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コンプレックス聞きマンのコンプレックス


人には誰しもコンプレックスがある。コンプレックスは軽々しく人に言う物ではないだろうし、「思い出したくもない」と感情の奥底に眠らせたままにしている人もいるだろう。


コーチという仕事をしていると、人のコンプレックスというものに触れる機会が多くなる。クライアントがつまづいている課題を一つ一つ解いていくと、根深く刺さったコンプレックスと対峙せざるを得ないことも珍しくない。


コーチとして人のコンプレックスに触らせてもらうたびに、「自分はどうなんだろうか」と考える。


コーチだって人間だ。コンプレックスの一つや二つあるし、むしろ人に偉そうなことを言うからには、自分のコンプレックスとは常に深く向き合っておかないとな、と思っている。


僕は頑張らない人間になりたいと思っている。ちゃんとしてなくで、自由気ままで、自分のやりたいことに一直線、細かいことは気にしない。だけど周りに愛されるし、大きなパフォーマンスを発揮する。


そんな人間になりたいと思っているけれど、現実の自分はまだそうなれていない。僕はちゃんとする人間だ。個人事業主らしく全ての生活を自分で管理して、毎日やることを頭の中でリハーサルして、タスクをこなすように生きている。


お金を稼ぐことは楽しいし、リマインドを一つ一つ終わらせていくことも楽しい。手元にあるお金を計算して、帳簿を入力して、税金対策をして、改正される法律を調べて、常に万全の準備をするのも悪くない気分だ。


だけど、これは僕の理想の姿ではない。こんなに「全てを自分でやります」と言えるほど本来の僕はちゃんとした人間ではない。個人事業で家族を養って、家事をして。ちゃんとしすぎている。頑張りすぎている。


こんなにもうまくいっているのになぜ心の奥底で満たされない自分がいるのか。きっとこれがコンプレックスなのだ。


僕は「頑張らないと愛されない自分」を抱えている。だから愛されるために必死で頑張る。お金を稼ぎ、生活を守り、常に先のことを計算している。この半年、何回キャパオーバーで感情がコントロールできなくなったかわからない。


頑張って、頑張って、僕は「それなりに」報われている。だけど、頑張って報われることを僕は心の奥底では望んでいない。「頑張らなくても」報われることを望んでいるのだ。だけどコンプレックスがそうさせない。僕は頑張らずにはいられない。


最近は特に思う。「頑張っている割には」そんなに儲かってないなあ。食っていくには困らないだけのお金はあるし、お客さんとの関係も良好。なのに、心のどこかで煮え切らない自分がいる。


朝起きて、スケジュールのない1日がはじまる。妻と娘と引っ越したばかりの綺麗なリビングで朝食をとりながら、充実した時間を過ごす。なのになぜ、なぜ、ソワソワするのだろうか。


クライアントさんに偉そうなことを言うからには、僕も本気で自分の人生と向き合っていないとなと常に思っている。こんなこと表で言う必要はないのもわかっている。「達観したコーチ」でいることもブランディングの一つだって。


でも僕は言う。僕はコーチを始めて6年間、葛藤しなかった時期なんて一度もない。ずっと迷いながら今日までやってきたし、これからも悩みまくっていくつもりだ。


コンプレックスに答えなどない。ただそこにあることを知る。完璧の乗りこなせる日なんてきっとこない。それでいい。


僕は「頑張りたくない」と言いながら、これからもなんだかんだ頑張るんだろう。そしてその度に「どうしてこんなに報われないんだろう」と嘆き、コーチに「頑張っているからですよ」とフィードバックされるのだろう。


それでいい。それがいい。コンプレックスを克服しようなんてこと自体が傲慢なのだ。ただ見る。そこにあることを見る。「またやってるよ」と笑う。「もう少しどうにかならんかな」とため息をつく。全部含めて肯定する。


だから僕のクライアントさんやnoteの読者さんにはコンプレックスについてこう考えてほしい。あっていい。理想の姿になれなくていい。克服しなくていい。ただそこにあることを認識して、向き合えばいい。


僕は頑張らないと愛されない、頑張らないと認められないという呪縛を解きたい。でもなかなか解けない。報われているはずなのに、それに気づけずに「どうして…」と悪態をつく。


わかっている。もっと手を抜けばスッとうまくいくこともわかっている。でも人間って「わかっているけどできない」生き物じゃないか。僕は葛藤し続ける。その上で自分にOKを出したい。


コンプレックスがない完璧なコーチになるつもりは毛頭ない。おはなし屋なおとはここに書いていないことも含めてコンプレックスだらけだ。そんな自分も良しとする。


だからあなたも良しとしてくれ。一緒に行こう。



いただいたサポートはミックスナッツになって僕のお腹の脂肪として蓄えられます。