【絵本】 たんぽぽライオン
「がおにゃわー!!」
とても心地よい風が吹いていたので、おびちゃんはライオンのかっこうをして ライオンになる れんしゅうを していました。
すると、どこからともなく わた毛さんが ふわふわ とんできました。
「えーと、えーと このわた毛さんの なまえは にゃんだっけ?た、た、たんぴぽ・・・?」
風にのって ふわふわ とんでいく わた毛さんを おびちゃんは おいかけることにしました。
「おーい、わた毛さん、どこにいくにゃー?」
「きみはだれ? ライオンのつもり?どうして ついてくるの?」
「ぼくは しろねこの おびちゃんにゃ。ライオンになる れんしゅう中だったんだけどにゃ、きみに ついて いきたいにゃ」
「おびちゃんなんて へんな なまえ。まあいいけど。わたしは、わたしが さくばしょを さがしているの」
そのとき 「ぶわぁーっ」と 風がふいて、わた毛さんは とても とおくまで いってしまいました。
「わっ!まってにゃ、おいていかないでにゃ!えーと、えーと、たんぺぽ・・・?」
しばらくいった先で、わた毛さんは クモのすに ひっかかっていて、みうごきが とれないようすでした。
「クモさん、ごめんにゃあ」
おびちゃんは ライオンパワーで わた毛さんを クモのすから とってあげました。
「ありがとう、おびちゃ・・・あーれー!」
おびちゃんの 小さな手から はなれた しゅんかんに わた毛さんは また とんでいってしまいました。
「あっ!まってにゃ、えーと、んーと、たん・・・たんこぽ?」
ふわふわ ふわふわ わた毛さんは 空を およぐように ただよっています。
「わたし、今は わた毛だけれどね いつか きいろい花を さかせるの」
「きみを しってるにゃ。たんこぽ」
「たんこぽ?ちがうよ、わたしは たんぽ・・・あーれー」
ずいぶん とおくまで わた毛さんは はこばれてきました。
やがて、わた毛さんと おびちゃんは だれもいなくて なにもない ばしょに たどりつきました。
「きめた。わたしは ここでさく」
「そうにゃの?さみしくないにゃ?」
「先頭を走るって そういうものだよ」
わた毛さんは いいました。
「でも その さみしさと ひきかえにね、わたしは このばしょで さく さいしょの いちりんに なるの。それにね、たまに おびちゃんが あそびにきてくれたら さみしくなんかないよ」
「うん」
そういって おびちゃんは、わた毛さんに 手をふって おうちに かえることに しました。
「あっ、思い出したにゃ」
「たんぽぽにゃ」