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毎日1曲『三種の神器』20220311 - イマジン

作詞、作曲、歌唱、演奏、DTMを趣味や仕事にしている人に向けて書いています。毎日1曲、頭に浮かんだ曲を取り上げて、僕が独断で『ヒット曲の三種の神器』と呼んでいる、世界のヒット曲に共通する不思議な法則を数値化して解説をしているコラムです。興味を惹かれたら『ヒット曲の三種の神器』の詳細についての過去記事もご覧ください。

今日の1曲

日付:2022年3月11日
タイトル:イマジン
アーティスト:ジョン・レノン

『三種の神器』度数

ヨナヌキメロディ度:2
弱起度:0
客観描写度:0
解説:
曲を通してファ(4)は1度も使われないが、シ(7)が多用されているのでヨナヌキメロディ度数は2。シンプルな構成で、全ての行のメロディが伴奏の後から始まっており、弱起度数は0です。歌詞は問いかけ式の主観表現がほとんどで、客観描写度数も0にします。

僕の『ヒット曲の三種の神器』法則が全然当てはまらないヒット曲であります。

特に欧米諸国での人気が高く、ギネスブックにも載っているなどの記録の一方で、Wikipediaには「歌詞が共産主義的思想であるという批判も存在し、ラジオやテレビなどでは時に放送禁止になったりもする」という説明がある。

たしかに9・11アメリカ同時多発テロ事件当時、イマジンがアメリカで放送禁止になった、という噂を聞いたことがありましたが、実際には「クリア・チャンネル社のメモ」という、テレビ、ラジオ局の番組ディレクターが事件直後には放送したくない、と思う曲の内部リストが存在したというエピソードのようです。

このリストを今見ると、まさに20世紀は音楽が世界に影響を与えたことが確かめられる名曲がずらりと並びます。ストレートに反戦をテーマにした曲や、このイマジンのように国や宗教を越えて平和を願う曲や、天国地獄といった死生観を歌うものなど内容はさまざまですが、リストの基準のひとつには「悲しみを共有し、戦意喪失を促す曲の放送を自粛する」という意図もあったと聞きます。

音楽は、人を真実に気づかせることができると同時に、真実を隠す道具にもなり得る、ということがわかります。

では、当のジョン・レノンはどんな目的でこの「イマジン」を作ったのでしょうか。どこかのインタビュー記事には「ようやく、Yesterdayと同じくらいいいメロディーの曲が作れたと思う」というジョンの言葉が紹介されていました。ビートルズの初期の頃のように、ヒット曲を出すことを目標にしたのでしょうか。

僕個人の理解ですが、彼はもうそういう俗世間の価値観から離れて、聞いた人が真実に気づくきっかけになるものが作りたかったんじゃないかと思うのです。でも自分も真実を知っているわけではないから、すべては想像でしかないけれど、想像することくらいなら誰でもできる、という自分に正直な歌なのではないかと。

コメント:
3月11日に何の曲を選ぶかで逡巡してしまい、投稿が遅れてしまいました。「クリア・チャンネル社のメモ」の話は今回初めて知って、いろいろ考えさせられたと同時に、自分はロックミュージックが最も影響力を持った時代に生き、今も音楽と関わり続けていられることを、とても幸せなことだと思いました。

1998年9月8日の朝日新聞の朝刊に「20世紀からの伝言」というコラム記事が掲載されているのをたまたま読んで、それが脳裏から離れず、もう一度読みたいと何年も思っていたのですが、ほどなくインターネットの時代が到来し、2004年に朝日新聞の過去記事全文検索サービスなるものが始まったの見つけて飛びつきました。

記憶をたどりながら入力した検索ワードは「プレスリー」「リバプール」「ケルト」「奴隷貿易」の4つです。すると該当記事が1件だけヒットした、ビンゴでした。「すごい時代になった」と、僕は鳥肌が立ったのであります。この記事はとても面白い内容なので、またの機会に紹介したいと考えるのであります。

各種リンク

ジョン・レノン / イマジン (日本語訳付き)
イマジン (ジョン・レノンの曲)

『ヒット曲の三種の神器』解説記事

大平太一流 作詞作曲の必殺技『ヒット曲の三種の神器』解説記事です、是非あわせて読んでみてください。
①ヨナヌキメロディ/なぜか覚えやすい音階の不思議
②弱起/インパクト大!言葉やメロディが飛び込んでくる
③客観描写/具体的で無感情な描写が人の心に感動を生む

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