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カエルと河川敷

日が指すから
老いるのか
風が吹くから 
老いるのか
息をするから
老いるのか
無理をするから
老いるのか

いつも通りが
続くから
いつも通りが
霞むのだ
いつも通りが
続くから
いつも通りが
枯れるのだ

日も差せば
風も吹き
歳を食えば
腹も出る
シワも走れば
ビルも建ち
溶けた幸せは
還帰るだけ

芽が出るから
初くのか
種を落とすから
芽吹くのか
肥えた土が
悪いのか
弱い己が
悪いのか

いづれ流れる
徒然は
いづれ流れる
土くれは
いづれ流れる
苦しみは
いづれ流れる
忽ちに

芽が出れば
命が息吹き
死期迫れば
種を吐く
 そんな退屈に
反吐が出て
目を覚まし
旅に出た
目を開き
日々をめくる
耳をすまし
歌を謳う
腕を放り
番になり
歳をとり
ブスになる

ああ、肺いっぱいに
風が吹いて
ああ、精一杯に
旅をした
ああ、ちっぽけな
小川に変わりなく
ああ、辿り着く
同じ川

始まりは覚えてない
終わりだけが見える
赤ペンだらけの途中経過は
同じ時を進めて食い違う
溶けた幸せは根を張る
川のほとりのアカガエル
旅に疲れて座り込む
産声も亡き骸も同じ川

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