見出し画像

いっかくじゅう座のカモメ星雲(Seagull nebula)の天体写真を撮る

はじめに

 冬の星雲として有名なカモメ星雲を撮影してみました。過去にも2度、撮影してことがありました。

 こちらは、2013年年末にKOWA Prominarで、Canon 60Daで撮影したものです。

 こちらは、2014年12月に同じ機材で撮影したものです。こちらは天ガで入選してました。

 カモメ星雲は初心者にも撮りやすく、ベンチマークとなる対象ですので、新しいシステムでも撮影してみました。

構図について

  画角的にはカモメ星雲の全体像は収まらないので、頭と胸あたりを主題において構図をしております。カモメの右肩にある赤いボタンみたいのは組み込みませんでした。

画像1

撮影データ

 2月の上旬に4夜かけて撮影してます。撮り頃としてはギリギリセーフでしょうか?南中高度が低い対象なので、なるべく35度以上で撮影するとすると1夜あたり4時間程度しか撮影できません。撮影した中から良フレームだけ選別し、LRGBで合計11時間分を最終的なコンポジット合成に利用しています。

[Technical Data]
Main Object Name: Seagull Nebula (IC2177)
Date: 2021/2/6, 2021/2/7, 2021/2/8, 2021/2/9
Location: Fujigane Remote Observatry, Yamanashi, Japan
Scope: Astro System Austria 8N + 3“ Wynne Corrector
Focal Length: 730mm
F-Ratios: 3.6
Mount: iOptron CEM60EC
Auto-Guide: ASI120MM, KOWA LM100JC, PHD2 2.6.9dev2 
Camera: Moravian G3-16200
Filter: 
 Astrodon LRGB Gen2 E-Series Tru-Balance Filters
Exposure: 
 L:  1x1 600sec x 40 -25C
 R:  2x2 300sec x 21 -25C
 G:  2x2 300sec x 15 -25C
 B:  2x2 300sec x 16 -25C
Imaging SoftWare: Sequence Generator Pro
Processing: PixInsight 1.8.8, Photoshop 22.2

仕上がり画像

 10時間の撮影データを合成して、画像処理したものです。明るい対象ということもあり、長時間露光の結果、ノイズがほとんどなかったために、輝度ノイズ処理をしていません。カラーノイズについても暗部(バックグラウンド)のみ適用しております。
 カモメの頭の部分は非常にコントラストが高く見応えがあると同時に、肩から尾にかけての色のグラデーションが美しいです。
 さらに右手(右肘)の部分の反射部分も非常に綺麗な領域ですね。

「それにしても星が綺麗だなあ」 

 輝星と微恒星、そこに到る大きさの星々の輝きのバランスが上手く表現できているし、星に必要十分な色のりも表現できているのではないでしょうか?

 6等星ぐらいの星でも、長くスマートな光条が表現できるのは、ASA鏡筒の能力でしょう♫ 最新のε160EDだとどうかわかりませんが、ε130Dと比較すると、全然ASAのほうがいいです。これもダブルスパイダーの効果でしょう。

画像4

 Pixinsightで星図合成したものも貼り付けておきますね。

画像6

画像処理

 いつものLRGB合成のフローです。

 上記のフローのなかで、以下のような処理を行っています。

画像6

 今回は、明るい対象で10時間もかけて撮影したこともあり、元画像に情報が豊富で、ノイズも少なかったこともあり、軽くローカルコントラスト処理をして、いわゆる「ウネウネ感」を表現しています。でも、ほんの軽くです。

さいごに

 見応えのある2つの場所について1000 x1000 pixelの未縮小画像を用意しました。切り出して、スマートシャープを軽めに適用したものです。

画像4

 頭の部分は適度にハイパスがかかっていて、ウネウネが強調されています。

画像5

 このエリアの反射部分は興味深い構造をしていますね。

 カモメ星雲はクローズアップしても面白い対象なので、次回はエクステンダーPHを調達してから再チャレンジしてみたいと思います。


よろしければ、サポートをお願いします!いただいたサポートは記事を書くための費用として使わせていただきます!