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殺して生かす〜命と向き合う鹿猟師〜 (ドキュメンタリー NHK)

初回放送日: 2022年2月26日

笛で鹿を呼び寄せ、急所を1発で仕留める鹿猟の名人がいる。国の方針のもと駆除が進められる中、鹿の命を肉として食べることが供養となると考える、猟師の日々を見つめる。
(以上公式HPより)

駆除対象の鹿を、苦しませないように一発で仕留める事を信条とする猟師のドキュメンタリー。
撃った鹿を捌き、処理をし、調理して美味しく頂くことが鹿への功徳だと話す。
それは終盤に出てくる「アイヌの熊送り(=イヨマンテ)」とも同様なのだが、私にはこちらの方が強烈だった。
何故なら、熊送りの場合は子熊の頃から3年くらい育てた後に屠殺してその肉を食すのだから。言い換えれば飼い犬を食べるような感覚かと、そう思うと怖くなった。
しかしこれは歴としたアイヌの儀式であり、熊は神としてもてなされ、神の世界へ送られるということである。

鹿猟の場合も、飼育ではないが近いものがあるように思えた。自分が育てたわけではないが、自然の中で伸び伸びと育った野性の鹿を苦しまずに死なせ、大切に頂いて自分の血肉にする。番組の中で猟師が口にしていた「鹿を二度殺してはいけない」とは、その想いを表している。

自然の中で生きるとは、こういう事なのだと思い知らされた。

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