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「太平洋戦争 “言葉”で戦った男たち」(映像の世紀 バタフライエフェクト)


初回放送日: 2022年7月11日
太平洋戦争の勝敗に大きな影響を及ぼしたのが、米軍が急いで養成した日本語情報士官だった。暗号読解や捕虜の尋問に当たった彼らは、戦後の日本復興にも大きな役割を果たす。戦時下のテニアン島で日本人のための小学校を作ったテルファー・ムック、昭和天皇の戦後巡幸を進言したオーテス・ケーリ、川端康成のノーベル文学賞受賞に貢献したサイデンステッカー、言葉によって日本と戦い、そして日本との懸け橋となった男たちの物語。
(以上公式HPより)

少し前に、ドナルド・キーン氏の生誕100年展を鑑賞してきた。
「日本文化へのひとすじの道」のサブタイトルのもと、日本人より日本文学を知る彼の足跡と日本愛が良くわかる展示だった。
その中に「サイデンさん」の表記があり、エドワード・サイデンステッカー氏の事だと知った。

川端康成氏のノーベル賞受賞に大きく貢献したサイデンステッカー氏、三島由紀夫とも仲良しだったキーン氏。この二人だけでも戦後日本の恩人だと感謝の念を抱いたが、さらに二人の恩人の存在を教えてくれた今回は俗っぽい言い方だが「見なきゃ損する」回だった。

オーテス・ケーリが、昭和天皇の戦後巡幸を進言したのは、彼が北海道の小樽に生まれ14歳まで日本で暮らした基盤があってのことだろう。もの心つくころまで日本人と共に生活したことで、その精神的なものを理解し、日本人にとっての天皇の位置を知ったからこそ進言できたのではないかと思う。

テルファー・ムックの名前と業績も、初めて知った。テニアン島の悲劇については、以前ETV特集で知ったのだが( https://note.com/oborogo4141/n/ne5f22e7b4f05 )
その島に、捕虜の小学校があったとは!
それを提案し、作り、教えた米軍人たちの崇高さに深く感銘を受けた。

飛行機で日本国土を爆撃し終えた空軍兵士らが、その小学校を訪問し、子どもらと遊んだりボールなどを寄贈したそうだ。その様子を写した笑顔の写真もあるが、彼らは葛藤に苦しんだという。同じ民族の国土に爆弾を落とした手で、子どもらの頭を撫でるのだから。そんな自分の矛盾に耐えられなくなるのは人として当然だと思うが、それが戦争の起こす愚かしさなのだ。

番組内でも言及されていたが、人と人とはふれ合い関わり合うことで、お互いを理解して思いやることもできる。それを超越して国同士で戦うことは、やはりおかしいし、やってはいけない事だと思う。

日本語使いの異国の軍人として、日本人を深く知り、愛してくれた方々がいた事に感謝し、その事を誇りに思って良いと思う。
その気持ちがあれば、どこの国でも戦争は起きないはずなのだ。
戦争を起こすのは、自国の事さえも愛せない狂人の所業である。
国民ひとりひとりが誠意のある正確な判断ができれば、平和は保てると信じている。

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