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「百鬼夜行抄」今市子

漫画の紹介。
既刊続刊、現在29巻。

読んだきっかけは、BSマンガ夜話で紹介されていたから。
この番組は色々な漫画を読むきっかけを自分に与えてくれた。
太っちょの岡田斗司夫と、絵はうまいがヒット作あるの?な、いしかわじゅん、そして評論家の夏目房之介。
彼らがメインで漫画1つを1時間語りつくす番組。

この番組がきっかけで手に取ったのは「はちみつとクローバー」、「賭博黙示録カイジ」「自虐の詩」などなど。
知らない漫画を紹介されると読みたくなるし、知っている漫画の紹介をされると新たな視点に驚き、再読したくなる。
いい番組だった。
NHKはなんでこの番組をやめてしまったんだろうか。。残念でならない。

本作はこの番組で知った漫画の中では「はちみつとクローバー」と1・2位を争う大好きさだ。
新刊が出てくるのが楽しみでならない作品。

妖怪もの。
あらすじを書く。

主人公の飯島律(初登場時は高校生)は妖魔が見える。
これは幻想的文学の作家である祖父の血を引いたからだ。
祖父は子供のころから主人公と同様に見える人間で、見えるにとどまらず妖魔を使役していた。
その祖父は死に際して、自分の血をより濃く継いだ主人公が心配で、使い魔を置いていく。
この使い魔は、突然死した父親の体に住むことになる。
一度倒れた夫が蘇ったことを喜ぶ母親を、また悲しませたくないという思いで、主人公はその正体に口をつぐみ奇妙な共同生活を行う。
この主人公が年を重ねる中で、様々な妖魔と出会ったり、妖魔に悩まされている人々と出会ったりする。
そんなストーリーが描かれる。

マンガ夜話でも取り上げられていたが、何巻かの帯コメントがこの物語をうまく表現している。
「四季折々に妖魔あり」。

何が良いかというと、この主人公が妙に達観しているのだ。
見えるだけで祓えない、自分はなるべ関わらないようにするだけと、自分の身近な人間に塁が及ぶとき以外はそこまで頑張らない。
そうそうに諦めて退散するのだ。
そこがどこかリアルさがあって、少年漫画などの妖魔退散ものと一線を画している。

それにストーリー上、メインじゃない登場人物はけっこうあっけなく死を迎えたりする。
その辺も非常にドライで、そこがまた良い。

それぞれの話が非常に良く出来ていて、生きている人間と死んでいる人間の境界があいまいで、話が急にひっくり返る快感が得られる作品も多い。
上質なミステリーのような味わいがある。

あと漫画ならではの話だけど、絵が良い。
特に表紙が良い。
画集が欲しくなるのです。

ただ、、新刊が出るのが遅いのと、最近次につながる話が多くて一気読みしないとどうなってるかわからなくなるのだ。。
万華鏡のようにくるくる変わる物語についていけなくなってきているのかも。。年かなぁ
ということで、これを機に1巻から一気読みしてやろうと思います!!
文庫も出ているのでみなさんもぜひ。

ちなみに作者の今市子、他作品もファンタジーやSF、ホラーと多才で、どれも物語が急転するという仕掛けが満載で飽きさせない。
ただBLっぽい話も出しているので、油断するとそれをつかんでしまうので、、注意。

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