毎日1曲『三種の神器』20220310 - サウンド・オブ・サイレンス
作詞、作曲、歌唱、演奏、DTMを趣味や仕事にしている人に向けて書いています。毎日1曲、頭に浮かんだ曲を取り上げて、僕が独断で『ヒット曲の三種の神器』と呼んでいる、世界のヒット曲に共通する不思議な法則を数値化して解説をしているコラムです。興味を惹かれたら『ヒット曲の三種の神器』の詳細についての過去記事もご覧ください。
今日の1曲
日付:2022年3月10日
タイトル:サウンド・オブ・サイレンス
アーティスト:サイモン&ガーファンクル
『三種の神器』度数
ヨナヌキメロディ度:8
弱起度:10
客観描写度:6
解説:短調の曲で、オリジナルのキーは「変ホ短調」=E♭マイナー(調とかキーなどについては、わかりやすい説明がネットにたくさん見つかるので調べてみてください)。ここでオリジナルのキーで、鍵盤楽器を持っている人はなんでも良いのでメロディを弾いてみてください。この曲のメロディのほとんどが黒鍵だけで弾けることに気づくと思います。
この黒鍵の音が、実はこの調でのファ(4)とシ(7)を除いた音階です。なので黒鍵しか出てこなかったらヨナヌキ度数が10、と言えます。実際に弾いてみると1番のひとかたまりのメロディ中に3箇所だけ、白鍵が出てきますね。この3箇所に出てくる白鍵の音はいずれもシ(7)です。しかも、そのシが出てくる2箇所は、メロディが最も高い音になる、この曲のひときわ美しい部分です。是非ご自身で確かめてみてくださいね。
ヨナヌキメロディに1〜2箇所だけ、ここぞという部分に意識的にシ(7)やファ(4)を使うのは、とても効果的なのです。ということで説明が長くなりましたが、ヨナヌキメロディ度数は8にしました。
そして弱起について、このコラムでは一般的に理解しやすいように音楽理論用語の「弱起」という言葉をあえて使っていますが、僕はこれをいつも「偶数小節、奇数小節」という捉え方で説明しています。詳しくはいつか書きますが「偶数小節から始まるメロディ」のことをこのコラムでは「弱起」と呼んでいます。
「サウンド・オブ・サイレンス」のほぼ全てのメロディは偶数小節から始まっています。これは、コードやリズムの伴奏よりも常に歌が先行している状態を示しています。すなわち弱起度数は10です。
そして、この曲が世界中で大ヒットした最大の理由は歌詞でしょう。いつもの洋楽あるあるで、外国語の詩を日本語と並べて定量分析するのは無理があります。ただ最後のブロックに出てくる「預言者の言葉は 地下鉄の壁や安アパートの廊下に書かれている」という1行が、1960年代半ばの世界中の若者に「もしかしたら音楽は世界を変えられる」という勇気を与えたことは間違いないと思います。
英語なので理解半分、ということを含めて客観描写度は6にしました。
コメント:
昨日の踊り場ソウルの「桜木町グラフティ」からこの曲を連想しました。この曲がレコーディングされた時、ポールサイモンは23歳。自分の人生のポケットに入れておきたい1曲です。
明日3月11日は東日本大震災から11年目になります。
各種リンク
The Very Best Of Simon & Garfunkel Greatest Hits Full Album | Nonstop Playlist
Simon & Garfunkel - The Sound of Silence (from The Concert in Central Park)
サウンド・オブ・サイレンス
サイモン&ガーファンクル
『ヒット曲の三種の神器』解説記事
大平太一流 作詞作曲の必殺技『ヒット曲の三種の神器』解説記事です、是非あわせて読んでみてください。
①ヨナヌキメロディ/なぜか覚えやすい音階の不思議
②弱起/インパクト大!言葉やメロディが飛び込んでくる
③客観描写/具体的で無感情な描写が人の心に感動を生む
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