。あまりに面倒すぎる。続ける自信が全く湧かない。

だからこそ、この日、改めて走る理由を考えながら走った。
そして、今は風呂に入るために走ろう、と思った。

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月に2回ほどオンラインで開催している、この共同運営マガジン「WE Run」の編集会議、、、という名の雑談を、先日も行った。

在宅推奨化した社会によって、最近走り始めたメンバーはモチベーションが上がっている。それに対して、これまで走っていたメンバーは、それぞれ、もがいている。

ところで、ランナーは大きく分類すると2種に分けられるというが、あなたはどこに位置するだろう?

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東京マラソン以降、ランナー人口は1000万人になったといわれますが、中身を見ると、従来のいわゆる”ガチランナー”に近い500万人のランナーに、新しい500万人のランナーが加わった、きれいな二層構造になっています。その新しい500万人はこれまでの話にも出てきたように、ただ街を走ることや友達と走ることが好きだったり、タイムもあまり気にしないような若いひとたちのこと。

宇野常寛、走るひと編集部ほか「走るひと × PLANETS」、『PLANETS vol.10』、2018年10月、142頁
※画像は151頁を撮影

上記の分類でいえば、私は自己ベストなどはあまり気にせず、気分で走るタイプだ。
だが、在宅推奨かつ、様々な大会が開催されないかつ、人気のコースはどこもランナー人口急増等などの理由によって、この分類もおそらく今まで以上に融解し、誰もが皆ライフスタイルスポーツとして走らざるを得ない、というのが今だろう。

今日、走る理由の消失と発見

私はというと、冒頭で述べた通りモチベーションを大きく落としていた。

年始に立てた年間1500kmという大目標と、所属しているPLANETS CLUBランニング部で部長に手を挙げたという環境設定によって、なんとか今月も走り続けている、というのが今である。

大目標と環境設定によって、走ることは常に頭によぎる。
しかし、今日走るモチベーションがなかなか沸かないのだ。

私が一番好きな走り方は、何かのついでに走ることである。
移動手段を電車からランニングに置き換えて、移動の過程を楽しむ。
映画を観に行ったり、買い物に行ったり、コーヒーを飲みに行ったり。
その往復運動もしくは片道をランニングに置き換えるのが好きだ。

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▲出張先で、茶を買いに行くついでに走った記録。復路は抹茶の入った缶を左手に握りながら走った。

昨今、様々な自粛によって、走りながら楽しむための理由が消失してしまった。

さらに追い打ちをかけてくる、マスク問題。
使い捨てマスクは未だに買えないし、布マスクは都度洗わなければいけない。呼吸だって、超快適とはいえない。

走りたいけど走りたくない。
そんな葛藤を克服すべく、自分が走る理由を考えて、走った。

今、私はなぜ走るか。

自信を持って答えるならば、風呂に入るため、だ。

生活の一部として、ではなく、生活のために。

在宅勤務を始めてから、1ヶ月半程度が過ぎた。
それまで、出勤する時はヘアワックスを塗りたくっていたため、基本的には毎晩シャワーを浴びて、髪を洗っていた。ワックスを塗るのも、シャワーを浴びるのも、その方が快適だからである。

しかし、在宅勤務がスタートしてからはワックスを使う習慣が消失し、自分の中でシャワーを浴びる理由が殆どなくなった。2〜3日浴びなくても、睡眠の質はあまり変わらない。

気づけば顔も洗わなくなったが、ふと鏡を見たときに顔の表皮が悲鳴を上げていたため、日々の気分転換も兼ねて顔はちゃんと洗うようにした。

あとは、髪と身体を洗うタイミングである。
決して肌が強いタイプではないので、シャワーを浴びる頻度はそれなりに増やしたほうがいいのは頭では分かっている。ただ、不快度指数が上がらない限り、シャワーを浴びる気にならない。

「ライフスタイルスポーツ」という言葉がある。ライフスタイル=生活の習慣およびそれに紐づく価値観諸々を指すが、「ライフスタイルスポーツ」とは、生活の一部にスポーツを取り入れる、といった文脈で使われることが多い。例えば通勤ランなどは、生活をより良くしよう、といった位置づけだろうか。

そもそものライフスタイルが崩れ、再構築しなければいけない今、自分の理想のライフスタイルを取り戻し、豊かにするための“何か”が必要だ。

その何かとは、当然、自己完結する楽しさが伴わなければならない。単純に、継続できないからだ。
他人のライフスタイルを参考にすることはできるけども、最後は自分自身で試すしかない。

その何かを、私はランニングで補う。
走ることで、汗をかき、不快度指数を一気に上げることで、シャワーへ自分を導く。湯船に浸かっている間にマスクを洗剤につければ、布マスク運用問題も楽々解消である。(コンビニで買える小さい容器の洗剤と、使わなくなったプロテインシェイカーを風呂に常備した)
走る喜びを取り戻すための、ズボラな自分に合ったルーティーンが確立されつつあるこの瞬間もまた、楽しい。

そして、これを公に宣言したことにも意味がある。
ランニングアプリで私の更新が滞った時、この記事の執筆メンバーには、部長が風呂に入っていないチームの一員と錯覚させてしまう。それは申し訳ない。

ということで、私は自分を風呂に入れるために走っている。

あなたは今、なぜ走りますか?


<補足>
現在どこもかしこもマスクは品切れだが、ノーベル生理学賞・医学賞でお馴染みの山中伸弥教授が公開したランニング時のエチケットに関する動画で、マスクの代替品が紹介されていた。

BUFFのネックウォーマー(夏用の冷感素材もある)は、口元を覆ったり、首に巻いたり髪を固定したりと、今もこれからも便利に使える優れものである。

シンプルなものからご機嫌な柄までかなりの種類があるので、マスクが手に入らずランニングを躊躇されている方はこちらを使ってみてはいかがだろう。

↑BUFFはこの動画がわかりやすい。国内でもAmazonなど様々なオンラインショップで購入できる。

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