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#今月よかったコンテンツ【2024年2月】
先月に続き、2月の個人的よかったエンタメ・コンテンツをまとめてみました。さあて、いつまで続くかな。
ご意見・ご感想・苦情などありましたら、X(旧Twitter)のDMにお願いします。
(ヘッダー画像:『Your Favorite Things』 - 柴田聡子より)
映画
今月の個人的ベスト10はこちら(試写で観たものも含む)
#2024年2月映画ランキング
— touch (@o_kilo_byte) March 1, 2024
① 夜明けのすべて
② Here
③ ゴースト・トロピック
④ 赤い糸 輪廻のひみつ
⑤ 梟 フクロウ
⑥ 違う惑星の変な恋人
⑦ ダム・マネー ウォール街を狙え!
⑧ カラー・パープル
⑨ アメリカン・フィクション
⑩ 52ヘルツのクジラたち pic.twitter.com/uWs2fdudEP
以下、いくつか作品をピックアップ。
『夜明けのすべて』
#夜明けのすべて
— touch (@o_kilo_byte) February 9, 2024
圧倒的今年ベストの大傑作!
16mmフィルム撮影による温かな映像の質感、心地良いリズムの省略的な編集、主演ふたりの声の耳触りの良さ。松村北斗のドライな佇まいの中にある柔和さ、モノローグの語りが見事で、「ライアー×ライアー」「すずめの戸締まり」を経ての今作なのだと納得する pic.twitter.com/EHC1xsQguL
今年公開の邦画では間違いなくベスト級。
とにかく主演ふたりの声が良い。
あとになって「そういえば二人とも新海誠アニメで声優経験があるのか」と共通項に気づいて納得しました。
(上白石萌音は『君の名は。』のヒロイン・宮水三葉役、松村北斗は『すずめの戸締まり』で"閉じ師"の青年・宗像草太役を務めている)
16mmフィルムでの撮影されている(『ケイコ 目を澄ませて』)ほか、ドキュメンタリーを撮影する子供たちが登場する(『ワイルドツアー』)など、三宅唱監督の過去作とリンクしている部分があるのも個人的には好感でした。
すでに2回観ているのですが、キャスト・監督による撮影時の裏話が聞ける副音声コメンタリー上映の評判がすこぶる良いので、近いうちに劇場でもう一回観たいと思ってます。
『ゴースト・トロピック』/『Here』
#ゴースト・トロピック
— touch (@o_kilo_byte) February 7, 2024
心温まる出会いあり、胸が痛む別れあり…こんなにも揺さぶられるとは…!一言で表せば「終電で寝過ごして終点駅から家に帰るだけの話」だが、小さな奇跡の連続に彩られたドラマティックな一夜は予期せぬ冒険旅行の様相を呈していく。徐々に明らかになる主人公の人となりも趣深い pic.twitter.com/xluPTbL5K2
#Here
— touch (@o_kilo_byte) February 7, 2024
まるで白昼夢を見た心地。コンクリートジャングル(都市)で肩を寄せ合い暮らす人々の営みと、森の中にひっそり息づく苔の相似形。二人の遭遇を起点にマクロからミクロの世界へと潜っていくような感覚に。うっかりすれば見過ごしてしまいそうな日常の小さな煌めきを丁寧に掬いあげる。静謐な傑作 pic.twitter.com/IsoVp1h9Hm
カンヌ・ベルリンなどの映画祭で脚光を浴びたベルギーの映画監督バス・ドゥヴォスの2作品が日本初上陸。
どちらも静かで余韻のある作品でした。
劇場公開に際して、バス・ドゥヴォス監督と『Here』で主演をつとめたリヨ・ゴン氏が来日。上映後トークイベント&サイン会が連日開催されるなど、配給会社さんの熱量の高さもしっかり伝わってきました。
バス・ドゥヴォス監督の今後の作品にも注目です。
『ゴースト・トロピック』『Here』のバス・ドゥヴォス監督、『Here』で主演をつとめたリヨ・ゴンさんにサインをいただきました!!家宝にします!!! pic.twitter.com/BF35JdBOUJ
— touch (@o_kilo_byte) February 7, 2024
ドラマ
「SHUT UP」
ドラマ『SHUT UP』全話観た。日本のTVドラマで性加害問題をここまで誠実に扱ってくれたものが未だかつてあっただろうか。経済的に苦しい学生でも気軽に頼れるセーフティネットがいかに整備されていないかを思い知らされる。性被害の訴えにあれこれ難癖つけている人たち、まず黙ってこれを観てください pic.twitter.com/9UfPritJLB
