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毎日1曲『三種の神器』20220319 - 戦場のメリークリスマス

作詞、作曲、歌唱、演奏、DTMを趣味や仕事にしている人に向けて書いています。毎日1曲、頭に浮かんだ曲を取り上げて、僕が独断で『ヒット曲の三種の神器』と呼んでいる、世界のヒット曲に共通する不思議な法則を数値化して解説をしているコラムです。興味を惹かれたら『ヒット曲の三種の神器』の詳細についての過去記事もご覧ください。

今日の1曲

日付:2022年3月19日
タイトル:戦場のメリークリスマス
アーティスト:坂本龍一

『三種の神器』度数

ヨナヌキメロディ度:9
弱起度:0
客観描写度:0
解説:
ひとつのテーマメロディを繰り返す曲ですが、合間に入ってくる間奏や淡々とした中にもゆっくりと高揚感が増していくアレンジがすばらしい。

テーマメロディは8小節がひとかたまりとなっていて、その最高音部の4小節目の3拍目に一瞬だけシ(7)が出てくる以外は、ファ(4)もシ(7)も使わないヨナヌキメロディで、ヨナヌキ度数は9です。

1小節目の1拍目から始まるので弱起度は0。歌が無いイントゥルメンタルなので客観描写度は0です。

1983年に公開された日本、英国、オーストラリア、ニュージーランド合作の同名映画の主題曲。監督は大島渚、坂本龍一は映画のメインキャストのひとりでもあります。

坂本作品中、おそらく最も知られている曲ではないでしょうか。映画を観たことがない人でも、このメロディは聴き覚えがあるかもしれません。

映画の多くに、優れた音楽が使われています。優れた音楽というのは、音楽そのものに力があるだけではなく、その映画のテーマに合っている音楽という意味です。

その映画のために書き下ろされた音楽もあれば、監督が既成の曲を選んで使う場合もあります。

もしも僕が映画家督で、映画のための音楽を誰かに依頼するとしたら、その内容は「この映画のテーマに合った音楽を作ってください」のひとことになると思います。テンポはどのくらいで、ジャンルはロック調で、例えば誰々の何々風、みたいな枝葉末節は音楽家の感性に委ねます。

大島監督と20歳も歳下の音楽家の坂本龍一との間で、どんなやりとりがあったかは知りませんが、坂本さんは人生最初の役者デビューというプレッシャーを受けながら、全身全霊をかけてこの曲の制作に臨んだのではないでしょうか。彼がまだ、ぎりぎり20代だったはずです

坂本さんはこの映画がきっかけで「世界のサカモト」としての道を切り開きます。

コメント:
実は僕が「ヨナヌキメロディ」という言葉を初めて知ったのがこの曲でした。その昔テレビの深夜放送で作曲講座みたいな番組を見ていたら「ヨナヌキメロディ」についての解説があり、その例としてこの曲を取り上げていたのであります。

改めてWikipediaにもこの曲のヨナヌキメロディについての言及が見つかります。

各種リンク

戦場のメリークリスマス / David Bowie - Merry Christmas, Mr. Lawrence 1983
Ryuichi Sakamoto Merry Christmas, Mr Lawrence
戦場のメリークリスマス
戦場のメリークリスマス (サウンドトラック)
大島渚
坂本龍一ヒストリー後編 ~ YMOから世界のサカモトへ 〜 反戦平和主義者の隠された素顔

『ヒット曲の三種の神器』解説記事

大平太一流 作詞作曲の必殺技『ヒット曲の三種の神器』解説記事です、是非あわせて読んでみてください。
①ヨナヌキメロディ/なぜか覚えやすい音階の不思議
②弱起/インパクト大!言葉やメロディが飛び込んでくる
③客観描写/具体的で無感情な描写が人の心に感動を生む

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