人生には四季がある

「人生には四季がある」

と、ある先生が生徒に向けて語っていた。中学生には、どれくらい理解できる言葉だったんだろう。でも、きっと、届く子には届いたんだろう。

今、あなたは冬かもしれないし、春かもしれない。冬の最中にいる人も、辛くてもいつかは必ず春が来ます。春の最中に今いる人も、いずれは、夏が来て、秋が来て、冬がやってきます。今、冬の人は、必ず春がやってくるので大丈夫。今、春や夏、秋の人は、ぜひ、冬の人に気づいたら優しく接して助けてあげてください。

というような内容で、大人の私の方が心にじんときてしまった。
大人で人生の四季をすでに一通り経験したから、というのもあるけど、多分、今の自分が「冬」に近い状態だから余計に響いたのかもしれない。だから聞いていた中学生たちも、春〜秋の人たちは、まだピンとこない、綺麗事のように感じたかもしれないけど(中学生なら、まだ冬を経験したことがなく、いつか自分の人生に冬が来るなんて想像が出来ない子もたくさんいるかもしれないから)、今現在の中学校生活が、冬にある子にとっては、心に沁みて、少しだけ希望を持てたかもしれない。

この話を聞いてから、程なくして、私は中学校教員という仕事を唐突に辞めることになった。今の人生が、ものすごく辛いかというと、可愛い娘と夫という家族がいて、お金にも健康にも困ることがなく、多分客観的に見たら幸せなのだろうけど(もちろん辞めるに至るまでには仕事でも育児でも辛いことが数えきれないほどあったが)人生を見つめ直さなきゃ、という気持ちで、言わば冬眠に入るような気持ちである。春を待ち、前向きな気持ちで冬を越せたら良いのにと思う。私は大人なので、経験的にも、冬の後には春が来ることを知っているわけだし。冬眠の間に、自分の心の中に、たくさんの栄養を蓄えたい。来る春に、花が輝いて咲き誇るように、小鳥が巣立ち羽ばたくように、私も生き生きと人生の再出発をしたい。生まれ変わって、新しい人生が始まるような気持ちで、生きたい。

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