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オリオン座の逆F型のマイナーな反射星雲 NGC1788

はじめに

 いま想うと、なぜ、この対象を撮影しようと思ったのかわからなくなりました。たぶん、軽い気持ちで、「ここのエリアって、海外でもそんなに作例とかないから目立つんじゃない?」「低空対象&淡いけど長時間撮影すればなんとかなるんじゃない?」っていう自己顕示欲と甘い考えのもとで選んでしまったようです。

 結果的には10時間分撮影しても、作品としては成立しない状態で、さらに10時間分撮影して、やっと及第点がもらえるレベルでした。ここから合格点を得ようとすると、さらに倍の40時間分の撮影が必要になると思います。

 過去には、屈折系の作例では中国雲南省で撮影された素晴らしい作品がありますので、これはベンチマークとさせていただきました。中国雲南省の暗い場所で、さらに日本よりはるかに緯度が低いので、オリオン座の南中高度も高いでしょう。そこで16時間半の撮影の作品と比較して、どうかということかと思います。
 作品的には、ちょっと無理してNGC1788の中心部のシアン系の色を、みせるための強調をしているのは気に入りませんね。。。。ただ、全体的な屈折系のカラーバランスとしては上手いです。

構図

 魔女の横顔星雲の北側にある対象です。縦構図でバランスよくおさめることができました。逆Fの字の形の全体像をバランスよく配置しています。

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撮影データ

 1月と2月の2ヶ月間で、7日間で22.5時間撮影し、そのうち20.5時間分を画像合成に使用しています。この季節になると南中時刻が20時から21時ぐらいなので、撮りごろは終わっているのですが、高度30度以上で一夜当たり4~5時間ほどは撮影できます。

[Technical Data]
Main Object Name: NGC1788
Date: From Janualy 2021 to February 2021
Location: Fujigane Remote Observatry, Yamanashi, Japan
Scope: Astro System Austria 8N + 3“ Wynne Corrector
Focal Length: 730mm
F-Ratios: 3.6
Mount: iOptron CEM60EC
Auto-Guide: ASI120MM, KOWA LM100JC, PHD2 2.6.9 dev2 
Camera: Moravian G3-16200
Filter: 
 Astrodon LRGB Gen2 E-Series Tru-Balance Filters
Exposure: 
 L:  1x1 600sec x 68 -25C
 R:  2x2 300sec x 41 -25C
 G:  2x2 300sec x 32 -25C
 B:  2x2 300sec x 37 -25C
Imaging SoftWareSequence Generator Pro
Processing: PixInsight 1.8.8, Photoshop 22.1.1

仕上がり画像

 20時間弱の素材をLRGB合成して、最終的にPhotoshopで仕上げたものがこちらです。

 ファーストトライでは、Rを弱くして全体的なRGBのカラーバランスを整える感じで仕上げたのですが、魔女の横顔星雲も含むような作例も確認していて、もっとRに転んだ仕上げにしたほうがよいという結論に至り、調整を加えています。散光星雲も魔女のように白くしたくなるのですが、これも広域での作例だと茶褐色が正解のようです。

 上下に分かれた散光星雲にまとわりつく赤い領域をキッチリと表現できたことは「良かったこと」、NGC1788の中心部分については、もう少し解像度が欲しいところで、「残念なこと」です。

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 Pixinsight でAnnotateImageしたものも作ってみました。画像処理していると、星ではない形の小さいオブジェクトが多く見受けられたのですが、PCGカタログに登録されている銀河だったんですね。

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画像処理

 いつものフローです。こちらのようにPixinsight でほぼ仕上げてから、こまかな調整をPhotoshopで行っています。

 処理の適用状況です。

画像6

 Pixinsight でLRGB合成直後のものがこちらです。

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 そこからPixinsight で彩度を強調して、コントラストを強調したものがこちらです。なお、ここまでノイズを除去する作業はSCNRでGreenのノイズを何度か細かく除去した程度です。この状態をコピーしてPhotoshopで処理しています。

画像4

 Pixinsightの状態で、どこまで最終イメージに近づけるのかというのが大事だと考えています。

さいごに

 昨年の6月ぐらいに天体写真を再開して、鏡筒も新しいものに更新し、12月ごろまではリハビリ期間で、なるべくメジャーな明るい対象を、画像処理の勘所を思い出すようにやっていたのでですが、こないだのNGC2170で散光星雲もチャレンジし、さらに今回の難関もチャレンジできたことで、完全復活かもしれません。

 でも、ピントのツメが甘かったり、RA方向に星が膨らんでいたりと、いろいろと課題があります。機材も、高速導入するときにカメラとの接続が切れたり(ケーブルが固いため)、子午線反転時にあらぬ方向に向いたりと、課題が多く、そのたびに、10分ぐらいのリカバリが発生します。それもリモートでやっているので、結構厳しいです。

 この趣味を長く続けるためにも、令和3年も応募レースにチャレンジはせず、マイペースでやっていければと考えています。。。

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