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新日本風土記 45分版「佃・月島」 (ドキュメンタリー NHK)

8/2(火) 午後2:05-午後2:50
東京湾に浮かぶ「佃・月島」。佃は江戸初期にできた人工の島。埋め立て工事をした漁師は、家康と秘密の関係があった。タワーマンション建設が進む一方、下町情緒が息づく街。3年に一度だけ行われる住吉神社の例祭。休日返上、300人の男たちが土木工事さながら祭りの準備にいそしむ。老いも若きもみこしを担げば極上の喜びが。そして亡き人をいつくしむ。ひと夏の人情物語。(2018年9月放送の再編集)
↑以上 公式HPより

「佃祭」という落語がある。お祭り好きの男が佃祭を見に行き、そこで昔助けた女と再会した事でひと騒動起こるのだが、決して色っぽい話ではない。むしろ人情話に近いのだが、それでいて賑やかで楽しい、私の大好きな噺である。
その舞台の佃島がどんな所なのか、この番組でその由来を初めて知った。

そもそも佃という場所は、大阪にある。佃煮はそこで生まれたと子どもの頃に聞いた。なのに、なぜ東京に佃という場所があるのか? 初めて「佃祭」を聴いた時の感想がそれだった。
徳川家康が上洛の折、大阪の佃の漁師に船を出してもらい、その恩義として江戸の一画と「何処で漁をしても良い」という特権を与えたという。彼らはその地を「佃」と名づけ、住吉神社も文例したそうだ。

と、そんな新知識はさておき。
この番組では3年に一度行われる住吉神社の例祭と、人々の想いが情緒深くまとめられていた。
祭が毎年ではなく3年に一度というのが、なんとも切なく感じられた。若者にとっての3年は成長や進化が見られる"明るい尺度"である。しかし高齢者にとっての3年は重い。次の祭を見られるのか、それまで自分は生きているのか、自分の生命に直面することになるのだ。

親子3代で祭を楽しむ家族があれば、昨年姉を亡くして独りで神輿を見送る者もいる。有り体にいえば社会の縮図だろうが、佃に暮らす人々は皆それぞれの家庭の事情や想いを分かち合って祭に向かうのだ。
そこがまた、見ていて胸に迫るものがあった。

2021年に開催予定だったこの祭は、今年も開催が見送られた。来年開催予定というから、行けるものなら現地で見物してみたいと思う。

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