サークル・オベリニカ

マルチメディア系創作団体【サークル・オベリニカ】🌸|文芸・イラスト・ゲーム・映像| 【各種SNS|https://lit.link/alumunika

サークル・オベリニカ

マルチメディア系創作団体【サークル・オベリニカ】🌸|文芸・イラスト・ゲーム・映像| 【各種SNS|https://lit.link/alumunika

マガジン

  • 【文芸】桜賀創藝 -Ōka Sōgei-【バックナンバー】

    サークル・オベリニカが刊行するオンライン文芸雑誌『桜賀創藝 -Ōka Sōgei-』 メンバーからの寄稿作品を集積し、各号のテーマ・フレーズが物語を形作る。創造性と個々の深い精神性が織りなす作品世界が読者を深部に誘い込むだろう。 さあどうぞ。愉快な言語表現の旅へ。 (寄稿作業期間では、作品順序が乱れる場合があります)

最近の記事

Re: My Last Words

-はじめに- この作品は、2022年12月17日から2023年9月16日にかけて作成、本アカウントにて投稿された、炉紀谷游による短編七篇をまとめたものです。  一つひとつの作品は、非常に難解です。心象風景の説明では全てを明かすことなく、読者にとってぼんやりとした世界が広がるのみです。  しかしながら、これらすべてをつなげた時、なにか別のものが見えるのではないかと考え、この度全篇をまとめて公開することとなりました。  小難しく迂遠な言い回しのなかに、なにか一つでも意義あることば

    • 【小説】Magical Survival - 第一回リレー小説企画【ローファンタジー】

      - はじめに・企画説明 -  こちらの小説は、2023年7月7日に開始された第一回リレー小説企画で制作された小説です。  リレー小説とは、一つの話を複数の作者がリレー形式で執筆していく形態の小説です。途中で作者が変わるので、どのように話が展開されるか全くよめないことが特徴となっております。  自分の登場させたキャラがこう動くんだ! この展開のために用意した設定が全然他のことに活かされてる!  そんな楽しみがある企画であり、よめない展開や締め切りにみんなでハラハラドキド

      • 【第二号】作品解説【サクラビト】

        - 本文|紺 -  この度は、桜賀創藝第二号【サクラビト】に触れてくださり有難うございます。貴方好みの作品に出会えるように、一読者として(または一作者として)、貴方の為の案内をさせて頂きます。  素敵なめぐり合わせがありますように。  この話は桜を挟んだ男女の掛け合いが書かれています。あちらと、こちら、上と、下。桜は二人を繋ぐものでもあり、隔てるものとしても存在していました。  ライトな恋愛モノやミステリーが読みたい方、互いが桜に掛けた想いが気になる方はこちらがオススメで

        • 【小説】鷟羅美留 - 山笠美紀乃【ローファンタジー】

          - 序 -  サクラビト。  人の形をした、人ならざるもの。 - 本篇 -  私は「優秀」だった。  私は「完璧」だった。  私は「最良」だった。  だった、筈だろう?  なぜ、私の髪は灰色に煙った?  なぜ、私の肌は薄汚く濁った?  なぜ、私の服は擦り切れ臭っている?  知っている。だがどうでも良いことだ。今はもう。  総て、凡て、どうでも良いことなのだ。  もう、私には。  美麗な音がする。  シャラリ、シャラリという、軽く薄い金属同士が触れあって出す、美しい

        マガジン

        • 【文芸】桜賀創藝 -Ōka Sōgei-【バックナンバー】
          17本

        記事

          【小説】桜の降る国 - Yayuki【ハイ・ファンタジー】

          - 序 - とある旅人の手記。 - 本篇 -  随分と長い旅路になってきたものだ。僕は澄んだ青空を見上げた。僕は何世紀か前からこの世界を旅していて、趣味は世界中の文化や言語を学ぶこと。最もここまで長く旅をしていると、訪れたことのない国も減り、二度や三度目の訪問となる国も増えてくる。ちょっと前まで歩いていたところが砂ばかりの砂漠地帯であったせいで、僕の体は暑さと砂で悲鳴を上げていた。きしむ体を無理矢理動かし、羽織っているカーキ色のマントのフードを目深にかぶり、歩みを進める

