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兵頭葵さん縁の地を歩こう その28「八つ鹿工房アート展」編

 焦ってましてね。
 毎週募集記事をやっているんですが、今週は珍しくSTU48をテーマにしたら、清々しいぐらい投稿がなくて、これは久々に自分一人で作る回だな、と思っていたんですね。
 そしたら、愛媛県宇和島市出身のアイドル兵頭葵さんが、こんな投稿を!


 これはもう、行くしかない!
 めちゃくちゃ寒い日ですが、今週はひたすら原稿ばかり書いていたので、たまには、別の刺激を受けたいと思い、自転車を走らせました。

 兵頭葵さんといえば、今年は、広島の障がい者福祉事業所に関するキャンペーンも応援していましたよね。

 僕の記憶が確かならアイドルの道に進まなかったら医学や福祉の道に進むのを希望していたと配信で語られていたと思うんですが( 『いや、違う!暴太郎戦隊ドンブラザーズだったはずだ!』という場合はご指摘ください )、実際にアイドルになった上で、忙しい中こういう分野にも触れていくのは、なかなか出来ることではないですよね。


 僕は就労支援施設に関しては、鞍田愛希子さんがされている東京小金井のムジナの庭ぐらいしか知らなかったんですが、実際に自分の町にある就労支援施設については、何も知らなかったなとふと思いました。


  さて、そんなこんなで、会場の元IPU環太平洋大学短期大学部アスリートホールにやってきましたよ。

昔、宇和島にも短期大学あったんですね。

 体育館を利用していて、土足のまま入れます。
 絵や陶芸品、ひおうぎ貝を利用した作品も展示されていました。
 ちなみに、今回は保育園の方々も参加しているそうです。


広々としたスペースに絵や詩も。


ガーデニングピックは素敵なものがあって、こういうもの欲しかった。


カップも素敵なものが多かったです。色の分け方が良いですよね。


 展示されている作品は、ほとんど購入できます。
 僕が展示物を見ながら感じたことは、多くの作品には「こう見られたい」という欲望が無いこと。
 毎日のようにSNSに投稿をしていると、当然ですが、他人の投稿も目に入ります。そこには、「こう見られたい」とか「ここを褒めてほしい」という欲望を感じることがあります。勿論、それがモチベーションにつながることもあるんですが、僕はわりとそういうものを浴び続けると疲れます。
 それに対して、ここにある作品はそういうものがあまり感じられないと僕は思いました。もっと自由というか、その作りたいものと作成者しかいない感じがするんですよね。誰かの目をあまり意識していないように僕には感じました。
 だからか、時として、自由なものが生まれます。

僕が一番印象に残った作品

 当たり前とか普通とかそういうものをいったん外した作品が新鮮です。
 カップの受け皿は同じく丸い形が当たり前という常識にとらわれない素晴らしさがありました。
 これは、AIを使って作品を創ったり、文章を仕上げているからこそ思うんですが、AIは最大公約数的なものは得意なんですね。みんなが良いね、というものは得意です。逆に言うと、再現性が高いから個性が生まれにくいんですね。愛着と言い変えても良いかも知れません。民藝の創始者である柳宗悦が言うところの「用の美」や道具に感じる「親しさ」が生まれにくいんです。
 なので、こちらで展示されている作品たちは、どこか民藝に近いなにかを僕に感じさせて、「この器には何を注ぐと一番美しいだろう」と考えさせられる時間を過ごせました。
 そんな中、僕は紫色の鉢植えらしきものに、翼が生えた器を見つけました。さっきのカップとソーサーと迷いましたが、こちらを買って帰ることにしました。

写真の左上のあたりにあるのが分かるでしょうか?

 勿論、兵頭葵さんが購入したものもまだあったので買って帰りました。
 なんと、一つ一つ仕上がりが違うんですよね。

かわいいトナカイ


何を入れましょうか?


暫くはトナカイさんの家にします

 普段、職場と家の行き帰りなので、自分の町でどんなことが起こっているか分かっていませんでしたが、兵頭さんの発信のおかげで知ることが出来ました。ありがたい。
 思えば、兵頭さんの活動は、昨年の約3か月にわたって行った家具についてのお仕事もそうですが、「暮らし」によりそっているものが増えてきていると思います。
 それは「非日常」の「ハレの日」を我々に生み出すアイドルのお仕事と比較すると地味な「日常」の「ケの日」に関することです。良さがすぐに分かるものでもないし、暮らしの中に置いてみて初めて良さが分かるものもあります。食べることや仕事をすることは、全部日常の中で続いていくものです。そんな暮らしの中の豊かさについて、彼女を見ていると考えさせられます。
 今日展示されていた作品たちもコストパフォーマンスだけでみれば、百均で買ったもので十分「機能」としては補えるんですよね。でも、「機能」だけで暮らしや人間を見ていくと、悲しくなりません?
 同じくアイドルを売り上げとか序列だけで語る人を見ると悲しくなります。特に「強い」とか「弱い」とかいう言い方は嫌いです。
 それよりも、どんな発見をファンの人生に与えられるかやどんな旅をファンの人生に誘発させられるかも大事なのでは、と最近、僕は思い始めています。もっというと、日常の視界を広げさせてくれるのが、兵頭さんの凄さだと思います。批評の世界で言えば、「価値転倒」を起こすことが出来る。
 正直に書くと、僕は今の仕事の前に宇和島市の市役所で働いていました。その際に八つ鹿工房の職員さんと業務上の手続きで毎週ぐらい窓口でお会いしていたんですが、事業者さんの一つぐらいしか思ってなかったんですね。いくつも事業者さんはありますから。
 でも、こうして、触れてみると、日常の中の解像度が一つ上がった気がします。この辺りは兵頭さんを推されている方の方が、きっと発見することが多いのではと思います。これまで日常の中で流れていたものが、はっきりと輪郭を持って意識し始めたもの。そんなものは無いでしょうか? 

 僕は、このアート展の帰り道、初めて電子書籍が売れた日のことを思い出しました。

 自分の作ったものが誰かの手に取ってもらえるというのは、世界の手触りが少し変わりますし、社会と接続した感じがあの時、確かにしました。
 僕が購入したものが、同じ町で暮らしている誰かが社会と接続する手触りを感じられる何かになればいいな、と思っています。

 このアート展は11月19日までやっているので、日曜日の予定がまだ立っていない方は、是非!
※オンラインストアもありますよ!

※過去の兵頭さんに関する記事はこちら!


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