— touch (@o_kilo_byte) February 19, 2024
TVドラマ「今夜すきやきだよ」の山西竜矢氏が脚本・構成に携わる。
しんどい展開続きで前半なかなか観進められずにいましたが、もがきながらも少しずつ希望が見えてくる後半は続きが気になって、ラスト3話は最後まで一気に観てしまいました。
アルバイト漬けでギリギリの大学生の生活実態、男性たちのデリカシーに欠ける軽率な発言、パパ活のアルフォート貯金箱、SNSで一方的に映像が拡散されていく恐ろしさなど、描写のディティールひとつひとつが胸に刺さります。
性暴力の問題がたびたび矮小化され、加害者を擁護するような意見もいたるところで散見されるなか「同意のない性行為はすべて性加害です」とハッキリ言い切ってくれたことに頼もしさを感じました。
同じ寮で暮らす大学生4人(仁村紗和・莉子・片山友希・渡邉美穂)のアンサンブルはもちろんのこと、彼女たちと敵対することになる男子学生の恋人役を演じた芋生悠が素晴らしかったです(前出『夜明けのすべて』での演技も良かった!)。
配信
短編アニメ 『Crab Day』
BAFTA(英国アカデミー賞)短編アニメ部門受賞作品『Crab Day』
— touch (@o_kilo_byte) February 19, 2024
「カニを殺して大人になる」という通過儀礼に戸惑う子どもの心の機微。ミニマルな描画でセリフは無し、素朴な音の演出が冴えている。
Crab Day | EE BAFTA Film Awards 2024 Nominated British Short Animation https://t.co/MN8oVcfarL pic.twitter.com/4tlx2ZnRi8
BAFTA(英国アカデミー賞)で短編アニメ部門を受賞した作品。
判を押したように皆一様に肉体労働を繰り返し、酒場で延々と腕相撲して力比べする男たち。
いわゆる「海の男」的な価値観、綿々と続いてきた家父長制が温存する"有害な男性性"からの解放を、極めてシンプルな線画で表現しています。
ハイレベルなCGアニメや手の込んだストップモーションアニメなど、大きな映画賞ではどうしても製作の技術力・人的コストが見えやすいアニメ作品が高く評価されがち。
そんな中でこれほど簡素な仕上がりの作品が受賞したのは驚きでした。BAFTA公式YouTubeで観ることができます(※2024年2月現在非公開)。
▼ オフィシャルトレーラー
ポケモンスペシャルアニメ 「ただいま」
『羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ)』で知られる中国のアニメスタジオ、寒木春華が制作したアニメ作品。
「春節」がテーマになっており、帰郷する人々やそれを迎える人々、お祭りムードの街の賑わいをダイナミックなカメラワークでいきいきと描いています。
仕事の相棒だったり一緒に暮らす家族の一員だったり……「もし実生活の中にポケモンがいたら?」という共生の様子がリアル。
ポケモンを知らない人でも親しみやすい作品になっているのがいいですね。
ライブ・イベント
「THE CHEMICAL BROTHERS 来日公演」@東京ガーデンシアター
ケミカル・ブラザーズ@東京ガーデンシアター
— touch (@o_kilo_byte) February 3, 2024
2020年来日公演中止の無念を晴らしてきた。ほぼノンストップ踊りまくり、あっという間の2時間。昨年リリースしたアルバム曲は思っていたより少なくて、新旧バランスよく織り交ぜたセットリスト。奥行きを感じさせるレーザーと映像のシンクロが楽しかった! pic.twitter.com/dRLJto91rS
2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により来日公演が中止。
実に5年ぶりとなる彼らのステージ、凄まじい音像に圧倒されました。
どうやら会場備え付けの音響ではなく、わざわざ自前のスピーカーシステムを運んできて組んでたらしい。贅沢だな~。
「CRCK/LCKS×ぷにぷに電機」@渋谷WWW X
「CRCK/LCKS×ぷにぷに電機」@渋谷WWW X
— touch (@o_kilo_byte) February 19, 2024
とても良かった…この対バン面子、ずるくない??
