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昨日この世界で

  • 初出『別冊文藝春秋』249号〜251号

  • 『昨日この世界で』2004年8月(文藝春秋)所収

  • 約284枚/400字詰め換算

だいぶ昔のことなので、うろ覚えですけど、芥川龍之介が随筆かなにかで、ひとつの作品ができあがるのに、事前の計画通り行くこともあれば、紆余曲折を経て変わることもある、というようなことを書いていました。その中にたしか、いろいろ変わることはあるけれど、そうは言ってもさすがに、馬を書こうと思ったのが馬蝿になったことはない、と書かれていて、最初に読んだときは、そりゃまあそうだよね、などと学生らしくのん気なことを思ったものですが、今は、馬&馬蝿のことを思い出すと、なんだかションボリしてきます。

いわゆる文芸誌ではない場所で、初めての連載で、しかも挿し絵まで入る! ということで、ちょっとばかり浮かれていたというか、物書きとしての可能性を広げるとか、信頼性をアップさせるとか、なんかいろいろチャンスなんじゃないか、と柄にもなく張り切っていました。こうなったらもう、類例のないエンタメ作品を書き上げみせるぞ! と意気込んでいたのですが、結果的には、連載するのが怖くて、最後まで書き上げたものを分割して掲載する分載にしたのはまだいいとしても、文芸誌に載せていたもの以上に、よくわからない作品になってしまった気が、しないでもありません。

この作品のせいかどうかわかりませんけど、これ以降、エンタメの話もなければ、連載の話も皆無です。いやはや。


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