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二十六夜月の怪〜物語〜

「二十六夜月の怪」

いつから だっただろう
視えてはイケないモノが
見えることに気が付いたのは

目を合わせてはイケないモノ
本能的にそう思っていた

それらは小動物ぐらいで
目が合ってしまうと
イタズラされた

 木の上にいたモノはドングリを降らした
 草かげにいたモノは引っ付き虫を付けた

小さなイタズラ
でも存在を認識していると知ったら
イタズラではいられない
そんな感じも受け取っていた

仕事で嫌なことがあった日
心が荒んでいた日

子熊位の視えてはイケないものが
私を見ている視線を感じた

はじめて こわかった
どうすればいいのか 分からなかった

だから 顔を上げ空を見た
月を見つけた

背後に羽音
空から黒き羽ふわふわと目の前を
堕ちてゆく

目の前の子熊型は消えた
振り返ってはいけない そう思った

それから 子熊型まで視えるようになった
どうにも出来ない処で会うと羽音がする

助けてくれている?
でも、振り返っては いけないと本能が云う

疲れ深い眠りにおちた日
呼ばれた気がして目が覚めた

カーテンの外は  まだ暗い世界
見上げた先に逆三日月

座れそうだなと何故か思った瞬間
何かと目があった気がした

そんな事あるわけ無いのにと
視線を下げ ため息ひとつ

黒き羽 足元に堕ちて
視線を上げ 息を呑む

目の前に妖しく美しき
ヒトならざるもの

『やっと 目が合った
     僕を見てくれたね 』

瞬時に 心奪われてしまった

やはり 知ってはいけない 相手だった

もう 現世に戻ることは出来ない

黒き羽の主が
私の背を愛しそうに撫ぜた時に

全てを思い出した

ごめん 待たせてごめんね
待っててくれて ありがとう

常世に愛しき貴方と浮世に活きる

〜おしまい〜 


Photo:山瑠璃草さん

お読みくださりありがとうございます(⁠.⁠ ⁠❛⁠ ⁠ᴗ⁠ ⁠❛⁠.⁠)
人でいる為には知ってはいけない相手と会って
ヒトならざるものになってしまいました〜
果たして羽の色は…何故人になってたか…其辺は想像して楽しんでくださいね (⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧

山瑠璃草さんのお写真から詩を詠み、そこから物語になりました✨楽しかったのです(⁠ʘ⁠ᴗ⁠ʘ⁠✿⁠)
なので 楽しんで頂けたのなら嬉しいな~

山瑠璃草さん
お写真ありがとうございました(⁠人⁠ ⁠•͈⁠ᴗ⁠•͈⁠)
                OTERIST 

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