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「鉄コン筋クリート」松本大洋

あるギャグ漫画で、”漫画は読まないけど、松本大洋は読むの!!”という女子大生が鼻につくというエピソードがあった。
そんなネタにされるぐらい、松本大洋の作品はちょっと違うと思われているみたい。

独特な世界観、日本を描いていても違う国に見えるような不思議なデザイン、一風変わったセリフ回しに、独特な画風、それが合わさってどこか芸術的な絵本を読んでいるような気にさせる。
そういった魅力があるはあるのだが、決して敷居が高いわけじゃなく、ストーリーの難解さゆえに解釈に悩むってこともなく、きちんと楽しませてくれるエンターテイメント作品だ。

なので、前述の女子大生みたいに芸術作品だ!!みたいな感じで未読の人に対して敷居をあげるような発言はやめて欲しいと思う。

この「鉄コン筋クリート」が自分が読んだ初めての松本大洋作品、その後「花男」「GOGOモンスター」「竹光侍」などを読んだ。
どれも面白いのだが、まずは本作を紹介しようと思う。

ちなみに全作実家には2冊ずつあった。
美大に通っていた妹が、絵の参考にと買っていたのだ。
美大生が読む漫画。。だから敷居が上がるって。

あらすじ。
ホームレス同然の生活を送っている二人の少年、クロとシロ。
彼らはチンピラたちと戦い、強盗まがいなことを繰り広げ生計を立てている。
そんな彼らの縄張りである町にマフィアがやってくる。
都市開発を巡った利権争い。
地元のヤクザとも連携し、街をきれいにするという名目で、チンピラや主人公達を排除しようとする。
そんな小さな街で繰り広げられる戦いと、クロとシロの生き方が描かれる作品。

全3巻と短いのだが、絵の迫力もあって長編小説を読んでいるような満足感がある。
アニメ映画化もされていて、原作をきちんと映像化しているのでこっちを見てもいいかもしれない。
自分がそうだったように、見た人・読んだ人が松本大洋作品にはまってくれるといいな。

作中にすごい好きなシーンがあって、仕事の上でも参考にしているセリフがある。
詳細は忘れちゃったが、灰皿の位置が悪い、というマフィアに地元のやくざがどこだっていいだろう?と言った時に返ってきたセリフ。
「物事を完璧にやろうと思ったら、どうでもいいことなんて1つもないんだよ」と。
名台詞。
仕事も、こう細かいことを気にしながらやっていきたいと思う。


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