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振り返りからの学びが、人生の質を決める

もみほぐしの整体チェーンから会員制エステサロンに転職したときのこと。

整体のときはおじさん・おばさん・私のような新卒と、老若男女入り混じった社員の会社でした。
しかしエステサロンでは基本的にスタイルもお顔も美しい人しかいません。お年を召したスタッフさんでも皆若々しくきれいな方ばかり。

エステティシャンというのはお客様から「あのスタッフさんみたいに綺麗になりたい」と思うモチベーションになる存在でなければいけませんから当然です。そんなキラキラした世界に何を間違ったか当時26歳の芋娘な自分は紛れ込んでしまいました。

当時の社長(エステだけでなく他業種を手掛けるやり手)は1:1の面接を幹部だけでなく私のような若手にもよくしてくれたのですが「小澤、お前は本当に華がないよなあ」とため息をつかれたものです。

入社してしばらくして、指名も少なく売り上げ面でもあまり貢献できていなかった私は社長に呼び出されます。
頭の中で必死に言い訳を考えていた自分に社長は「今日から一日に3つの発見を俺にメールして報告しろ」とだけ告げて「俺はお前と違って時間がないんだ、じゃあ」とどこかに去って行ってしまいました。

社長命令ですから最初は必死で「朝の準備をきちんとしておくとすぐお客様をご案内できる」とか「ハーブティーは酸っぱいのよりカモミール系の方が人気」とか「12月に入ってから柚子のアロマがよく売れる」など報告していました。しかしエステというのは激務仕事ですから報告できない日もありました。

あるとき社内MTGで社長に会ったとき、こそこそと退散しようとすると「おい小澤!」とつかまります。血走った眼で「最近お前報告メールしてないじゃん」で詰められました。いや忙しくてなかなか・・と言い訳したときに社長はこう言い放ちます。

「小澤、お前は他のやつと違って本当に何者でもないんだ。だからせめて振り返れ。1日1個説明できる学びがないってことは退化してるってことだ。1日に3つ学んでやっと、他のやつらと戦えるんだぞ」

当時はよくわかっていなかったのですが、文章教室をしている今、振り返りというのは偉大な力を持っていることを実感します。

素晴らしいワークショップやセッションを提供している人たちは必ず、本番のあと振り返りをしています。あの時のここがよかった、あの時こうしたらもっとよかったかもしれない・・そんな学びを次に活かすのです。

自分が主体的に動いて得た学びというのは、本を読んだり人の話を聞いて得た学びよりもずっと鮮度が高いものです。
100回の練習より1回の本番が人を成長させるといいますが、ただの体験で終わらせるのではなく、体験からの学びを言語化しておくことがその後の伸びに大きく関わってくるように思います。

華がないだの何だのケチョンケチョンに人を悪しざまに罵っていた社長も、こうして振り返ってみると「第二新卒で入ってきた小澤をなんとか一人前に育てなければ」と思っていたことに気づきました。
社長の奮闘むなしくこの後わたしは退職してしまうのですが、こうして今noteを書いていると「1日に1個は振り返って学べ」という言葉をよく思い出し、何とかネタにつなげています。

人はこの瞬間も変わり続ける生き物ですから、退化しているということはないと思います。
でも、もしかして明日はどうなるかはわからない。

せっかく生きているなら寝る前に1日に1つ「今日はこんな学びがあったなあ」と振り返ってみる。
そうした習慣は1年後、3年後、10年後、自分を思いもかけない所へつれていってくれるような気がします。






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