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10年連続人口増の明石市が実施する子育て支援がすごい

●高校3年生まで医療費無料。
●第2子以降の保育料無料。
●生後3ヶ月から満1歳の誕生日まで、子育て経験のある配達員が見守り訪問し、紙おむつや粉ミルクなどの子育て用品を配達。
●中学校の給食費無料。
●屋内大型遊具を取り揃えた遊び場の利用が無料。海浜プール無料。その他市内4施設の子供の観覧料が無料。
●しかもこれら全て、所得制限はありません。

明石市では上記の無料化を2013年から段階的に行ってきました。
そして2016年に駅前ビルの全面リニューアルしたことで若い家族が多く利用するようになり、一気に風向きが変わったといいます。
子育て層の負担が軽減されると、貯蓄に回らず地域で子供たちのためにお金を使い、経済が回ります。
91.2%の市民が住みやすさを実感し、出生率は1.70、来街者7割増、地価8年連続上昇、そして市税収入が9年連続上昇し続けています。

結果、明石市は全国戻りたい街ランキング2021で1位、全国の中核市で人口増加率1位、住みたい街ランキング関西6位、本当に住みやすい街大賞2022in関西で1位と、大変高く評価されています。
住みたい街ランキングで芦屋を抜いたことで、かつて明石に住んでいた人たちは驚いているようです。以前は危なくて下品な街と思われていた明石のイメージは、今や完全にひっくり返りました。

明石市の人口増は転入層によるもので、転入しているのは0歳〜9歳くらいまでの子供がいる20代後半〜30代の若い家族です。よそから若い世代を奪ってきているだけという見方もあります。
しかし、明石市の政策のおかげで2人目以降の子供が産みやすくなっているというのも、出生率の増加から窺い知ることができます。
明石市での成功を受け、2021年頃から周辺地域でも政策転換が広がり、子供医療費の無料化などが実施されています。

明石市の泉房穂市長によると、最初の5年は子育て層以外からは総スカンだったそうです。高齢者も商店街も、子供よりも自分たちを優先すべきだと主張していました。
5年ほど経つと、子供に注力したことで商店街の利用者が増え、税収も増えて高齢者向けの政策もできるようになりました。今では障害者に対しても全国トップレベルの福祉を実施しています。

支持母体は市民だと泉房穂市長は言います。
「一番お金がないのは子育てにお金がかかる層やん。その人たちの税金上げて、次々と保険料も払わせてなんてしたらますますお金使われへん。それじゃ経済が回るワケない。だから発想が逆なんです。お金がないからこそ、子供にお金をかけるんですよ。そうすると、そこが起点に経済が回り出す。実際に明石は税収入が増えているんだから。」

よく聞かれる予算についても次のように回答しています。
「役所って、やらんでいい仕事をだらだらとやっていることがあるんです。緊急性の低いものは待ってもらう形でぐっと圧縮できる。仕事の内容の見詰め直しでかなりの無駄は省けるんです。」

公共事業費を従来の半分にし、人材は新たに採用した専門職以外は部署間の異動で対応しました。公共事業費を減らしたといっても欧州と同水準にして無駄遣いをやめただけと語ります。
実際、既得権益を見直すことで600億円の予算が150億円に削減できました。
ただ、それをやると公共事業に関係する企業や団体、急な異動を命じられた市役所職員などの強い反発に遭います。
そういうことも含め、腹をくくって取り組むのが市長や知事の役目だと泉房穂市長は言います。

子供政策に関してはフランスを中心に、ドイツ、スウェーデン、ノルウェーあたりを参考にし、韓国やニュージーランドなどでの成功事例を制度化しています。

市長で街はここまで変わるのだという素晴らしい事例ではないでしょうか。
もちろん、神戸や大阪といった大都市へのアクセスという地の利を活かした明石市だからできるという側面はあります。

泉房穂市長は次のように述べています。
「多くの自治体が、子育て支援策を独自財源でやっています。例えば子供さんの医療費の無料化などのさまざまな政策、こんなん国がやってくれればその分、地方の財源は負担が減りますから、さらに地方の特性に応じて地方なりの新しい特徴ある政策ができます。どこでも大体やったほうがいい政策は国のほうでやりはったら、地方はそれぞれごとの特徴を出せると思います。地域ごとに独自のことをやれるような体制、そのためにはお金もいります。地方のお金を今は国が巻き上げてる状況なんで、地方で本来使っていいお金は地方に自由に使わせてほしいと強く願います。」

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