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【最新作云々㊸】5000歳のガチムチ男、復讐に現る!! 正義の四天王と超絶肉体言語で解り合っちゃう人情ダークヒーロー映画『ブラックアダム』

 結論から言おう!!・・・・・・こんにちは。=^._.^= ∫
 こんな陽光輝く冬の昼下がりにはとある駅前のラーメン屋に入った時のことを思い出す、O次郎です。

あれはもう10年以上前のことです。当時僕は都内西部の果ての田舎町に住んでいました。
そして住処の最寄り駅前に小さなラーメン屋がありました。
店名が色褪せて読めないほど年季が入っています。
営業時間はなんと平日11~14時という強気を通り越して趣味みたいな運営。
某口コミサイトでの評判はまずまずで、怖いもの見たさもあり、
とある平日の11時半頃に恐る恐る入店してみました。  ※当時はフリーターで平日休みが常
↓ 続く

 今回はDCエクステンデッド・ユニバースの最新スーパーヒーロー映画『ブラックアダムです。
 筋骨隆々のタイラントのごときヴィランがDC版のアベンジャーズよろしくの正義のカルテット"ジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカ"を相手に大暴れする超大作で、単独作品にも関わらず実質ヒーローが挙って登場する大盤振る舞いな作品です。
 彼らの地球狭しと天地を揺るがしぶつかり合うアクションと各人の際立った個性の巧みな演出、大敵を前にした離合集散のやきもきさせるドラマは大いに楽しめつつも、一方でブラックアダム当人の行動原理や目的地平の描き方についてはやや不十分だった感も有り、そのあたり個人的に感じた良し悪しを認めてみようと思います。
 大作好きもそうでない方も、ヒーロー映画好きもそうでない方も、美しい方もそれなりの方も読んでいっていただければ之幸いでございます。
 それでは・・・・・・・・・・・・"写ルンです"!!

吉田戦車先生じゃないほうね・・・。


[冒頭のラーメン屋の話の続き]
入店してみると店主の初老の男性から微妙な愛想の「いらっしゃい」。
カウンター席だけの簡素な店構えに待ち時間用の本棚は
コンビニコミック版の『ゴルゴ13』に巻数一桁台の『ONE PIECE』というやる気の無さ。
コスパの良い半チャンラーメンを注文のうえ、本棚の上の微妙にふやけた新聞を読んでいると
先客の子連れの父親が早くも一杯ひっかけながら知り合いと思しき店主へくだをまく。
父「いや~もうやってられねぇよな~。だってコイツ(隣の息子さん、小学校高学年ぐらい)さ~
オレの作ったメシより給食のほうが旨いって言うんだぜ~。」
→ 店主「……(黙って聞きながら苦笑い)」 息子「……(黙って恥ずかしそうにラーメン啜ってる)」
察するに父子家庭だったのでしょうか。なんか事情の奥行きを感じさせる親子でした。(・∀・)
ちなみに半チャンラーメンは普通でした、とさ。



Ⅰ. 作品概要

 DCEU作品の通算11作目。以前『ピースメイカー』について書いた時にも思いましたが、膨大な数の本筋シリーズと派生作品のあるマーベル作品と違ってこちらはまだ比較的穏やかなペースなのでガチガチでなく追っかける側としては有り難い次第です。

※ちなみにその以前書いたヤツはこちら。よろしければ併せてどぞ。

 DCヒーローの中でも、あくまで素の人間でありながら人並ならぬ鍛錬とハイテク装備によってヒーローとなったタイプと、人ならざる者あるいは元は人ながら僥倖によってそれを超越した存在となった者が人類ないし特定の人々の庇護者たるヒーローとなったタイプがありますが本作の主役ブラックアダムは後者。
 本作のみならずその主演作品の多くで製作も兼ねる"ロック様"ことス-パースターのドウェイン・ジョンソンが実に十年以上も掛けて作り上げたという並々ならぬ熱情の籠った作品であり、それが本作のエンドクレジット中のヘンリー・カヴィル演じるスーパーマンの再登場に現れています。
 なんでも、DCエンターテインメントの重鎮の一部が彼のスーパーマンの再登板を良しとしていなかったものの、ユーザーファーストであくまで再登場を前提に脚本・撮影を進めたとか。
 実際の試写での観客の熱狂を背景に遂に上層部を説得し切ったとのことですが、ヘンリー・カヴィル側含め根回しは相当なものだったろうと察します。
 ドウェイン自身も少年期からのDCコミックファンだったとのことですが、まさしく真のエンターテイナーというところではないでしょうか。

とどのつまり、"本物のスターは観客の前だけでなく何時如何なる時もスター"
ということでしょうか。
「マーベルヒーローを向こうに"DCここにあり"と示すにはスーパーマンの存在は不可欠」
というエンタメのパワーバランスをも視野に入れてのことでしょう。



Ⅱ. 個人的ヒャッハー‼な点

・JSAヒーローの面々の多彩さと個性の煌めき

 復活した破壊神ブラックアダムを抑え込むために米国政府組織A.R.G.U.S.があまりにも鮮やかに速やかに招集したジャスティス・ソサエティ・オブ・アメリカの面々。
 "事前に単体ヒーロー作品の生まれていないその他大勢のヒーロー"ということで、それこそ同じDCヒーローのスーサイド・スクワッドの登場してすぐに落命しちゃうなんちゃってヴィランや、マーベルの別次元のイルミナティみたいに咬ませ犬的に使われるかと思いきや、作中で使い捨てられることなくきちんと個性とチームとしての一体感、それぞれのアクション的な見せ場も充実しており、ジャスティス・リーグ』で培われたDCなりの集合ヒーローのドラマツルギーの巧さを感じさせます。
 マーベルのアベンジャーズたちはその殆どが国や人種や組織といった重い十字架を背負っており、それがゆえにその重責に圧し潰される重厚ながらも重苦しいドラマが展開される傾向にありますが、こちらのカルテットヒーロー達には一貫して陽性の気概があり、等身大の人間であろうとする各人の前向きさにはまた違った魅力が現れています。
 怒りと失意の中で封印されたブラックアダムを相手に拳を交え、その根底にある慈しみに感応し、共通の敵を前に共闘へと流れる展開は非常に自然ながら興奮のニヤニヤが抑えられないところであります。

