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【公認会計士試験】最近の短答式試験ボーダーを考える


短答式試験のボーダー

国家三大資格と言われ、合格率はわずか10%程度の難関資格である公認会計士試験は、択一式による短答式試験と、記述式による論文式試験で構成されています。短答式試験に合格した者のみが論文式試験を受験することができるのですが、論文式試験の合格率が30%程度であるのに対して、短答式試験の合格率は10%程度であり、合格を目指す方にとって大きな壁となっていす。

では、いったい何点取れば短答式試験に合格できるのでしょうか?

それは、ズバリ総得点の70%です!!
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/kijuntou/05.html

しかし、ここ数年、その短答式試験の合格ボーダーが大きく変動し続けており、受験生の皆さんが大きく揺さぶられる事態が生じているのです。今、まさに合格を目指して勉強をしている方にとっては、とても気になるトピックなのではないでしょうか?

2019年12月 第1回短答式試験

私が短答式試験に合格したのは2019年12月第1回短答式試験で、合格ボーダーは63%でした。

え??低くない??

最近の受験生はそう思うのではないでしょうか。

そうです。このあたりはボーダーが60%程度、回によっては60%を切るケースもあるなど、非常に低い水準でした。それもこれも、試験問題を作成する試験委員の方針が影響しているのです。この時期の試験委員の方々は試験問題を難しくしすぎていたのです。

有名な国見先生もボーダー予想動画でこの件について言及されていました。

特に、管理会計論が難化傾向にあり、この回のボーダーは50%程度と言われていました。私自身、答練や模試では安定して7割以上取れていたのですが、本試験では、見たことも無いような問題がたくさん出題され、勘を頼りにマークするしかなかったことを覚えています。

ちなみに、勘で解答した問題が3問程度当たっていたので得点自体は72%と悪くはなかったのですが、実力で正答できたのは50%くらいだと思います。

最重要科目である、財務会計論もボーダーが50~60%程度とかなり厳しい結果でした。本当に難しかったです。個人的には理論が難しく、11問中5問正解
という散々な結果でした。得点自体も52%と渋い結果でした。

企業法と監査論は標準的な難易度で、私自身も企業法70%、監査論85%としっかり得点できましたが、やはり財務と管理の会計科目が難しかった影響で合計66%程度と70%には届きませんでした。

しかし、この回のボーダーは63%だったので無事に合格したのです。
なお、この傾向は2021年頃まで続きました。

2024年5月 第2回短答式試験

さて、直近の令和6年短答式試験を見てみます。

公認会計士・監査審査会のHPで合格発表に関する掲示を見ると、以下のようにありました。

総得点の78%以上を取得した者

え??

78%?????


何かの間違いかと思いました。
私が合格した回と15%も違うのですから・・・。

そこで、今回も予備校の合格ボーダー予想動画を見てみました。


この動画を見て納得しました。
今回は、試験がものすごく易しかったということなんですね。
分析によると、4科目とも問題の7~8割がA論点といういわゆるテキスト例題レベルからの出題だったとのことです。

確かに、それであれば合格レベルにある受験生は8割取れて当たり前です。簡単すぎて拍子抜けした受験生も多かったのではないでしょうか?

私も、今回のような難易度の試験を受けて、楽しく試験時間を過ごしたかったな〜なんて思ってしまいました。なにせ、私が受験していた時期は本当に本試験が難し過ぎて受ける度に自信を失っていたくらいだったので・・・泣

一方で、70%超えた!合格したぞー!!と思っていたら、実は周りはもっとできていて、結局ボーダーに届いていなかったというのも辛い話ですよね。どっちもどっちです。

短答式試験に合格するために

結局、ボーダーが高くなったのは、合格率を大幅に引き下げたことによるものではなく、試験問題の難易度が変化したことによるものでした。

そのため、今回の短答式試験の結果を踏まえても受験生のやるべきことは変わりません。基本的な論点、すなわちA、B論点を完璧にする、ただそれだけです。A、B論点の問題を確実に正答できれば、合格は間違いありません。

私は、短答式試験に2度落ちていますが、2回目に不合格となった時に、自分の答案と予備校による問題ごとの正答率データを照合して、正答率が高い問題で正解できなかったものが無いかを確認しました。そこで、改めて自分が正答率の高い基本的な問題をいくつか落としていたこと、それらを正答できていれば合格していたことに気が付きました。

つまり、難しい問題を解く力を身に付けるのではなく、基礎基本を疎かにせず、正答率の高い問題を取りこぼさない力を磨くことが合格するために必要なことなのです。

合格基準は総得点の70%程度とされていることから、次回は今回の試験よりも難化する可能性がありますが、ボーダーが何%であっても、受験生がやるべきことは変わりません。ボーダーの変化に惑わされず、基礎基本を大切に取り組んで行きましょう!

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