          【小説】桜の降る国 - Yayuki【ハイ・ファンタジー】

          【小説】桜の稚児たち - 白【短編集】

          - 序 - アキラです。250~1000字未満で六つの短編集を書きました。スナック感覚でどうぞ。 - 本篇 - 食べる男  山の深く、川の遠く、おれは枯れたばかりの桜を見つけた。どうやら根元からポッキリ折れて上流から流れてきたようだ。肌は黒く艶やかで、皮を剥げばまだ瑞瑞しい。  いやァこれはなかなかの上物だ、何にして食らおう。燻して食おか、鍋にして食おか。なるべく長く楽しみてぇからな。ウン、塩漬けにしよう。あぁ考えただけでヨダレが止まらん。  なんたって久々の肉だから

          【小説】桜の稚児たち - 白【短編集】

          【小説】消えゆくエトセトラにグッド・バイ - 炉紀谷 游【喪失】

          - 序 - 私が書けるのは自己反省のメタファー。独りよがりな文章です。 メタフォリカルな世界に隠された真理は、今もなお比喩に埋もれたまま、表に出る気配がありません。 されど、これを手にとるあなたが救われることを祈っています。 あなたが私と同じなら。きっと、人のことが好きだから。 - 本篇 -  そういうわけで、チャーキーと呼ばれる青年は、青を両脇に抱え水面に揺蕩っていた。  しばらくのバカンスを彼は、どういうわけかひどく憂いていた。故に、海の波は、彼にとってなんとも心地

          【小説】消えゆくエトセトラにグッド・バイ - 炉紀谷 游【喪失】

          【小説】散ることの無い桜をあなたに。 - 無色【現代ファンタジー】

          - 序 - 桜は儚い。全く、春は恐ろしい季節です。 - 本篇 - 「なぁ、春原」 「なんですか先輩」 「桜はなぜすぐに散ってしまうんだと思う?」  客と待ち合わせをしている店へ向かっている車内で、新人社員の春原(すのはら)は先輩の菜花(なばな)にそう問いかけられた。  春原は窓の外の、車が過ぎ去るだけのつまらない景色を眺めながら、そんなことわかるわけが無いだろうと内心舌打ちをしていた。  春原にとって自分の教育係になった菜花は不思議な人間だった。どうも理解できないと言う

          【小説】散ることの無い桜をあなたに。 - 無色【現代ファンタジー】

          【小説】桜の木の下に埋まるもの - 白【ミステリー】

          - 序 - アキラです。可愛いお話を書きました。 - 本篇 - 樹  桜の木の下には死体が埋まっているらしい。  どうしても気になった僕は目の前の桜の木を掘り返してみることにした。幸い時間はいくらでもあるので隅から隅まで探してみよう。  まだ暫くは時間が掛かるだろうから、良ければ少し僕の自慢話を聞いて欲しい。 笑  僕にはそれはそれはかわいい彼女がいた。見上げる瞳が可愛くて、桜と揺れる黒髪が綺麗で、それでいて少しばかりワガママなところが大好きだった。いつもニコニ

          【小説】桜の木の下に埋まるもの - 白【ミステリー】

          【第二号】刊行に寄せて【サクラビト】

          - 本誌について - - 本文|炉紀谷 游 -  桜賀創藝は、サークル・オベリニカのメンバーが綴る物語の一片を集積したものです。  様々なテーマが、作者の想像を掻き立て、その集合体が作品群として完成する。文芸雑誌の体裁を取っているのは、それぞれの作品がゆるやかにつながることを期待しているからです。  第二号となった本号のテーマは【サクラビト】。桜人が示すのは、桜を取り巻く人々の情念。ひいては、物語世界における桜が示す象徴的な概念。  桜を眺めたことのある人ならば、その花

