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「フリージア」松本次郎

漫画の紹介。
全12巻で完結している。

映画化されているが見たことはない。

物語はたぶん近未来。
といっても特に未来って感じがあるわけではなく、殺伐とした世の中、命を軽視し他人に無関心な人々、というのが現代の無味乾燥な人間関係が発展したらこうなるかもといったところが、どことなく未来のようだ。

物語は暴力に満ちている。

主人公達がいる世の中では日本は戦争中、どこと戦っているかなどは描かれない。
徴兵経験があるといった描写や、ビルが爆撃される様子などでそれがうかがい知れる。
世の中は殺伐としていて犯罪も多い、その為か犯罪者に対して刑を軽くする代わりに被害者遺族による敵討ちを合法する法律が施行されている。
刑務所の場所もコストも削減できるしね。
大体人を殺すようなやつはタガがはずれている。
そんなやつらに、一般人である遺族が勝てるわけがない。
そこで、仇討ち代行業が存在する。
主人公はその仇討ち代行業の青年だ。

人を殺したやつらも、憎しみに捕らわれた遺族たちも、人を殺すという職業を選択した仇討ち業者たちも、みんないかれている。

その中でも主人公は特にいかれていて、現実と妄想の中を行き来している。
まわりから認知されなくなるという謎の特技があり、それを使って荒くれ者たちを葬っていく。

少しギャグめいた描写、主人公たちのいかれ具合、読んでいても幻想か現実かの区別がつかなくなる感じ。
命を奪い合う圧倒的な暴力描写。
それらが12巻に渡って繰り広げられる、怪作だ。

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