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僕の中の声

38
令和3年11月中旬から下旬にかけての詩集です。
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2021年11月の記事一覧

何だろうか…

あれは何だろうか…
魚だろうか。
あれは何だろうか…
鳥だろうか。
あれは何だろうか…
亀だろうか。

分からないけど行ってみよう。
この両足で歩いていこう。

私だけが…

私だけがどうして
そう思って生きてきた
周りの人たちが
ずっと羨ましかった

私だけが被害者で
戦っていると思っていた
周りの人たちが
気楽そうに見えた

私だけではないことが
ようやく分かってきた
周りの人たちも
ずっと戦っていた

私だけが苦しんでいた
訳ではないと気がついた
周りの人たちも
ずっと苦しんでいた

分ける

分ける 分ける あなたと分ける
分ける 分ける なかよく分ける
ぼくと あなたと おんなじもの
分ける 分ける えがおを分ける

分ける 分ける あなたと分ける
分ける 分ける いっしょに分ける
ぼくと あなたと おんなじもの
分ける 分ける なみだを分ける

分ける 分ける あなたと分ける
分ける 分ける なかよく分ける
ぼくと あなたで にじゅうまる

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朝焼けを見た

朝焼けを見た
金色に輝く朝焼けを
山の上から明るく照らす
真っ青な空に光を届ける

朝焼けを見た
奇跡みたいな朝焼けを
窓の外から明るく照らす
薄暗い部屋に希望を届ける

朝焼けを見た
救いのような朝焼けを
大きな雲を明るく照らす
曇った顔に笑顔を届ける

早く起きた朝は

早く起きた朝は
いつもより風が冷たい
寝ぼけていた顔が
すっと冴えていく

早く起きた朝は
いつもより体が痛い
あぐらにした足を
すっと戻していく

早く起きた朝は
いつもより時が長い
手持ちぶさたな指で
そっと携帯をいじる

早く起きた朝は
いつもより外が暗い
ふと見上げた空に
そっと雲が浮かんでいる

雨の音

雨の日は、空気が少し重たい。
空が泣いているのだろうか。
叩きつける音は空の声か。
強く激しい、悲しみか。

雨の日は、空気が少し冷たい。
空が震えているのだろうか。
どんよりとした音は空の声か。
弱く寂しい、悲しみか。

雨の日は、空気が少し苦しい。
空が焦がれているのだろうか。
打ち続ける音は空の声か。
長く切ない、悲しみか。

雨の日は、空気が少し柔らかい。
空が休んでいるのだろうか。
安ら

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あれも、これも、

いつも自分のことばかりだった。
あれも、これも、手にしたい。
自分の言葉を守っていた。
人の言葉を攻撃していた。

いつも自分のことばかりだった。
あれも、これも、邪魔くさい。
自分の時間を守っていた。
人の時間を奪っていた。

いつも自分のことばかり。
あれも、これも、自分のもの。
自分の権利を守っていた。
人の権利を無視していた。

いつも自分のことばかり。
あれも、これも、はねのけた。
自分

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朝の散歩

朝の光のなかを歩く。
鳥たちがピヨピヨと鳴く。
光と陰を過ぎてゆく。
朝日へ足を進める。

朝の日差しのなかを歩く。
川の水がさらさらと流れる。
すすきと花を過ぎてゆく。
煙へ足を進める。

朝の煙のなかを歩く。
焚き火の音がパチパチと弾ける。
高架の下を過ぎてゆく。
竹林へ足を進める。

朝の林のよこを歩く。
通りの車がゴオゴオと行く。
いちじく畑を過ぎてゆく。
民家へ足を進める。

朝の民家の

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折り紙

願いを込めて、一つ折る。
祈りを込めて、一つ折る。
誠心誠意、一つ折る。
違ったところを、やり直す。

力を込めて、一つ折る。
心を込めて、一つ折る。
全身全霊、一つ折る。
違ったところを、やり直す。

夢中になって、一つ折る。
無心になって、一つ折る。
流れるように、一つ折る。
重ねるうちに、出来ていた。

虎の子のように

虎の子のように
奥深くに隠していた
慎重に 慎重に
見つからないように

虎の子のように
頑なに守っていた
大切に 大切に
触れられないように

虎の子のように
独り占めしてきた
秘め事を 秘め事を
外へ放ったとき

虎の子のように
駆け出していった
軽々しく 軽々しく
元気いっぱいに

ほこり

忘れ物を取りに行った。
忘れていた忘れ物。
遥か遠くに置いてきた。
実は近くにあったのに。

忘れ物を取りに行った。
頭のすみの忘れ物。
ひもを手繰って引き寄せた。
両手で丁寧につかんだ。

忘れ物のほこりを払った。
かなり積もっていた忘れ物。
空へとほこりが舞った。
目から涙が溢れた。

忘れ物を大事にしまった。
忘れたくない宝物。
引き出しの奥にしまった。
僕の大切な宝物。

空の足

空中を歩いていた。
山を登っているつもりでいた。
歩いていても近づかない。
足が空を切るばかり。

空中を走っていた。
上へ向かっているつもりでいた。
走っていても近づかない。
足が空回りするばかり。

空中を泳いでいた。
川を渡っているつもりでいた。
泳いでいても近づかない。
足をバタバタするばかり。

みんなのなか

いろんな人がいる。
優しい人、厳しい人、見守る人。
誰もが僕を育ててくれる。
みんなの中で大きくなれる。

いろんな人がいる。
強い人、弱い人、臆病な人。
全てが僕の中にある。
みんなの中で大きくなれる。

いろんな道がある。
迷う道、惑う道、逃げる道。
どれもが僕の中にある。
みんなの中で大きくなれる。

いろんな自分がいる。
進む自分、曲がる自分、戻る自分。
どれもが僕を探してる。
みんなの中

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月食

夕日があかく雲を染める。
辺りが暗くなっていく。
反対のそらに月が浮かぶ。
地球が月にかぶっていく。

だんだん月が細くなる。
雲がかかって薄くなる。
光がだんだん暗くなる。
雲の後ろに隠れていく。

一瞬、虹のような光を見た。
世界を照らすかのように。
末広がりの光を見た。
世界を救うかのように。

雲で隠れて夜がきた。
いつもと同じ夜がきた。
夜の向こうに月がある。
雲の向こうに月がある。