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2020年私的シネマランキング

 いよいよ今年も終わりですね。
 そろそろ今年観た面白かった映画のランキングを書いていきたいと思います。これからレンタルになった時や再上映した時なんかの参考になると凄く嬉しいです。

 ランキングに入る前に今年の映画界を考える上で、面白かったことを一つ。「鬼滅の刃」ブームの中で映画のある程度ネタバレ状態であるのに、観に行く方が多かったこと。そして、「千と千尋の神隠し」が監督名で語られるのに対してこちらは原作やキャラクターについて語られることが多かったこと。何か時代の変化というか、「大衆」が求めるものの変化を感じた1年でした。

 ちなみに、今年僕は54本しか映画館で観られませんでした。
 それでは、行ってみましょう。

 第10位 狂武蔵!

 まあ、非常に歪な作品ではあると思うんですよ。
 ストーリーとかで映画を観る人からしたら、いまいちかも知れないんですが、とにかくライド感が凄いんですね。観ているこちらも武蔵と同期して疲れていくというか。憑かれていくと形容してもいいかも知れません。主演の坂口さんの身のこなしや武器の使い方もカッコいいんですが、切られ役の人たちにも注目すると、また面白いです。

詳しい感想はこちら!

第9位 「ばるぼら」

 こちらも「狂武蔵」とは違った感じで異世界に連れて行かれる作品でしたね。
 大正末期から昭和前半の作家を研究していた人間としては、自分が創作者として枯渇してるかも知れないという不安との闘いを様々な作品や随筆、日記で見てきました。正直、手塚治虫の名作をわざわざ、映画化する必要なんてあるのかい?と思っていましたが、前半の主人公の静かな佇まいに対して激しく鳴るジャズのレコードが主人公の内面の苛立ちを表していて、これ一つ取っても映画化としては大成功ではないか、と思っております。
 作中の引用を確認していると、手塚治虫の文学的教養自体も気になりますね。何を読んでいたかとか、どんな文学作品に影響を受けたかとか。

詳しい感想はこちら!

 第8位 「ガメラ4K HDR」

 過去作の4Kって、どれぐらい凄いの?
 ドルビーサウンドって何?という感じだったんですが、95年公開の作品がここまで凄い形でリマスターされるとは。時々、「映画館の大スクリーンで!」といううたい文句がCMとかでありますが、まさにこの作品はそれだと思います。
 怪獣映画って、大画面で良い音で楽しむとこんなに凄くなるんだぜ、と小学生の頃の僕に教えてあげたいです。「ガメラ3」もやって欲しい!

詳しい感想はこちら!

第7位 「僕たちの嘘と真実 Documentary OF KEYAKIZAKA46」

 アイドルのドキュメンタリーとして、ここまで衝撃的だったのは、高橋監督のAKB48のドキュメンタリー映画以来ではないでしょうか?
 一人の笑顔が素敵だった少女に、徐々に様々なものがのしかかっていき、最後は…。
 アイドルを好きになったことがある人、今も好きな人には是非見て欲しい映画です。ちなみに、大音量で流れる欅坂46の曲も楽しめますよ。

第6位 「ランボー ラストブラッド」

 こちらは、noteの方に感想を書いていませんでしたが、スタローン好きとしては、無視できない1作。とにかく、観終わった後の悪酔い感というか、とんでもない物を観てしまった!という衝撃。また、ある程度我々にツッコミどころを与えてくれるのもこの映画の愛しいところです。
 僕の友人はよほど、この映画の影響を受けたのか、会う度にこの映画に関するボケを最低3回はしてきます。
 ランボーの魂は救われるどころか、全然戦場に残ったままだった序盤、無謀すぎる市街地戦。ガンガン行き来できる国境。自分が敵の部下だったら、あの家の地下に入った瞬間帰りたくなる終盤。今観た映画のダイジェストが映されるエンドロール。そして、その後どこへ行く。見所もりもりなので、まだ観てない人はすぐに配信かレンタルで観ましょう!

