見出し画像

法人化した旨と自分なりの消化の話

会社を辞めて個人事業主として独立し2年弱経ち、実は2020年の12月を持ちまして、株式会社Lighthouseという名前で法人化しました。

基本的に仕事そのものにはさしたる変化もありません。

結局1人で切り盛りする体制も変わらないため、社会的信用の変化に手応えもないですし、初めてお会いする方に企業名から名乗る事もほぼなく、名前を残してもらえるお仕事の際にも個人名にしてもらっており、僕の場合、法人化した理由はほとんどお金周りに関する事のみです。


企業の中で働いていた時には昇給とは容易にままならないものでしたし、自分としても出世や給料へのあまり強い欲求は持っていないつもりでしたが、いざ独立してみれば頑張った分が結果として即座に反映される状況は実に性に合っており、また妻と子供もいる立場として自己責任において家族を守っている実感も伴い、あくまで仕事への評価のバロメーターではありますが、「お金を稼ぐ」というモチベーションも今や自分の中でとても大きなものに変わってきました。

そして独立してしまった以上、会社からの安定供給される収入の保証がなくなるため、「稼げる時に稼がねば」という強迫意識も相まって猶更収入への意識は高まり、逆に会社にいた頃の自分の物分かりの良さにうすら寒い気持ちになったりします。

また、家庭内での節約は妻に一任させてもらっているものの、僕は僕で仕事で稼いだ収入を無為に減らさぬよう最低限の事はしようと考えるようになり、細々と色々やっていますが、取り分けその経済エコ活動の最たる手段が法人化だったという感じです。

ただし、実感としては出金にそこまで大きな差がある訳ではなく、逆に自分の報酬の月額を設定したらそれ以上は社長といえど勝手に会社のお金を引き出す事は出来ないですし、むしろ制約も増えるのですが、本当に細かく見て1円単位で大事にしようという意識が身に付いてきたという事、と自分では考えています。

そういう意味で考えると法人化は、仕事の範疇というよりは夫・父親としての立場からの判断という方が大きいかもしれません。

しかし節約への意識はそれとして僕も社会人ですし、現状のコロナ禍の状況も含め、納税の義務に関して何ら疑問の余地もなく、使い方の賛否は別としても、むしろこれが国からのサポートの基盤になっている事を考えれば、「沢山もらうほど沢山納める」という考え方には全面的に賛成です。

しかしながら個人事業主のままでいる状態では、収入が一定額を超える毎に10%刻みで上がる税率に、今後モチベーションと結果がかけ離れてしまう危険を感じたため、書類を何枚も書いたり、仕事の合間を縫って役所や法務局に出向き、年金や健康保険を変更したりといった面倒はありましたが、「法に則って自分が気持ちよく仕事をするため」の投資でした。
※ただ、実際には僕の独力ではなく、お世話になっている税理士さんの多大なるご協力のにより叶った事ではありますが。。


また詭弁でもなく「これも社会勉強」という気持ちで取り組んだという側面もあります。

僕の場合、懇意にさせて頂いている代理店さんを通して入ってくるお仕事が割合として一番多いのですが、「何でも描く」という仕事の性質上、ある一定の用向きで熱烈なラブコールをもらう事がない反面、様々な業界のクライアント相手に好き嫌いされる事なく関わる事が出来るため、収入は勿論として、仕事1つ1つそのものがイラスト制作スキル向上の糧であるのと同時に、新たな案件に取り組む毎に自分の見聞の広がりを感じ、この蓄積が次回以降の仕事上のコミュニケーションに大いに活きるという連鎖的な効果が2本柱として自分を支えになっていると感じています。

先程「保証がない」と書きましたが、ある一定の所から先は言葉の通りとしても、それでもまたある一定の所までは選んだ道を行く以上「自分次第」と認識すべきで、日々一生懸命仕事をしているつもりでも、そこにビジョンがないと、自覚している以上に漫然と過ぎていく事になりそうです。

独立後に得た、仕事を持続させていくための最も大きなポイントは「変化を受け入れる力」と結論付けており、要するに「めんどくさがるべからず」という一言に尽きるかと考えております。

会社員時代も含めて振り返ってみると、今まで社会人として出会った尊敬できる人は、趣味に生きているとしても全員勉強家で、最終的に自分がそれを好む好まざるではなく、まず知る事に能動的だったと感じます。

恰好を付けた言い方になりますが、法人化は「めんどくさかった」ので、逆に自分へのインプット要素の1つとして課題をこなすような気持もありました。

よって「2本柱」と書いたこれらも、あくまで2本それぞれの成長を計算に入れた上でなお、「今の所の」2本柱です。

現在42歳から
・今後自分がどこまで今のスピードで仕事ができるのか
・センス的な部分が年齢と共に損なわれていく危険性
・クライアントの担当が世代交代
・病気
・ケガ
と、様々な要因で「通用しなくなる」未来を想定しておく事は、僕なりにはポジティブと考えています。

今の所イラストレーターは、AIに取って代わられる危険を感じる職業には含まれていなかったと思いますが、それでもそんなのも、その1つです。

そして、決して湿っぽい話ではなく、自分の仕事を「どう終わらせるか」を考えるようになった事も独立後の大きな変化の1つで、僕の場合特に誰かにこの仕事を引き継ぐつもりもないため、法人化は「いずれ法的に閉じる必要」がある以上、それを具体的にする1つの方法でもありました。

時間によってではなく自分の意志でゴールを設定できる訳ですので。

いわゆる「人生の上がり」ではなく、「どう走り切ろうか」という方法論と精神論と時代と社会の絡み合いの話です。

手前味噌ながら、スタートダッシュは悪くなかったと感じられているものの、これを盤石と勘違いしたら、すぐにでも終わってしまうでしょうから。