映画『原発をとめた裁判長 そして原発をとめる農家たち』監督記:22 コスパ最悪
わずか2回の撮影でも素材量は膨大になる。というのも自分はカメラマンではないので、撮影と監督を兼務することに不安があり、とにかく回しっぱなしで良い画と良い言葉を探り続ける。被写体と過ごす時間はほとんど記録されるので素材は膨大になり編集作業は大変なことになる。ある程度撮りためてから編集を始めようなど考えない。撮影日以外はパソコンに噛り付き、編集する日々の始まりだ。映像編集を自宅で出来るようになったのは革命的なことだが、映画だろうが映像広告だろうが監督の仕事量は何倍も増した。自分は編集を始めることを「編集刑務所に収監」と呼んでいる。
編集を進めながら脚本を書くのが自分のスタイル。撮影時の記憶と撮った映像を頭の中で混ぜながら物語化して脚本を書く。たとえば近藤恵さんが初登場するシーンはこんな感じ。「夕方の逆光にシルエットを濃くする安達太良山。ふたつの乳房のようなその山を背景に、水を張ったばかりの田んぼが広がる。近藤恵が上手からフレームインで登場。大きな背をかがめて田植えを待つ水面を見入る」というように、できる限りロマンティックに文字で描写すると撮った素材のどこを抽出するべきなのかが見えてくる。あとは文字描写の雰囲気を伝えられるよう編集で具現化を推敲する。自分の作法は実に時間がかかる。コスパ最悪ってやつだ。
映画公式サイト
https://saibancho-movie.com
宣伝費を募るクラウドファンディング
https://motion-gallery.net/projects/saibancho-movie
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?