前半バンドセットのぷに電さん、グルーヴが心地よくて、揺らぎのあるウィスパーボイスに聴き入ってしまった。それに呼応するような後半クラクラのジャムセッション感。楽しみながらライブしてるのが伝わってきた pic.twitter.com/cIbusiDrkV
CRCK/LCKSとぷにぷに電機、どちらもライブを観るのはお初でした。
打ち込みサウンドのイメージが強かったぷにぷに電機、バンドセットになるとかなりジャジーな印象に。
久々の対バンだったというCRCK/LCKSも、ゴリゴリに即興アレンジを効かせていて、これぞライブ!というパフォーマンスでかっこよかった。
出番順が与える影響も目に見えるほど表れていたりして「最近あまり行ってなかったけど、やっぱり対バンイベントっていいな~」と思いました。
「Oneohtrix Point Never Japan Tour 2024」@六本木EX THEATER
Oneohtrix Point Never Japan Tour 2024
— touch (@o_kilo_byte) February 28, 2024
@六本木EX THEATER
音と光のユートピア。電子音の混沌の荒波と天に昇るような美メロの交互浴。可愛くて不気味なミニチュア人形の特撮即興劇にアニメ映像とグリッチエフェクトが同期する謎の技術。スペシャルゲストのJim O'Rourke+石橋英子も凄かった。大満足◎ pic.twitter.com/oXbm2ODosL
昨年リリースしたアルバム『Again』をひっさげての来日公演。
轟音と閃光に包まれる体験、かなり衝撃的でした。
世界初披露の最新ライブセットということもあってか、海外から来ていると思しきファンも多数見かけました。
ジム・オルーク(JIM O'ROURKE)と石橋英子のゲスト共演も、これだけでチケット代の元が取れるくらいカッコよかった。
音楽
柴田聡子 『Your Favorite Things』
柴田聡子『Your Favorite Things』
— touch (@o_kilo_byte) February 29, 2024
20年代を代表する名盤のひとつとして語り継がれるであろう、ポップスの新たな地平を切り拓く大傑作。彼女ならではの散文詩的なライムをグルーヴィな演奏が盛り立てる。R&B,ディスコ,ジャズ…ジャンルの垣根を軽やかに横断していくメロウなウィスパーボイスの快さよ! pic.twitter.com/eeNbWc58lj
「今年あと10ヶ月、この一枚を超えてくるアルバムが他にあるんだろうか……」なんて、本気で考えてしまうくらいに良かった。
バラエティに富んでいた先行リリース曲「Synergy」「白い椅子」「素直」「Side Step」がそれぞれアルバム曲と並ぶことで、さらに有機的に機能している。
今作に合わせて発売された「特大ボリュームの実質ラーナーノーツ」であり「アナトミー・オブ・柴田聡子(柴田聡子の解剖学)」ともいうべき充実の内容の『ユリイカ2024年3月号 特集=柴田聡子』もあわせて要チェックです。
The Last Dinner Party 『Prelude to Ecstasy』
▼ The Last Dinner Party - Nothing Matters
イギリス発「ガールズロックバンド・ムーブメントの筆頭」として注目される5人組バンド、The Last Dinner Party(ザ・ラスト・ディナー・パーティー)のデビュー・アルバム。
歪みの効いたギターサウンドと壮大なストリングス、抒情的な歌唱でしっかり聴かせてくる。
メンバー全員のファッションがめちゃくちゃオシャレ(コレ大事!)。ダークゴシックなスタイリングで統一感があり、ビジュアル面も強い。
世界観がすでにしっかりと確立されている。ブレイク確実。
漫画
屋宜知宏 『ヒトナー』
読切マンガ『ヒトナー』
— touch (@o_kilo_byte) February 15, 2024
とても良かった。獣の擬人化を反転ミラーリングさせたSF作品。突如現れた未知の存在に対して心を開き対話を試みる者、恐れを抱いて排除しようとする者…。現代社会の縮図を見るような切実なドラマに唸る。
ヒトナー - 屋宜知宏 | 少年ジャンプ+ [ https://t.co/m7I7Zq7vXX ]
少年ジャンプ+に掲載された読切マンガ。
「アイアンナイト」の屋宜知宏氏とあって、獣人のキャラクター造形にこだわりを感じました。
『未知との遭遇』や『猿の惑星』といった往年のSFを連想させるほか、映画化を控えたあるSF小説との類似点も……?
本田三五 『ピアス』
こちらも少年ジャンプ+に掲載された読切マンガ。
主人公と隣の席になった不良少年、彼がつけていたピアスをきっかけに始まっていく交流。
現代から過去へ思いを馳せ、最後にまた現在に視点が戻ってくるラストが切ないです。
▼そのほか、買ってよかった漫画単行本たち
ゆざき さかおみ 「作りたい女と食べたい女」(5)
新井すみこ 「気になってる人が男じゃなかった」(2)
南Q太 「ボールアンドチェイン」(1)
振り返り
・「夜中のクロスレビュー」という映画レビュー企画の2024年2月号にゲスト参加しました。よかったらチェックしてみてください
・3月はいよいよ第96回アカデミー賞の発表。現時点でアカデミー賞作品賞にノミネートされている10作品中、8作品を鑑賞済み。『Holdovers』と『関心領域』も観たかった
(『関心領域』は東京・大阪で先行上映をやるらしい。観られるといいな……)
・先月観ようとしていたTVドラマが、ほとんど手つかずのままになっている
・積読もぜんぜん消化できていない
・気づいたら3000字も書いている。こんなことをしている間に本の一冊くらいは読めたのでは
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