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一瞬を永遠に残せる人への、永遠の憧れ

2024年大河ドラマ「光る君へ」のキャストがほぼ発表になりました。

《大河ドラマ第63作》制作決定!主演・吉高由里子 作・大石 静 大河ドラマ 光る君へ |NHK_PR|NHKオンライン

私、こういうキャスティング発表が大好きで「ああ~この人ならこの役にピッタリだわ!」と考えてる時間が至福なのです。

特に今回のドラマでは、清少納言と中宮定子を誰がやるのかずっと気になってました。

私が高校生のときに初めて読んだ枕草子の中で、定子は美しく頭脳明晰、心映えすぐれ、時の帝に誰よりも愛された光り輝くお妃さまと描写されていて「ホオ~こんなお方がいたのか・・」と印象に残ってました。

実際には定子は父が亡くなった後、政権に敗れ没落し若くして亡くなるのですが、枕草子の中では一切そうした場面が出てきません。

清少納言が描いたのは、身分も才知も美貌もこの世で最高の位におわすお妃さまと、宮中での華やかな駆け引き、そして四季折々の自然の美しさばかりで、当然あったであろう政敵への恨みつらみは全く書かれていない。

清少納言の「私のご主人様の美しさ、まばゆいばかりの煌めきを後世になんとしても残す」という執念に近い想いが筆に乗って、千年後の私たちにも届いていることを知った時は衝撃でした。

モノの見方・切り取り方によって世界は変わること、人に希望や勇気を与えるモノの見方が出来る人は魅力的であること、そして人生で心に強く響いた瞬間を後世に残すことの意味。

高校生の時の自分にとって、枕草子で描かれている中宮定子という人のすばらしさ、それを世に残すことに成功した清少納言の生き方には、大きな影響を受けました。

私はどちらかというと芥川系の、くら~い絶望的な気持ちになるエッセイや小説を書くのが得意なのですが、枕草子の影響を受けて、どこかに必ず希望を感じる描写を入れるようにしています。

無理やりネガティブなことをポジティブに変換するのではなく、どんな心ちぎれるようなことが起こっても、世界は変わらず美しいことを伝えられるようになりたいと意識して書くようにしています。

五月の菖蒲の、秋冬過ぐるまであるが、いみじう白み枯れてあやしきをひきをり開けたるに、その折りの香の残りてかかへたる、いみじうをかし。

(5月の節句の時に使った菖蒲の葉が、秋冬になってひょっこり出てきました。すっかり白くかさかさに干からびて丸まってるのを爪の先で押し広げてみたら、パッと青々としていたころの香りが匂い立ったの。とってもすてきね。)

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私もいつか、一瞬を永遠に出来る表現者になりたいです。