毎日1曲『三種の神器』20220122 - A Whiter Shade Of Pale(青い影)
作詞、作曲、歌唱、演奏、DTMを趣味や仕事にしている人に向けて書いています。毎日1曲、自分の頭の中で鳴った曲を取り上げて、僕の独断で『ヒット曲の三種の神器』と呼んでいる、世界のヒット曲に共通する不思議な法則を数値化して解説をしているコラムです。興味を惹かれたら『ヒット曲の三種の神器』の詳細についての過去記事もご覧ください。
今日の1曲
日付:2022年1月22日
タイトル:A Whiter Shade Of Pale(青い影)
アーティスト:PROCOL HARUM
『三種の神器』度数
ヨナヌキメロディ度:7
弱起度:3
客観描写度:9
解説:8小節の下降進行(検索してください)で循環するコードパターンが繰り返される曲で、歌よりもイントロのオルガンのメロディが圧倒的な印象を残す。歌のメロディは所々にシ(7)が出てくるものの、ファ(4)は出てこず、ヨネヌキ度は7にしました。ちなみに看板のオルガンのメロディは全然ヨナヌキではありません。
面白いのは、ほとんどのパートの2拍目裏から始まる「弱起ではない」メロディの中で、サビの入口の「And so it was later」と、サビの出口の「Turned a whiter shade of pale」とタイトルを歌う部分だけが弱起です。弱起のメロディは少ないのですが、サビを際立たせる効果は大きく弱起度は4にしました。
歌詞はバンドのメンバーではない詩人が書いています。映画の1シーンのような男女の描写です。歌詞の和訳は検索でいろいろ見つかりますが、「その時、あなたはいつもよりも色白に見えた」という感じですかね。
彼女と情熱的なダンスをした、という出だしから、彼女の顔色の変化から、思っても見なかったことを知ってしまった、というストーリーを描く客観描写度は9とします。
コメント:
僕は吉祥寺という街で青春のひと時を過ごしたのですが、昔は音楽の匂いがする街でした。「音楽の匂い」という比喩は時々聞きますが、吉祥寺は特別で、本当に匂いがしたのです。なんでしょう、輸入レコードと珈琲の匂いが混ざったような、そこに遠くからカレーライスの香りも漂う、そんな街です。
そんな1980年頃の吉祥寺にこの曲はすごく似合っていました。クラシック音楽が教養だとすると、人生を変えるきっかけを与えてくれる娯楽、ポピュラー音楽はそんな感じですね。今回調べたら、世界中でヒットしたんですね。イギリスで過去75年で最も放送された曲1位だそうです。
2日前の記事で取り上げた荒井由実の「ひこうき雲」はこの曲がモチーフになったというエピソードがあるのですが、聞き比べると納得できます。
2000年代にこの曲のオルガンを弾いているメンバーが、作曲のクレジットと著作権を主張する訴訟を起こし話題になったようですが、僕はこの曲の権利は①作詞者、②作曲者、③オルガンのメロディを作った編曲者、の3人が共有すべきと思いますが、もともとこの③が無かったようですね。ちなみに日本で音楽の著作権は基本的に①と②しか認められていません、このあたりは改めて記事を書きたいと思います。
ちなみにバッハの「G線上のアリア」というクラシック曲が、この曲のモチーフになったとも言われています。
各種リンク
PROCOL HARUM - A Whiter Shade Of Pale - promo film #1(Youtube)
青い影(Wikipedia)
『ヒット曲の三種の神器』解説記事
大平太一流 作詞作曲の必殺技『ヒット曲の三種の神器』解説記事です、是非あわせて読んでみてください。
①ヨナヌキメロディ/なぜか覚えやすい音階の不思議
②弱起/インパクト大!言葉やメロディが飛び込んでくる
③客観描写/具体的で無感情な描写が人の心に感動を生む
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