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見せる相手はいないが、ブラを新調してみた

お客さんが来ると部屋を片付けたり、ちょっと良いお茶を出したりする。
当たり前のようにやっていたことだが、あるとき「そうだ、自分にもお客さんにするように丁寧に暮らしてみよう」と思いついた。

そんなに大したことはしていない。朝、ささっと部屋をクイックルワイパーで床拭きしたり、素敵だなと思った器は普段使いしたり、それくらいだ。でも床は少し掃いただけで気が通る気がするし、食事は素敵な器によそうだけで、昨日のカレーもごちそうに見える。

けっこう丁寧な暮らし、出来るようになってきジャンと自分では鼻高々だった。しかし先日衣替えをしていたときのこと。

半年くらい前に衝動買いしたブラジャーが出てきた。プラスチックの薄くて透明な袋に入ったままだった。ここ数年自分は恋人はおらず、別に見せる相手もいないしな、とユニクロのブラトップばかり使っていたので、使用してなかったのだ。

ユニクロのブラトップは素晴らしい。これまでブラが透けないように+お腹を冷やさないようにと着ていたキャミソールを、ブラと一枚にしてしまったのだから。それに動きやすくて機能性がいい。なーんだこれでいいじゃん、そう思ってそればかり愛用していた。

ただ自分は貧乏性で、おととし買ってもう緩んでるブラトップをまだ使ったりしている。なるべく一年に一枚は新調したいところではあるが「へ、部屋着ならいいでしょ」と家にいるとき用に回したりしていた。

半年前に衝動買いしたブラは、ノンワイヤーで着け心地がよいとバズっていたブランドのものが半額セールになっていて、つい買ったものだった。タンスの肥やしになるのもなと袋から出して着けてみたところ、これが評判通りよかったのだ。

着心地もよかったのだけど何よりうれしかったのが、自分の洗濯板のような胸に谷間ができたことだ。

もともと瘦せ型なのに持病で下腹が出て、餓鬼のような身体になってしまっていた。なるべく鏡は見ないようにしていたが、鏡の中を覗いてみると久しぶりに女性らしい自分の姿が映っていた。恋人がいてもいなくても、自分のためにちゃんと自分の身体にあったブラをつけるのは大切だなと思ったりした。

このnoteをご覧の方の中には「胸の話なんかして、はしたない!」と思われる方もいるかもしれない。でも自分の身体はパートナーのものでもなければ、子どもを産むためのものでもない。自分自身の健康のバロメーター、ただそれだけのことだ。

エステティシャン時代、お客さんの肩こりや頭皮のこりをほぐすだけでお客さんは小顔になったし、足のむくみを流してあげるだけで0.5mmくらい脚の長さがほんとに変わった。健やかさと美しさは切ってもきれない関係なのだ。

ていねいな暮らしというのは奥深い。他人のいうていねいな暮らし(例:重曹の掃除、調味料をガラス瓶で保存、リネン系の服を着る)などは、自分と合ってなければ頑張っても続かない。

でも自分の心地よさに合った習慣なら続けられる。新しい習慣をお迎えしたり、もう合わなくなってきた習慣を手放したり、そうした自分とのやりとりが日々の大切な営みを支えている。ていねいな暮らしとはある意味、自分との質の高い対話、のことなのかもしれない。

特に見せる予定はない、タンスの奥から出てきたレースの美しいノンワイヤーブラを見ながら、そんなことを思ったりした。







火曜日お疲れさまでした。
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父の日を一週間、早く執り行ってしまいました。家族は誰も気づきませんでした。。

今日も明日も、適当にしっかりで行きましょう。

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