第5位「ミッドナイトスワン」

 マイノリティであるが故の厭世感を持った主人公が、一人の少女を引き取ることで、徐々に変化してく物語なんですが、要所要所で、絵画的な美しさを感じる場面が沢山ありました。
 「気持ち悪い」と簡単に言い捨てる人たちの想像力の無さや、才能のある人間でも置かれている環境によって潰されてしまうこと、様々なことを考えさせられた1作でした。そして、社会的な「常識」の物差しからはみ出す人達の為に「芸術」があるのかな、とも考えさせられた1作でした。

第4位「アルプススタンドのはしの方」

 何故僕らは応援するのか、それによってどんな影響を受けたのか、というのを意識させらる1作です。自分の好きなものとの繋がり方、そして、姿は見せないのに最後に僕らの心を動かしたアイツ。絶対に観て欲しい1作です。

ベスト3に入る前に、惜しくもランクインに入らなかったけど、めちゃくちゃ語りたい作品を並べておきます。

「ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ」

死神遣いの事件帖

TENET

EXIT

 他にも、日向坂のドキュメンタリーの楽曲の使い方とか、「エクストリームジョブ」の爽快感とか、「家族を想うとき」のあの終わり方とか、「はちどり」のあの先生が歌う唄とか、色々と語りたいことはありますよ、ええ。

それでは第3位!「朝が来る」

 良い意味で予想を裏切られた作品。視点が変わった時の人生ハードモード感と、それでもあの素晴らしいラスト。原作が「アサトヒカリ」という主題歌からの連想というのもあると思うんですが、見事にそれをヴィジュアライズ化した素晴らしい作品でした。
 ちなみに、「あなたは、誰ですか?」というのが一時期、僕の職場で「暁に生きる」「宵に友なし」ぐらい流行りましたよ。

第2位 「海辺の映画館ーキネマの玉手箱ー」

 大林宣彦監督の作品は、あまり観たことがなくてですね。「時をかける少女」やAKB48の「solong」ぐらいしか知らなかったんですが、もう傑作でした。謎の字幕やチープな合成、謎のミュージカル演出や謎の説明っぽい台詞など、最初の30分は結構戸惑ったんですが、徐々に作品の全容が見えてきてた時に、もう涙が止まりませんでした。
 3時間という長さにためらった方もいるかも知れませんが、映画好きの方なら是非見ておいて欲しい1作です。

第1位 「テロルンとルンルン」

 去年から読んでいる方でしたら、「いや去年もお前、1位に選んだだろ!」と思われるかも知れませんが、全国で公開が始まったのが今年からだったので、今年の1位はこれです。
 去年の京都国際映画祭で1回、今年の7月に「仮設の映画館」で1回、そして10月にアップリンク京都での監督舞台挨拶中継回で1回観ました。
 で、この映画の何がいいの、というと、こちらを読んでいただければと思います。

 宮川監督のツイートを見ると、残念ながらソフト化される予定は2020年現在は無いのが残念ですが、だからこそ、より特別な作品になりました。次の作品がどんな作品になるのか、宮川博至監督の名前を映画ファンの方々は覚えておいて、次の作品が上映される時は、是非見て欲しいと思います。
 ちなみに、いつか「テロルンとルンルン」になんらかの形で再会できたらいいな、とも思っています。

 映画に関する今年の私事を少しだけ書くと、2019年ごろに全く別の業界で働いていた僕は、京都国際映画祭でこの素晴らしい作品に出会って、その働いていた企業を辞めた後、映画館に転職しました。僕が「テロルンとルンルン」に出会えたように、多くの人にまだ見つかってない名作を作る場を作りたい、と思いましてね。
 めでたく転職後は、ある部門の管理を中心に業務をしながら、毎月、新規事業の企画書を出していました。
 特にオンライン上に24時間の常設映画館を作ろう、という案は割と良いところまで行きましてね。映画館のスケジュールという不自由さがどう動画配信サイトの利便性を超える価値を持たせられるか、というところでかなり話し合いました。
 パンフやグッズもそのサイトから買えるようにして、ファンが投げ銭をしやすいようにしようとか、メイキングなどは有料で観られるようにしようとか、色々とお話をして、専用のチームを作ろうかと関西のエリアマネージャーが話してくださったぐらいで、僕が倒れてしまいました。
 丁度、「鬼滅」ブームで毎日終電で帰っていた頃です。
 未だに、映画館の階段で炭次郎の「目を覚ませえ!」と言う声が響いていたのを覚えています。
 それから僕は、映画館を辞めて、今バリバリの無職ですが、未だに映画は好きですし、また別の形で映画と関われたらなと思います。
 たとえば、信用できる監督やプロデュサーの作品にはクラウドファウンディングでお金を払いたいですし、大切な人とは一緒に観に行きたいという思いがあります。だから、早く就職してお金を作らねば! 

 というわけで、僕の2020年ベスト10でした。

※2019年のベスト10はこちら!

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