マガジンのカバー画像

幻想ホラー

4
どこか、こことは違う場所に迷い込んでしまったような
運営しているクリエイター

記事一覧

「きつねのはなし」森見登美彦

きつねのはなしといっても、キタキツネの生態は。。とかエキノコックスがどう。。とか、油揚げののった料理の話ではございません。 妖怪・もののけ・神秘の存在であるきつねがまつわる短編集。 著者が京都出身なのか京都が舞台の作品が多く、この作品も同様。 この人が書く京都って、神様・もののけといった存在と、モラトリアムな学生が同居している、現代だけどどっかずれているような土地として描かれており、すごい魅力的。 他作品でアニメ化もされてる「四畳半神話大系」とかも、独特の空気感があり好き。

「夜市」恒川光太郎

ホラー、ほらぁ、ほら~怖いでしょう。 ホラー小説です。 といいつつ、ホラーというより幻想小説に近いと思った。 ホラー小説を紹介する本があって、それに掲載されていて知った作品。 これがきっかけで一時期ホラー小説がマイブームとなった。 「ぼっけぇきょうてい」「X雨」「メルキオールの惨劇」「玩具修理者」「黒い家」などが乱読した中でも覚えている作品。 全部角川ホラー文庫!! あの黒い表紙がホラー小説シリーズって感じで好き。 本作は、中編2点の作品集。 表題となっている夜市のあらす

「メルキオールの惨劇」平山夢明

なんかで読んだ。 不倫だの道ならぬ恋をよく描く小説家が妻に詰め寄られる。 「あなたはこんなに色恋を書けるってことは、いまでもよそでお盛んなんでしょうね!!」と。 それを受けて作家はこう返すのだ。 「横溝正史はあんなに殺人事件を描いているけど、誰一人殺していないぞ」と。 そうなのよ、作品と人となりは違うのよ。 でもね。。絶対に平山夢明は変な人だ!!絶対そうだ!!そうじゃないとこんな変な本書けないよ!! ホントこの作品に出てくる人たちはおかしな人だらけ、モノローグの”俺”も実

「X雨」沙藤一樹

角川ホラー文庫。 その名の通りホラー小説、ホラー小説なんだけど、ネタバレになるのであまりうまく言えないが、読んでいてひっくり返る構造の小説なのだ。 あらすじ。 小学生の主人公。 彼の学校に転校生がやってくる。 彼は晴れた日でもレインコートを着ている不思議な少年だ。 理由を聞いてみると、彼には常に雨が降り注いでいるのだという。 普通の人には見えない不可思議な雨”X雨”。 いつしか主人公やその友達にも雨が見えるようになり、雨に打たれて衰弱する仲間たちも出てきた。 一体この雨はな