【読書感想】オラフ・ステープルドン『スターメイカー』【いろんなSFの原点!!】
今回の一冊は、こちら。
まず、すごく紙面が黒い!
改行が1.5頁おきくらいにしかない。
文字密度も高いけど、結構難しい言葉が使われるので概念密度も高い。
やばい。
学術書でもここまでフツーいかない。
まず、それに面食らう。
これ、小説じゃないぞ。
少なくとも、今まで読んできた小説には、こんなのなかったぞ、と。
WW2が勃発する寸前、1937年に発表された本タイトル。
小説、とは言えない。
でも、SF、ではある。
地球からどんどん遠のいっていて、宇宙と時間を旅し、最後にはこの宇宙を作ったものに出会う……という小説?
創作されたお話ではあるんだけど、これって小説って言っていいのかな?
まぁともかく、小説とは言い難いけど、SFではある!!
この前読んだ『フラットランド たくさんの次元のものがたり』は、正方形が主人公で次元を旅する、という数学教本的なもの。
これも、数学教本でもあって、SFでもあって……というものだった。
そういうのは、ドンピシャなSFノベルスからではなくて、ちくま文庫や講談社メチエといった、一般向けの学術書のノベルスから出ている。
これ、ちょっと念頭に置いておけば、読書がもっと広がるなーと思っております。
閑話休題。
精神生物になってしまった主人公が、地球を出て銀河を巡り、他の知的生命体を観察していく。
で、他の知的生命体の仲間を得て複合的精神になり、銀河へ。
どんどん広がっていくのが、楽しい。
そして、最後に高みに登って「スターメイカー」=「神」にあう。
宇宙と銀河の全てがある。
どんどん話が壮大に、広がって大きくなっていく。
これが、文字だけの世界なのに、やけに壮観。
でも、最後の方は、眠くなった。
全能神に収束してくあたりはキリスト圏の影響が強すぎるなーとちょっとげんなり。
ここまで大きくなって、神というものを理解した自分は、それのパートナーというか、恋人になれるんではないか、という描写がある。
この「神の恋人」というモチーフ、『情事の終わり』とも共通するなと、ちょっと冷静に思ったり。
全然、ジャンルの違う小説なんだけどね。
科学が進展、文明が発展して、ヒトが神と対等になりかけているっていう思想が徐々に出てきてるのか。
そういうことを感じたり。
しかし、何よりも。
いろんなSFの原点ここにあります。
アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』とか、グレッグ・イーガン『ディアスポラ』とか、ジョン・スコルジー『老人と宇宙』とかを思い出しました。
いろんな生命体もそうだし、優位者が下位のものを導くのもそうだし、宇宙戦争とかも。
ともかく、いろんなSF名作に影響を与えて、『スターメイカー』を読んでない作家さんにも連綿と流れていると思う。
読むのは大変だけど。
小説、とも言い難いけど。
SFが好きなら、ぜひ読破すべきな一冊です。
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