【創刊号】作品解説【黎明】
- 本文|坡嶋 慎太郎 -
私は物語の中に物語らしき物語を求めず、ただ夜半に咲く一輪の花の如き鮮烈さを求める。すなわち、心に響くか否かということになる。
そういう意味では『桜賀創藝』はどうにも暗い印象が拭えない。創刊号であるが、日の出を感じづらい。「黎明」ゆえに陽の差す前の黎を色濃く残している。だが色味が同じであっても、そこには種類がある。みな、心に一も二も重石を抱えている。鮮やかな虹ではないが、単なる墨ということでもない。私はそれを気に入っている。
「解説」などと銘打って