月組博多座公演『川霧の橋』感想

こんにちは〜
川霧の橋を観なかったら一生後悔する!と必死にチケットを取り、翌日の卒論ゼミで使うレジュメが一文字も書けていないのに博多遠征した最悪大学生です(観劇の時間以外はずっとパソコンに向かってた)。

という訳で10月25日の12時公演の感想を、10月30日の配信で新たに気づいた事と合わせた形で書き殴りたいと思います。

ちなみにさ、配信は自宅でメモしながら観たんだけど、見てこれ

字 すごい汚い

川霧の橋

月組の誇る不朽の名作。「芝居の月組」を作り上げたトップコンビ、剣幸さんとこだま愛さんの退団公演。さらにショーは「ル・ポァゾン 愛の媚薬」

つまり、まるっと全部が伝説と化している激ヤバ公演です。

当時ヅカヲタではないどころか、母のお腹の中にすらいない私でさえも「川霧の橋」で3時間語れる(迷惑)。今回再演すると聞いて、期待と不安のカフェオレ状態だった方もたくさんいることでしょう。

そんなドデカプレッシャーもなんのその、観劇後は
「最高ー------!」
しか言えなくなったもんね。

新生月組、万歳!

○月城かなと@幸次郎

結婚するなら、幸次郎(ゼクシィみたいに言うな)

こんなに優しい男、おる?お光にだいぶ脈なしの態度とられてるのに17からずっと好きってさァ……幸次郎、俺んとこ こないか?(ヅカヲタ氣志團)

仕事が出来る、何でもない日にプレゼント(櫛)、非常時に強い などの良い男ポイントを取りそろえてる彼ですが、最も魅力的なのはやっぱり「待つ力」ですね。

待って待って待ち続けて、やっと橋の上でお光に出会う場面でも、霧の水滴でお光が足を滑らせないように気遣うこともできる。
この瞬間、私の脳内では「♪バンザイ〜好きでよかった〜/ウルフルズ」が流れてました。(情緒ゼロな脳内)

あと、一番最初に男役が太鼓を叩く場面、リズムがアンガールズの「ジャンガジャンガ……」と完全一致するところがあるんですが(伝われ)、その時月城さんが一番楽しげな表情してて「良きかな…☺️」の顔になりました。

さらに月城さん、手首の使い方一人レベチで上手くないですか?うちわも喜んでると思う。こんなに綺麗に捌かれて... 。


「お芝居が上手い」にも色んな種類があると思うんですけど、月城さんの「お芝居上手い」は「表情の作り方が上手い」だと思うんですよね。

お祭りの場面でお光と話して照れてる表情、橋の上でお光をそわそわしながら待つ表情、その後お光が来た時の「来た!」の顔、蛍にはしゃぐお光を見て一気に男性の顔になる瞬間……

ただ顔のパーツを大げさに動かすのではなく、「顔色」そのものを変化させられる役者さんだなと感じて、芝居の月組を背負うにふさわしい方だなとしみじみ思いました。

○海乃美月@お光

近所のおばちゃんに早口で鰺の調理法言われても普通に理解してるお光を見て、私も「おまえなしでは生きていけない」になりました(突然の幸次郎人格)(ただ料理上手な人に弱いだけ)

さきほど月城さんは表情管理が上手いと言いましたが、うみちゃんは声の演技が上手いタイプの芝居上手だと考えています。

最初は溌剌とした少女の声だったのが、おじいさんが倒れたあたりから次第に大人の女性の声になっていく。そして最後に橋の上で蛍を見つける場面では、また少女の声に戻る。計算され尽くした声色プラン。

さらに細かく言うと、幸次郎に「こんちは!」と挨拶だけして通り過ぎようとするところと、幸次郎から櫛をもらったあとの「ありがと!」が好きすぎるんですよね。完全なる脈なしボイス。(ドンマイ幸次郎!)

以前「自分はしっかりと役作りのプランを考えてからお芝居に挑むタイプ」というようなことを言っていた気がするけど、まさにその言葉通り、緻密な声の表現が出来る娘役さんだな……と思いました。

でもね、今回配信を見て気づいたんです。

しばらく見ない間に表情の作り方もめちゃめちゃ上手くなっとる……

プロローグの火事の場面で幸次郎が流された直後、お光の目から色がなくなって、「あ、この瞬間に記憶がなくなったんだな」って分かったんですよね。

一瞬「どうしてこんなに精神崩壊演技が上手い??」って思ったんですけど、ヴィンデッシュ嬢とゼルダやってたんだった。ちょっと記憶なくすくらい朝飯前ですよね。

幸次郎とお光が蛍を目で追いかける場面もさ、二人の目線が揃いすぎててぞっとしたもんね。10年前から組んでました?

