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新プロジェクトX 技術よ 小さき命を救え〜町工場 夢の心臓・血管パッチ開発〜 (ドキュメンタリー NHK)

100人に1人の割合でいる先天性心疾患の子どもたち。その中には心臓を何度も手術しなければならないケースがある。再手術をなくし患者を救いたいという夢を叶えようと「心臓・血管パッチ」が開発された。関わったのは我が子を亡くした医師、斜陽とよばれた繊維産業を生き抜いた地方の町工場、そして下請けからのSOSに協力を申し出た大手メーカー。困難を極める開発を、患者とその家族も力を合わせて成し遂げた命のドラマ。

https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024060808938
(以上公式サイトより)

生まれて間もない赤ちゃんが心臓の手術に向かう。初っ端から涙出そうなシーンで、これはもう見届けるしかないと思わされた。
幼くしてわが子を亡くした医師。
新規技術の開発に燃える中小企業。
その熱意に巻き込まれる大企業。
一縷の望みにかける親たち。
それら全ての思いが繋がって、不可能を可能にしていく流れは本当にドラマチックだが、まぎれもない事実なのである。

無謀だと言われた挑戦が、人と人との繋がりやちょっとしたヒラメキから形になっていく課程は、この番組の得意とするところだと認識している。
苦難を乗り越えて成功するパターンは、映画でも王道のサクセスストーリーだ。
おそらく生成AIは、このパターンで何通りもの物語を作り出していくことだろう。

しかし、私たちが感動するのはそんな物語ではない。そこに至る課程や関わる人々の葛藤や思いに、強く心を動かされるのだ。
若い頃に自分を育ててくれた上長を思い出して涙する技術者、その背中に手を当てて優しく共感する上司。何気なく心情が現れたこんな一瞬は、演出不可能なのである。

計算されたストーリーを凌駕するのは、実在する人間の意志だけであると、改めて感じた今回であった。




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