          【第二号】刊行に寄せて【サクラビト】

          【創刊号】作品解説【黎明】

          - 本文|坡嶋 慎太郎 - 私は物語の中に物語らしき物語を求めず、ただ夜半に咲く一輪の花の如き鮮烈さを求める。すなわち、心に響くか否かということになる。 そういう意味では『桜賀創藝』はどうにも暗い印象が拭えない。創刊号であるが、日の出を感じづらい。「黎明」ゆえに陽の差す前の黎を色濃く残している。だが色味が同じであっても、そこには種類がある。みな、心に一も二も重石を抱えている。鮮やかな虹ではないが、単なる墨ということでもない。私はそれを気に入っている。 「解説」などと銘打って

          【創刊号】作品解説【黎明】

          【小説】継ぎゆくイノチ - 炉紀谷 游【ヒューマンドラマ】

          - 序 - - 本篇 -  ――私はあなたの父親を殺しました。  これが道徳的に正しいのかどうか、私には検討もつきません。けれどもね。  とにかく――私は生きるというエナジーを、なんでもないところに注ぎ込みたくはなかった。  生きるというのは、液体のようなものでしょう。  生命という光り輝くエナジーをあちらこちらへこぼしながら、わずかに残ったエナジーを、本来注ぎたいと思っていたところに少しだけ与えるということなのだと。  私の中で、あなたの肉親を殺すことが、生きるという営

          【小説】継ぎゆくイノチ - 炉紀谷 游【ヒューマンドラマ】

          【詩歌】黎明詩群 - 加宮 つばめ【オベリニカ】

          - 序 - - 本篇 - 【翌る日には】  朝。陽が昇ると同時に一日が始まると習ったけれど、それはどうにも間違いなようです。わたしの人生はいつから始まって、いつ終わってしまうのでしょう。窓を開けても無彩色。微かに雨の匂いがします。これから降るのか、もう降ったのか。わたしには皆目見当も付きません。  通りに一匹の猫がいました。ひどく汚く濡れそぼっているようにも、優雅に水浴びを終えた後にも見えました。人は見たいように物を見るらしい。ならば、わたしに付いているこの二つの眼は一

          【詩歌】黎明詩群 - 加宮 つばめ【オベリニカ】

          【小説】カメラを手にして - 望月 凛【ヒューマンドラマ】

          - 序 - 自信を失った大学生に与えられたものがあった。 - 本篇 -  私は、何も成し遂げたことがない完璧主義者だ。解きかけの問題集に、一曲も奏でられないギター、買ってから何日も放置された本。中途半端が身を寄せ合って自室を形成している。それに対して弟は、一点集中型で興味のあることを大成させることが得意だ。将棋も絵画も卓球も、私の真似をして始めた弟がいつの間にか私を追い越していた。この状況は私を卑屈にさせるには十分だった。やがて、「どうせできない」と夢や目標を語らなくな

          【小説】カメラを手にして - 望月 凛【ヒューマンドラマ】

          【詩歌】チャイルドたち - すべての父母【オベリニカ】

          - 序 - 私が産みました - 本篇 - 散らかった四畳半 空の鳴き声 外にいるよりずぶ濡れかもな 日が沈む 赤く染まる 今日が終わる 始まる人もいるのかな 人には人の暮らしがある 嫌いなあいつも 好きだったあいつも 同じ空を見ているようで それぞれの景色があるのかな あんよあんよ 赤子の足音 暗夜暗夜 自分の無力さに泣きたくなる時間 あんよあんよ まだ未来に希望があった時間 暗夜暗夜 直接見ることのできない空 蛙のように押し潰さ

          【詩歌】チャイルドたち - すべての父母【オベリニカ】

          【小説】次の夜明け - aoi【ファンタジー】

          - 序 - 明けない夜はない。止まない雨はない。君たちは軽々しくそう言うけど暗闇を照らすライトや、雨を凌ぐ傘をくれようとはしないよな。いや、別に君たちが間違ってるとは思わない。ただ、ふとそう思っただけなんだ。 - 本篇 - 「この国は狂ってしまっている!」  そう言って1人の若者が赤い旗を掲げた。  元よりこの国はおかしいと思っていた国民の多くは彼に賛同し、兵となった。この国は人口が5万人ほどの小さな国だ。国土もそれほど大きくない。馬であれば1日で端から端まで行けてしま

          【小説】次の夜明け - aoi【ファンタジー】