カーター・ホール / ホークマン(演:オルディス・ホッジ)
高い怪力・耐久力,回復能力,飛行能力を有した万能超人のゴールドクロスの人。
四人の中で打撃主体は彼のみで、アクションのバリエーションを担ってます。
リーダーだけあって一番ブラックアダムを敵視してるぶん共闘となった際のツンデレ感が楽しい。
ケント・ネルソン / ドクター・フェイト(演:ピアース・ブロスナン)
選ばれたものしか装着できない、未来を見透せる力を秘めた
魔法の運命のヘルメットを与えられた魔術師。
立ち込める禍々しい未来予想図に対して自ら身を挺して他のヒーローの活路を拓きます。
個人的に『007』は彼世代なので当番が嬉しい反面、ヒーローものそれも
高齢になっての登板に心配もありましたが、結果的に彼がベテランゆえの
JSAのダークサイドへの憂いを一手に引き受けたことでチームが締まったように思います。
マクシーン・ハンケル / サイクロン(演:クインテッサ・スウィンデル)
嵐や音波を操るJSAの新メンバーの一人。
邪悪な科学者の人体実験によってその力を得た、とのことですが、
本作中ではそのあたりは語られず彼女の人格に暗い影も表われておりません。
残る一人のアトム=スマッシャーがかなりすっとぼけた少年なので、
それを強調する意味でももうちょっと特殊能力を生かした
インパクトある登場が欲しかったかも。
アルバート・“アル”・ロススタイン / アトム・スマッシャー(演:ノア・センティネオ)
JSAのもう一人の新メンバーで、分子構造を制御し自らの大きさと強さを操作することが出来る。
軽いノリで成果もポカも常に振り切るコメディーリリーフ。
実の叔父から能力と称号を受け継いだらしいもののそこはセリフのみなので、
そのへんの描写を多少なりとも入れて欲しかったところ。
巨体だけなのでもうちょっと攻撃ギミックに工夫がほしかったか?


Ⅲ. 個人的ムムムッ‼な点

・ブラックアダムの戦う理由と守る対象の曖昧さ

 いわば上記の良い点の煽りのような部分なのですが、現代に復活したブラックアダムの行動原理が些か描写不足に思えます。
 五千年前に奴隷として酷使されたうえに愛する妻と息子を失っただけでなく、本来勇者となるべきは自分の息子でその彼は自分を守るために落命…。
 神聖なる力を仇敵の暴君への復讐のために用いたまでは解りますが、魔術師たちに封印されたことで復讐が頓挫。5000年経って目覚めたことでかつて自身を追い詰めた者たちに復讐するにしても、そもそもその復讐の対象がその子孫たちとなると全世界のあらゆる人種・民族が対象となってしまうのが道理というわけで。
 自分を目覚めさせた大学教授と彼女の息子を庇護することを己に課すくだりにしても、現政府の圧政に虐げられている家族でビジュアルが自分のかつての家族を彷彿とさせる…というぐらい。
 そもそもがヴィランヒーローだからには、夥しい時が経過したことで復讐の対象が潰えてしまったことに憤り不惑となりつつ、かつての暴君の子孫のサバックという格好の宿敵を得て、彼の齎す破壊の中でも狂喜乱舞するぐらいの振り切りっぷりが有っても良かったかと思います。

単体続篇ならずとも別のDCヒーロー作品での客演であらためてその内面を描くに
廻したのかもしれませんが、ヒーローの誕生譚としてその初期衝動と行動原理は
明確にさせておいてほしかったところで。


 ともあれ、本作ラストでブラックアダムがスーパーマンと対峙したことによって、いつかの続篇で頂上決戦が行われることは既定路線でしょう。
 『ジャスティス・リーグ』に加え、それ以前の『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』などでは特に、他のヒーローに比べてスーパーマンの強さがあまりにも群を抜いている感がありありと見て取れましたが、ここにきてそれに比肩する傑物がようやく登場、というところでしょうか。
 "地球出自のブラックアダムが人類の脅威に、異星出身のスーパーマンが地球の庇護者に"という捩れ構造も面白いドラマを生みそうですので、是非ともマーベルに負けず劣らず、DCヒーローなりの頂上決戦をドンと出してきて欲しいところであります。


Ⅳ. おしまいに

 というわけで今回は最新のDCエクステンデッド・ユニバースの最新スーパーヒーロー映画『ブラックアダム』について語りました。
 DCEUの次作としては『シャザム!〜神々の怒り〜』ということで来年3月公開。今回は彼の姿は登場しませんでしたが、ブラックアダムの誕生に魔術師シャザムが深く関わっている以上、そのへんの絡みも描きつつ一作目以上のスットボケぶりもかましてほしいところで…。
 今回はこのへんにて。
 それでは・・・・・・どうぞよしなに。



 

というわけでこれから試写会に行ってきマス!!
感想はまたいずれ・・・・・・。



 


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