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加藤結さん電子写真集「more than any blue sky」の感想


 2024年も始まってもうすぐ半分ですが、今年読んだ本の中でベスト3に入るぐらいに面白かったのが、哲学者の千葉雅也さんの「センスの哲学」です。
 「読んだらセンスが良くなる!」みたいな実用書というよりは、芸術作品の鑑賞をする時に、我々は意味をすぐに考えるところからスタートしますが、いったんそれよりも前のレベルまで戻ってみませんか?という提案からこの本は始まります。
 どういうことかというと、リズムで見るのだと。
 リズム?
 リズムには二つの側面があり、一つはない、つまり、不在。0といいかえてもいいかも知れません。もう一つの側面はある、つまり、存在。1といいかえてもいいでしょう。人間は不在の状態が埋められた時に、意味を見出すそうです。赤ちゃんが「いないいないばあ」で喜ぶのが近いでしょうか。0から1へと変わっていく。何かが生まれる(本の中では0から1になることをビートと呼んでいました)。そして、絵や音楽のなかではいくつもの存在や不在があり、それがうねりのようになっていると書かれています。
 そして、やっと意味に入るのですが、我々は「赤」と「青」という二つの色が並んだ時に(本の中では距離が遠いと示されています)、「熱い」と「冷たい」というような連想で意味を埋めようとします。その並びから何を連想するのかは、人それぞれです。間に紫を思い浮かべる人もいるかも知れません、存在しないはず1を0の空間に想像しているわけですね。
 まとめると、物事を見る時に0と1の間隔のビートで見る見方もあれば、様々な意味のうねりを考えながら見ることもできます。センスが良いというのは、このどちらの要素も楽しめる人のことを言うのかも知れません。

 それでは、グラビア写真はどうでしょう?
 そこにどんな0(存在しないもの)を見て、どんな1(存在するもの)を見るでしょう?
 また、0と1の間にどんなものを想像して欠如を埋めて意味を見出すでしょう?


 本日、6月13日、加藤結さんのデジタル写真集「more than any blue sky」が配信を開始しました。集英社から発売されているヤングジャンプ28号の巻末グラビアに収録されているグラビア写真が50ページ以上贅沢に収録されたものになっているというから、買わない手はないじゃないですか、お侍さん。
 そうそう、デジタル写真集の話に入る前に、ヤングジャンプの巻末の加藤結さんの1ページ目にあたる船の上に立っていて、後ろに青空が広がっている写真がとても良くてですね。タイトルの「more than any blue sky」は、直訳すると「どんな青空よりも」といういう意味になります。ついつい、その続きの言葉を考えたくなってしまいます。存在しない続きの言葉にあてはまるものは何か?
 「どんな青空よりも青い」、「どんな青空よりも広い」、「どんな青空よりも爽やかな」などなど。ちょっと、写真集を見ながら、最後に答えを出したいと思います。0と1の間にある何かを見つけながら。

 さて、グラビアで人によって、0と1の配分は、人によって違うと思います。服を着てたら0で水着やランジェリーだと1だという方もいらっしゃれば、真剣な表情が0で笑顔が1という方もいらっしゃるかも知れません。
 皆さんの中で存在と不在でどんな風にわけてみているのか、気になります。
 ちなみに、僕の場合は、写真集の22ページなんかには、存在を感じるんですよね。28ページと29ページを対比した時に、あなたは、どちらに0( 不在 )を感じてどちらに1( 存在 )を感じるでしょう。実は、僕は28ページに凄く存在を感じます。影が当たっている割合が多いはずなのに不思議です。隠れているからこそ、存在を感じるのかも知れません。
 今回の写真集は魅力的な衣装が、特に冒頭のワンピースが素敵で3ページの写真なんかは、そのまま写真集の表紙に使いたいぐらいです。その時は左手に文字が入るかんじですね。この衣装の時の目を細めて笑う笑顔も素敵ですが、31ページのちょっと照れたような笑顔も良いですね。
 ベスト水着は、自分が花柄の服が好きなのもあるんですが、座敷の中でとっていたネイビーをベースにした花柄のものが綺麗でした。赤い水着も船や海の色と良い対比になっていて素敵でした。
 僕的なベストカットは、ヤングジャンプの扉ページでしょうか。
 ええ、写真集の中で選べよ、と思われた方もいるかも知れませんが、あの写真を見た時に、写真というメディアなのに確かに音楽が聴こえたんですよね。0なのに存在しないはずの1を感じた。その音楽が何かは、加藤結さんのファンの方は言わなくても分かると思いますが、僕のnoteのフォロワーさんは、映画ファンの方が一番多いので、念のため、こちらの曲を貼っておきます。是非、聴いてみてください。

 あっ、でも、写真集を読みながら流れていたのは、実はこの曲なんです。グラビアモデルという要素を抜いて、加藤結という方の不器用だけど、美しい人間性込みでなんですが。

 色々と断片的に好きな要素を書いていきましたが、「どんな青空よりも」に続く言葉を自分で考えるとしたら、「memory more beautiful than any blue sky」、「どんな青空よりも美しい記憶」でしょうか。
 2曲目が出たら、是非、2曲目を連想させるようなデジタル写真集も期待したいですね。
 
 まだ、未購入の方は、是非、購入してみてください。
 あなたが、彼女のグラビアの中にあると0と1、そして、その間にある何かを感じてくださったら、僕に教えてください。
 「どんな青空よりも」の続き、あなたは、何が見えたでしょう?


 
 

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