○鳳月杏@半次

歌うまーーーーーい‼️

(満点青空レストラン宮川大輔ボイス)

お祭りの場面でちなつさんが歌い出した瞬間、完全に心の中の声がCV:宮川大輔になっていました。

聴いたら分かる、上手いやつやん(どこまでも宮川大輔)

やっぱりちなつさんは、静かだけど存在感のある役をさせたらピカイチですよね。

静かにじっと寄り添っている。こんなに無償の愛を捧げているのに、想い人のお嬢さんにとっては最期まで「優しい人」。報われなさすぎて観てるこっちは奥歯かみしめちゃう。

でも半次さんは報われようとも思ってなさそうですよね。優しい人という評価で満足というか。お嬢さんが亡くなる間際に自分のことを考えてくれただけで良いって思ってそう。

しかし幸次郎にしろ半次さんにしろ、まだ割と若いだろうに人間ができすぎている。こんな人材どこで…?(ビ●リーチ?)

○暁千星@清吉

有識者に伺いたいんですけど、この人入団してからずっと成長期ですよね?

成長期といっても、久々に会って「ちょっと背が伸びたかな?」のレベルじゃないんです。
会うたびに「身長8センチ伸びました」みたいなえげつない成長具合なんです。

だからね、観劇する前から「まーた芝居上手くなってるんだろうな、アカツキさん」とは思ってた。そしたら案の定上手くなってた。恐ろしい男役ですねほんとに…。

ありちゃんって主人公と対照の存在に描かれている役を任せられがちだなって思うんですけど(ダル湖のぺぺル、ラスパのヘミングウェイなど)、今回も幸次郎とは対照的な役ですよね。

清吉って割と同情の余地があるクズというか、こっちがすんなり共感できる役だと思うんです。社会のシステムを作る際に無視されてしまった側の人なので、もしグレなければ反骨心が良い方向に働く可能性もあったんじゃないかなと。ただこの物語では「悪役」でなければならない。

清吉が上方に行ってから纏うじっとりした色気、そして度々発するゲスな笑い声が、清吉を悪役たらしめるのにしっかり機能していて、先述した「まーた芝居上手くなってやがる」の気持ちになった次第です。

特にゲス笑いが印象的でしたね。ありちゃんも芝居が始まったらゲス笑いしか出来ないって分かってるから、お祭りの場面で「僕の純粋な笑顔が観られるのは、この場面だけですよ!」って顔して踊ってた。


○その他印象に残った方々

○梨花ますみ@お常
鰺もくれるし(しかも調理法のアドバイス付き)医者も呼んでくれるし火事の様子も教えてくれる。ご近所さんレベルがカンストしている人。声を聞くだけで「人情」を感じる。是非うちのお隣さんに……。

○夏月都@お蝶
良い人だけど相手に対しての気の回し方が甘い(ので無意識に人を傷つけてしまう)という設定、舞台上で表現するにはすごく難しいと思うのに「なんか、分かる……」と感じる秀逸なお芝居でした。

○晴音アキ@小りん
すっごい台詞回し上手い人おるな……と思ったら晴音アキちゃんでした。あっさりとした色気が魅力的。

○夢奈瑠音@巳之吉
夢奈瑠音くんのこと、地味にずっと気になってるんです。以前から大人の男性の演技(性格が落ち着いているというより、単に年齢が上という意味での「大人」)がすごく上手だなーと思っていまして、今回も「大人」をしっかり感じられました。スタイルが良すぎるのも相まって自然と見てしまう存在です。

○蓮つかさ@杉太郎
シンプルにファンです。信頼と実績の蓮つかさ。
台詞回しが完全に江戸っ子でしたね。江戸生まれ江戸育ち、べらんめえ口調のやつは大体友達って佇まいでした。いるだけで安心する。

○英かおと@辰吉
その学年で妻帯者を上手く演じられたら困るのよ。好きになってしまうから。 奥さんが出てこない場面でも妻帯者独特の穏やかな色気があって、一旦オペラで英くんを見るのをやめました(ハマる危険性を察知したため)。

○天紫珠李@お組
水たまりで足を汚すことさえ無かったお嬢さんが、「本当ならどこかの空き地か草っ原ででも死ぬところだった」状態にまで転落するの、えげつないよね。
初演の朝凪鈴さんは転落後のお芝居がすさまじく上手いんですけど(マジで全人類に見て欲しい。特に咳の仕方。)天紫珠李ちゃんはお嬢さん時代のお芝居が好きでした。

○柊木絢斗@千代松
ちょんまの子分感、そして妙に逃げ足が速いところ、愛。。

○月娘の皆さん
麗千里さん、妃純凜さん、結愛かれんさん、佳乃百合香さん、花時舞香さんなどなど...上級生から下級生まで所作や声が綺麗でびっくりしました。月娘、もっと履修せねば。


そんなこんなで、予想を遙かに超えて楽しめた川霧の橋の感想でした。

次回、「Dream Chaserでれこうみの沼にドボン」絶対に見てくれよな!





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